旅人の木 の商品レビュー
手ごたえのないバーチャルな社会。暴力、交接、自傷行為で手触りのある現実感を見出そうとする僕。痛々しいプロセスの中で生きるということの意味を考えさせられる。どこかミステリアスなストーリー展開が自然に身体を傾斜させる。心象風景の描写も秀逸。一行一行に鮮やかなイメージが立ち上がる。しば...
手ごたえのないバーチャルな社会。暴力、交接、自傷行為で手触りのある現実感を見出そうとする僕。痛々しいプロセスの中で生きるということの意味を考えさせられる。どこかミステリアスなストーリー展開が自然に身体を傾斜させる。心象風景の描写も秀逸。一行一行に鮮やかなイメージが立ち上がる。しばしば心が停まった。
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※このレビューにはネタバレを含みます
行方不明の兄の足跡をたどって行く弟の話。兄を追うことで弟は自分自身を発見して行く。兄の歩いた光(といっても概ね女性関係)を追うと、弟は兄との違いにできる影に自分を発見するのだろう。
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「旅人の木」という名前が気になった。 「天国の楽園」という名前が気に入った。 人間は何かに属している。 私はどういう人に属するんだろう。 なんだか国語や道徳の勉強をしている人に属してしまっていた気がした。 ”暫く”という言葉が多くて気になった。
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両親の死をきっかけに 行方不明の兄をさがす弟のはなし。 辻仁成の初期の作品に漂う雰囲気がなーんかすきで何度も読み返してしまう。。 中二病っぽくもあるけど、繊細な人特有の社会への馴染めなさとかそれを肯定したい気持ちをくすぐる。 玉木宏がいつかダヴィンチでこの小説好きだっ...
両親の死をきっかけに 行方不明の兄をさがす弟のはなし。 辻仁成の初期の作品に漂う雰囲気がなーんかすきで何度も読み返してしまう。。 中二病っぽくもあるけど、繊細な人特有の社会への馴染めなさとかそれを肯定したい気持ちをくすぐる。 玉木宏がいつかダヴィンチでこの小説好きだってゆってたので、たぶん彼もネクラだとおもいます!
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天国の楽園という名の デパートの屋上にある 園芸店にいた 9つ上の兄を 捜し歩く弟。 兄と弟は、兄弟であって他人。 悲しくも 最高の 1冊。
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辻さんはどんな思いで何を伝えるためにこの小説を書いたのだろうか。 完璧なまでの整合性の欠如とさえ言えるかもしれない、それほど「確かなもの」が掴めない作品。 兄への尊敬、憧憬、同一化願望が絡まったうえで極限までのコンプレックスが伺える内容となっている。そのコンプレックスは自己への...
辻さんはどんな思いで何を伝えるためにこの小説を書いたのだろうか。 完璧なまでの整合性の欠如とさえ言えるかもしれない、それほど「確かなもの」が掴めない作品。 兄への尊敬、憧憬、同一化願望が絡まったうえで極限までのコンプレックスが伺える内容となっている。そのコンプレックスは自己へのものか、常に人生の指標としてきた兄を省みてのものか。 兄の失踪から始まる物語であるが、その兄が急に現れた後で不可解な状態での結末を迎える。そして、読者は思うのだろう、これはもはや兄と私を巡るコンプレックスの問題ではないと。物語は完全に私個人の自己完結的な消極感情に移っていたのだ。 結局私は兄を頼って生きてきただけなのだ。兄の中に自分を見ることで、自己のバランスを維持していた。自分自身の輪の中で生きるのは確かに難しい。だが、兄の価値観に頼りきった挙げ句の果てがこの物語の全てなのだ。 自分の「場」を持つことを主張しているのか、それとも他人の「場」への正しい同化を促そうとしているのか、私には全く分からないけれど、処女作「ピアニシモ」から一貫してアイデンティティを追求してきた辻さんの狙いを感じることはできた。 アンサーを強要しない小説は本当に好ましい。ロールモデルを見失ったゆとり世代の私だから尚更のことなのかもしれない。 さて、次はどの作品に心を寄り添わせてみようか。
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なんだか不完全燃焼。 この街では、誰もが何かに属していた、のくだりがすごく好き。あたしもたくさんのものに属しちゃったなあと。
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自称ですが僕は物語と自分とのなんらかの関連性を見つけて読むスタイルの人間だ。僕には兄が居ないし、それ程強い憧れや嫉妬を同性に感じた事もないし、田舎暮らしだからビルもないし、心情的なリンクもあまりなかったり、etc.よって関連性が薄くあまり物語に入り込めなかった。もう少し想像力を養...
自称ですが僕は物語と自分とのなんらかの関連性を見つけて読むスタイルの人間だ。僕には兄が居ないし、それ程強い憧れや嫉妬を同性に感じた事もないし、田舎暮らしだからビルもないし、心情的なリンクもあまりなかったり、etc.よって関連性が薄くあまり物語に入り込めなかった。もう少し想像力を養ってからぜひ出直したい。
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