ドゥームズデイ・ブック の商品レビュー
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
第三部までの忍耐は、結末でチャラになる。 2010年発表の『ブラックアウト』『オール・クリア』を先に読んだので、 読むコツがわかっていた。 コニー・ウィリスを読む場合は、 とにかく人物のキャラを頭に入れて、 冗長気味なところは、流してもいいような・・・。 でも、その中にもキーワードが潜んでいるので、 あれ~?? と読み返して納得するのも楽しい読み方だと思う。 しかしながら、14世紀の英国の医療、信仰、生活文化、など、 とても興味深く読めた。 黒死病(ペスト)について、もう少し調べてみたい。 『ドゥームズデイ・ブック』は1992年の作なので、 感染症対策に関しても、その時代なりの描き方なのだけれども、 さすがはヒューゴー賞・ネビュラ賞・ローカス賞を受賞した作品で、読了後の満足感がとても大きい。 21世紀が感染症の時代であることを予期しているように思える。 コニー・ウィリスがウイルス感染、パンデミックに焦点を
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2054年タイムトラベルが歴史学研究に活用されている時代。お城とお姫様と騎士に代表される中世に向かう史学部生のキブリン。しかし1320年に向かった直後にタイムトラベルを担当したエンジニアは倒れ、キブリンも到着後高熱を発して意識混濁状態となってしまう。果たして生還できるのか?という...
2054年タイムトラベルが歴史学研究に活用されている時代。お城とお姫様と騎士に代表される中世に向かう史学部生のキブリン。しかし1320年に向かった直後にタイムトラベルを担当したエンジニアは倒れ、キブリンも到着後高熱を発して意識混濁状態となってしまう。果たして生還できるのか?という米国TVドラマぴったりのお話しなのですが、そんな軽いものではありません。中世は小氷河期、疫病の時代でもあり、その描写のリアルなこと。今このタイミングで読むと恐ろしさ倍増。日本の時代劇もリアリズムを追求して描けないかな?どうも良き時代の演出が過ぎるようなものが多すぎ。 それにしても5歳のアグネスが愛おしい。泣ける。
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タイムトラベルは歴史好きの夢だけど、中世はしんどいよねー。 キヴリンはちゃんと現代に帰ったのかな。ぼやかした終わり方。苦しかったよね。お疲れ様。 2054年、タイムトラベルが出来る時代設定なのに、スマホは存在してなくて、電話が繋がらず右往左往してるのはちょっと面白かった。SF...
タイムトラベルは歴史好きの夢だけど、中世はしんどいよねー。 キヴリンはちゃんと現代に帰ったのかな。ぼやかした終わり方。苦しかったよね。お疲れ様。 2054年、タイムトラベルが出来る時代設定なのに、スマホは存在してなくて、電話が繋がらず右往左往してるのはちょっと面白かった。SF作家といえどもこんな世界は想像できなかったんだろうなあ……みたいな。
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ネビュラ、ヒューゴー、ローカス賞のトリプル受賞作品。 この作家にとっては、珍しくない。 それくらい、面白い。 すごく長いけど、無駄がない。 シリアスもユーモアもたっぷり。 史学部シリーズはかなり堪能した。 最後の中編、味わいにいこうか。
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航時史学生シリーズを読み始めるなら今作から(または短編「見張り」から)をおすすめする。続作に比べて、ネットのしくみ等が比較的丁寧になされているので。 他シリーズよりも読後感や一作としてのまとまりが良い気がする。前半は未来パートが気になってしょうがないが、後半は一転して過去パートが...
航時史学生シリーズを読み始めるなら今作から(または短編「見張り」から)をおすすめする。続作に比べて、ネットのしくみ等が比較的丁寧になされているので。 他シリーズよりも読後感や一作としてのまとまりが良い気がする。前半は未来パートが気になってしょうがないが、後半は一転して過去パートが加速し、いずれにしてもページを繰る手が止まらない。一度読み終えた後は、冗長に思えた全編が輝きを放つようになる。再読必至。
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ブラックアウトとオール・クリアを制覇した勢いでこのシリーズの最初のこの本に挑戦。 結論的には、同じ感想。最後まで行って、ようやく面白かったと思えるのだけど、とにかくこれも冗長。1/3でもっと面白く書ける火がいくらでもいるよねえ~。 話としては、バンデミック物なんだけど、ハンパじゃ...
ブラックアウトとオール・クリアを制覇した勢いでこのシリーズの最初のこの本に挑戦。 結論的には、同じ感想。最後まで行って、ようやく面白かったと思えるのだけど、とにかくこれも冗長。1/3でもっと面白く書ける火がいくらでもいるよねえ~。 話としては、バンデミック物なんだけど、ハンパじゃない。 と文句ばかり云いながらシリーズのもう1冊も読むんですよねえ・・・
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犬は勘定に入れません、を先に読んだので、ドタバタ愉快かと思いきや。 くすぐりを重ねる現代(じゃないが)パートに元気をもらいながら読み進めていたら、どんどん過去も現代も酷いことになって泣いた。 ラストの「きっと助けにきてくれると思ってました」は原文で見てみたい。過去形なのか、完了...
