螺子式少年 の商品レビュー
長野作品の中では比較的わかりやすいテーマだった。物語もわかりやすい。後半になるにつれこの主人公達はレプリカなのか、本物なのか、いよいよわからなくなっていくのだが、そんなこと関係ないんじゃないか。という気さえしてくる。大切なのは本物なのか偽物なのかどうかではなくて、自分がどう向き合...
長野作品の中では比較的わかりやすいテーマだった。物語もわかりやすい。後半になるにつれこの主人公達はレプリカなのか、本物なのか、いよいよわからなくなっていくのだが、そんなこと関係ないんじゃないか。という気さえしてくる。大切なのは本物なのか偽物なのかどうかではなくて、自分がどう向き合うかという、信頼の問題なのだという。 代わりに葡萄丸のレプリカが送られてきて、彼との生活が始まる、となった時、このようにどんどんレプリカは増えていくのだと思うと、少し怖くなった。ある意味ホラー?
Posted by
「つまりね、ホンモノかレプリカかということが、なぜ重要なのかということだよ。」(p.154) 本人と区別がつかないほど精巧に作られたレプリカキットが出回る世界。従弟の葡萄丸と暮らす百合彦と、彼の友人野茨を中心としたSF風のお話。 野茨とレプリカの区別がつかない百合彦は本物の...
「つまりね、ホンモノかレプリカかということが、なぜ重要なのかということだよ。」(p.154) 本人と区別がつかないほど精巧に作られたレプリカキットが出回る世界。従弟の葡萄丸と暮らす百合彦と、彼の友人野茨を中心としたSF風のお話。 野茨とレプリカの区別がつかない百合彦は本物の野茨を探すうちに、一体、何が野茨を本物と証明することになるのかと考え始める。 一方、本物の野茨はレプリカの百合彦と会っていたらしく、自分の気付かないうちに自分のレプリカが作られ、動いている。それも、1つではなく無数に存在するとなるともう本物がどれだったのかさえわからなくなる。 案外、友人のレプリカに戸惑う百合彦本人がレプリカだった…なんてことも考えられる。 ラストで新たなレプリカが登場したことにより、いなくなった人の埋め合わせとして、すぐに入れ替わりのレプリカが送られてくるのかもな…と思った。そうやってレプリカにどんどん交代させていくと、もう生身の人間が1人もいなくなるのかもしれないなぁ……結構怖い。
Posted by
<・・・このレプリカは組み立て完成品でございます。分解は自由、簡単。再組み立ても可能です。ご希望であれば、モデルの意識を複製することもでき、よりリアルにお使いいただけること請け合いです。登録品ですので、まずは当社までご連絡を。> じぶんと同じ顔、同じ背格好の「レプリカ」が当た...
