帝王の殻 の商品レビュー
火星3部作の2作目。SFだが人の意識、知性、記憶、人格、父と息子の関係、肉体感覚がテーマ。面白い。新刊の時は荒唐無稽に感じられた「PAB」だが、今読むと実現可能に思えて来る。
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3部作の2作目。本書のSFとしての最大のアイディアは、PAB(パーソナル人工脳)にある。その設定を通して、自分とは何か、そして魂とはいったい何なのかが、ここで問われている。物語は親子3代の確執を孕みながら展開し、その限りでは情念的な要素もあるのだが、全体としてはきわめて論理的、知...
3部作の2作目。本書のSFとしての最大のアイディアは、PAB(パーソナル人工脳)にある。その設定を通して、自分とは何か、そして魂とはいったい何なのかが、ここで問われている。物語は親子3代の確執を孕みながら展開し、その限りでは情念的な要素もあるのだが、全体としてはきわめて論理的、知的なSF作品である。ここで語られる問題性は根源的、かつ今日的ではあるが、物語としての妙味や抒情においては、あるいは前作『あなたの魂…』に及ばないかも知れない。そして、これらのすべてを併せ持つものこそが、次作『膚の下』なのである。
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火星三部作で最後に読んだもの。PABシステムが気持ち悪すぎて鳥肌。自分と会話するって想像しただけで嫌です。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
火星三部作の二作目は、(今度こそ)火星の話。 どうしてそこまで火星人がPABを必要とするようになったのかが、作中ではちょっと分かりにくかった。ありもしない空想だとは思わないけれど。 私が自分との対話を、あまり必要としない人間だからなのかもしれない。「渋谷から新宿までの終電は何時かな?」とか機械に話しかけてるCMさえ気持ち悪いなあと感じる私としては、ちょっと共感しにくいところもある。 文学におけるアバンギャルドについて、人間>機械、精神>肉体といった価値観の上位下位が逆転すること、みたいな話を高校のとき現代文の授業で聞いたけど(教材は安部公房『棒』だった)、機械知性が人間の肉体を渇望するこの作品はまさにアバンギャルド! ともいえるけれど、それをさらに親子の絆が超越してくる、普遍で不変なテーマが根底にあって、安心感。 女形医師がよかった。しかし何度見てもオヤマ医師と読んでしまう。
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久しぶりの神林長平。 テンポもよくそれなりに面白かったと思う。相変わらず機械知性と人間の戦い。この戦いから人とは何か意識とは何なのかを描こうとする神林のSFは面白いしろい。
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今は無き、河合隼雄先生が、「クマのぬいぐるみなどに話しかけるという行為は、自分自信と対話することと同じである」とかなんとか書いてらっしゃったのを思い出した。 自分と対話の為の媒体は、クマのぬいぐるみぐらいが丁度いい・・・って話。
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火星三部作の二作目。 あー、これがああなるのかー、と 「膚の下」と「あなたの魂…」とをつなぐ作品。 面白かったけど、「膚の下」のが好み。
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火星ではひとりが一個、銀色のボール状のパーソナル人工脳を持っている。各人の経験 データを蓄積をするこの人工脳は、巨大企業・秋 研に制御され、人工副脳となるのだ。そして、 事実上火星を支配する秋沙能研の当主は「帝王」と呼ばれていた……。...
火星ではひとりが一個、銀色のボール状のパーソナル人工脳を持っている。各人の経験 データを蓄積をするこの人工脳は、巨大企業・秋 研に制御され、人工副脳となるのだ。そして、 事実上火星を支配する秋沙能研の当主は「帝王」と呼ばれていた……。火星3部作の2作目。パーソナル人工脳、通称「PAB」これの所持が義務付けられるようになった世界を創造すると ぞっとします。自分のクローンみたいなものですから・・・。
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長門さんが“ミステリックサイン”のラストで読んでる、“膚の下”(火星シリーズ3作目)の2作目に当たる本。 この人の書くものは本当に、コミュニケーションの話だな…!と思う火星シリーズ2作目。 しかも“言葉”を使用したコミュニケーション。感覚を同期させることも不可能ではない世界にお...
長門さんが“ミステリックサイン”のラストで読んでる、“膚の下”(火星シリーズ3作目)の2作目に当たる本。 この人の書くものは本当に、コミュニケーションの話だな…!と思う火星シリーズ2作目。 しかも“言葉”を使用したコミュニケーション。感覚を同期させることも不可能ではない世界において、あえて言葉を交わした上での共感に重きを置く思想というのか、考えかたというのか、それがとても素敵だなぁと思います。 感覚と実感の差異とか、そういうものの書き方がもの凄い好きです。 そして、そういうものを浮き彫りにする仕組みを作るのがとても上手い。PABなんて機械の発想、どこからでてきたんだろう。 あと、機械人の独白が本当たまらなかった…。機械人が魂を定義するとそうなるのか…!という。 無に対抗する存在プロセッサなんて、なんて切実な響きかと。 彼と地球人のやりとりも好きです。「あなたの魂に安らぎあれ」が、こうくるのか。 神林さんの書く“魂”は、攻殻機動隊での“ゴースト”に近いんだろうな。 と、ここまで散々SFとしての側面を書いておきながらなんですが、お話としては父と子のお話です。 テーマは普遍的でも表現手法が違うとここまで違ってみえるんだなという。 アニメで、これの三作目を読んでた長門さんは、もちろんこれも読んだのだと思うのです。 どう思ったのかものすごく聞いてみたい。
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火星秋沙市の人々は、一人に一つPABと呼ばれる人工頭脳を持っていた。PABとの対話により自らの魂を見い出し、人生を芸術作品とする。それが教えだった。そして、PABの開発企業・秋沙能研の長にして火星の帝王であった秋沙享臣の死から、物語は始まる。享臣は後継ぎを孫の真人とするように遺言...
火星秋沙市の人々は、一人に一つPABと呼ばれる人工頭脳を持っていた。PABとの対話により自らの魂を見い出し、人生を芸術作品とする。それが教えだった。そして、PABの開発企業・秋沙能研の長にして火星の帝王であった秋沙享臣の死から、物語は始まる。享臣は後継ぎを孫の真人とするように遺言していが、真人は全く口をきかない子供だった。しかし、新システムの始動に合わせるかのように、突然「自分が帝王だ」と宣言し…。
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