犬は勘定に入れません、を先に読んだので、ドタバタ愉快かと思いきや。 くすぐりを重ねる現代(じゃないが)パートに元気をもらいながら読み進めていたら、どんどん過去も現代も酷いことになって泣いた。 ラストの「きっと助けにきてくれると思ってました」は原文で見てみたい。過去形なのか、完了形か、目的語はあるのか。もっと早くきて欲しかったのか、来てくれても帰る気になれなかっただろうか、今来てくれたことは助けあるいは救いなのか。
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21世紀の女子大生が14世紀に送りこまれるSF。 コニー・ウィリスは「航路」といい「犬は勘定に入れません」といい大著ばかりで疲れるが、やめどきがわからないほどに面白いことは共通している。 まるで著者自身が14世紀に行ったことがあるような、言語、服装、食事、住居、礼儀作法等の描...
21世紀の女子大生が14世紀に送りこまれるSF。 コニー・ウィリスは「航路」といい「犬は勘定に入れません」といい大著ばかりで疲れるが、やめどきがわからないほどに面白いことは共通している。 まるで著者自身が14世紀に行ったことがあるような、言語、服装、食事、住居、礼儀作法等の描写は、それを知るために実行した読書量を想像するだけで気が遠くなる。そして、中盤以降のスペクタクル、これの内容自体がある意味どんでん返しなのだが、すさまじい迫力だった。 日本人で言えば南北朝時代に送り込まれるようなものだが、よくは知らないけれど、そのころには古語の文語と同じような言葉は少ないと聞いたことがあるので、キヴリンほど苦労はしないかもしれない。日本と比べると、意外とイギリスは中世と文化が断絶しているのかもしれないと思った。 日本で同じような作品と言ったら、戦国自衛隊だろうか。
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2054年オックスフォード。すでに科学的に解明されているタイムスリップによって歴史家は時代を遡ることができるようになっていた。新米のキブリンは中世のオックスフォードに万全の準備をして旅立つ…。 タイムスリップものというのは今までさまざま読んできたけれど、たいていご都合主義なもの...
2054年オックスフォード。すでに科学的に解明されているタイムスリップによって歴史家は時代を遡ることができるようになっていた。新米のキブリンは中世のオックスフォードに万全の準備をして旅立つ…。 タイムスリップものというのは今までさまざま読んできたけれど、たいていご都合主義なものが多くかったような。「目覚めたら昔の世界に?」「美形がいっぱい」とか「なぜか言葉が通じる(外国語話せないのに)」「王族と仲良くなる」「最初に出会った異性と恋に落ちる」…とか(ちょっと読んできた私の好みの偏りもありますが)。これはそんなに甘くない! 時代考証により服装・身分・名前の設定は当然。同じイギリスでも中世では現代英語は全く通じないから翻訳機を使う。それもすんなり通じるとも限らない。衛生・疫病対策もかかさない。地理・地名も現代とは違うし。時代人とかかわることのパラドックスの設定も説明されているし。あといろいろ。 国語辞典並みの文字の小ささで2段組600ページの長編なので手に触れるのに慄くかもしれないけれど、読み始めるとあっという間! 途中でくじけるのが多い私でも大丈夫でした。最初は特有の用語とかに慣れなくて状況がよく分からなかったりするけれど、そこを過ぎれば…。 歴史家として当時の状況を手首に埋め込んだボイスレコーダーに記録していくだけなら良かったけれど、現代の2054年でも中世の1320年(…)でもえらいこっちゃな問題がもちあがって、現代でキブリンを見守るはずのダンワーシー教授もキブリンもさあ大変! という話です。 あ~おもしろかった! キブリンがあれだけかかわると時代人に情を移していくのは当然だろうと思いますが、帰らないと言いだすんじゃないかとちょっと気が気でなかったです(気分はもうダンワーシー教授。) そして終わりに進むにつれ、第一部の前に差し込んである、ある司祭の残した文章の意味が深く分かって涙が出ました。 ※このハードカバーは現在アマゾンでは手配ができないみたいですが、ハヤカワ文庫SFで分冊されているようです。でも表紙の絵がラノベちっくで軽い風味なのが残念…。
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○あらすじ 2054年のイギリス、オックスフォードでは歴史家を過去に送り込んで調査するタイムトラベルの技術が確立されていた。 クリスマスシーズンに、今まで誰も送り込まれたことのない危険度10の14世紀にタイムスリップしたイブリン。 しかし、彼女が無事到着したかどうかのデータを出す...
○あらすじ 2054年のイギリス、オックスフォードでは歴史家を過去に送り込んで調査するタイムトラベルの技術が確立されていた。 クリスマスシーズンに、今まで誰も送り込まれたことのない危険度10の14世紀にタイムスリップしたイブリン。 しかし、彼女が無事到着したかどうかのデータを出す前に担当の技術者が原因不明の病に倒れてしまう。彼女の安否を心配して、他の技術者を見つけようとする教授のダンワーシイだったが、帰省期間中で見つからないばかりか、技術者のかかった病によってオックスフォード一体は隔離されてしまう…。 一方、14世紀に飛んだイブリンだったが、彼女もまた到着してすぐに病に倒れ、現代に帰るための降下点すら分からなくなってしまい…。 (あらすじは参考程度でお願いします。) ☆感想☆ 図書館本です。 書庫から出してもらった時は、その厚み(約5cm)に… 家で開いたときには、文章が二段になっていることに驚きました(爆 もちろん二週間の期限では読み切れず、延長してやっと読了です。 最初の150~200ページぐらいは、 知りたいことがたくさんあるのに、教えてくれず、 そのじれったさにイライラしたんですが、中盤~後半にかけては、 章が終わるたびに叫び声を上げるぐらい熱中してしまいました(笑 面白いだけでなく、感動的なシーンもあって、 オススメの一冊です。
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