<・・・このレプリカは組み立て完成品でございます。分解は自由、簡単。再組み立ても可能です。ご希望であれば、モデルの意識を複製することもでき、よりリアルにお使いいただけること請け合いです。登録品ですので、まずは当社までご連絡を。> じぶんと同じ顔、同じ背格好の「レプリカ」が当たり前に存在している近未来世界の、少年たちの話。SFと筆者の文体がふしぎといいぐあいにマッチしていて心地いい 読みながら舞台はエーゲ海沿いの街並みをイメージしていた 葡萄丸や百合彦の父親たちのおだやかに諭す感じの口調が気にいった まあ彼らもレプリカかもしれないんだけどね。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
主人公の百合彦と、従弟の葡萄丸と、友達の野茨。学生らしいから今回も12~14歳ぐらいの美少年想像しながら読んだ。 野茨のレプリカを彼の母親が作ったという話から始まる。百合彦が何人もの野茨のレプリカと出会ったり、葡萄丸はレプリカと本物の違いが判ったり、サーカスに行ったり、百合彦と葡萄丸の父親が来たりする。 最終的には「結局みんなのレプリカが蔓延してるのかもしれない」みたいな終わり方。葡萄丸のレプリカが家に届いている、さてどうしよう、っていう。 (美少年が吸う)(違法な)煙草、ソーダ水かなにか、まぶしいぐらい明るい、真っ白な街。 長野さんの作品いくつも読んだけど、これは終盤で「あれ?」って思った。速足すぎないか……?速足っていうかはしょりすぎっていうか起承転結の結の部分が異常に短いっていうか…… なにせ美少年がそろって煙草吸ってたりするから、もう低俗な読み方をしているわたしのような人間はとても楽しく読めたけど、物語としてはそんなに楽しめなかったかもしれない。もっと話が広がるものかと。 でもこれはサクッと気軽に読むつもりで買ったから、そういう意味ではめちゃくちゃ合ってた。ほんとにサクッと気軽に読める。長野さんの文章ってよくわからなくても(理解力と想像力が足りないから)すらすら読めて自分に向いてるんだと思う。
Posted by
- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
相変わらず素晴らしい世界観。読み始めるとすぐにどっぷり浸かれる。SFなんだけどファンタジー色が強いからそこまで固くないので好き。この世界では色んな人がレプリカされているんだろう。葡萄丸のお父さんがレプリカなのも実は死んで仕舞ったんじゃあないかとか、野茨のママも本当の野茨を亡くしてレプリカを作ったんじゃないかとか憶測だけど、考えてしまう。 それにしても、長野まゆみの世界は全てが綺羅綺羅している。夜警が買ってた果実入りのシトロネル酒私も飲んでみたい。
Posted by
久しぶりにキラキラモードの文章が読みたくて再読。 瑠璃・紫瑛など作品中の漢字にふってあるルビを見ずに どんな物なのか漢字のみを見て、自分で想像をするのが ちょっと楽しかった。 この作品が不気味なのは、本人の全く知らないところで 自分そっくりに作られるレプリカが、普通に生活を送っ...
久しぶりにキラキラモードの文章が読みたくて再読。 瑠璃・紫瑛など作品中の漢字にふってあるルビを見ずに どんな物なのか漢字のみを見て、自分で想像をするのが ちょっと楽しかった。 この作品が不気味なのは、本人の全く知らないところで 自分そっくりに作られるレプリカが、普通に生活を送っている こと。 依頼者が身内だった場合、同じレプリカが大量に 作られ本人か偽者かの見分けが、周りでつかなくなっている。 心までも本物そっくりにコピーできるレプリカと本物との 違いは? どこで線引きをするの? 答えの出ないグルグル感が久しぶりに面白かった。
Posted by
古本屋で購入。長野まゆみ先生はすきだったけれど、初めて読む本。 相変わらずの独特の世界で、楽しかったです。お気に入りの一冊!
Posted by
百合と茨(ばら)だったとは…。読んだ当時は何にも知らんかった。笑 しかし本物かレプリカかっていうモチーフはたまらん。しかも「螺子式」ねじしき。うーん読み返したい。
Posted by
本物と偽物の区別 境界線の曖昧さ 結局のところ私たちが見て聞いて信じている真実とは、表面上のものに過ぎないのかもしれない
Posted by
誰が本物で、誰がレプリカか。 誰もが本物であって、誰もがレプリカなんだ。 本物とレプリカは必要なのか。 なにを考えどう生きるかが大切であって、本物もレプリカもないんだ。 そんなことを考えながら読みました。 煽りにはサスペンスとありますが、私には穏やかな時間が流れているように思...
誰が本物で、誰がレプリカか。 誰もが本物であって、誰もがレプリカなんだ。 本物とレプリカは必要なのか。 なにを考えどう生きるかが大切であって、本物もレプリカもないんだ。 そんなことを考えながら読みました。 煽りにはサスペンスとありますが、私には穏やかな時間が流れているように思えます。サスペンス特有の切迫感はありませんでした。
Posted by