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アドリア海の奇跡 の商品レビュー

2.7

7件のお客様レビュー

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2019/08/20
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

15世紀末のクロアチアを舞台に少年見習い僧、錬金術師、貴族、学者が入り乱れるミステリーサスペンス。 謎の宝を少年が運搬するというプロットは『王への手紙』のようだが、『王への手紙』がいかに面白く、よく出来ているかが改めてよくわかった。 登場人物に感情移入もできず、ディテールに乏しく、臨場感に欠ける。 何よりガッカリというか、そりゃないでしょと思うのが、錬金術が成功したってことになっているところ。 それで主人公が死の淵から甦ったり、荒れ狂ったアドリア海が凪いだりするなら、それは魔法だ。ファンタジーなら別にかまわないが、これはそうではないのだし、どこか別世界の物語でもないんだから。 子どもが読むには外国人の名前や、よく分からない職業・身分を乗り越えなければならないが、乗り越えてなお余りある感動があれば、外国文学を読むモチベーションが上がるってもんだが、そうでないと、だから翻訳小説は読みたくない、という先入観を生み出してしまう。 大人なら楽しめるというはなしでもないし。 残念。

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2016/07/19

15世紀のクロアチアを舞台にした、錬金術を巡る冒険譚。修道院を訪れた領主の主治医が頼んだ秘密の使い。それは三つの箱をアドリア海まで運んで欲しいということだった。その使いを受けることになった孤児のマティアスは、錬金術の秘宝の謀略に巻き込まれるのだった。 出てくる人物誰も彼もが一癖も...

15世紀のクロアチアを舞台にした、錬金術を巡る冒険譚。修道院を訪れた領主の主治医が頼んだ秘密の使い。それは三つの箱をアドリア海まで運んで欲しいということだった。その使いを受けることになった孤児のマティアスは、錬金術の秘宝の謀略に巻き込まれるのだった。 出てくる人物誰も彼もが一癖も二癖もあり、腹に一物を隠しているような謀略劇。主人公のマティアスにしろただの孤児でない何か目的を持って、謀略に自ら巻き込まれようとするような緊張感が全体に漂います。 錬金術をどのように物語上扱うのか気にしつつ読みましたが、歴史冒険譚というよりもファンタジー寄りの展開を見せました。それが悪い訳では決してなく、それによりマティアスの神秘的体験からの物語の膨らみが面白かったのです。馴染みのない地域の馴染みのない時代の馴染みのない題材を扱った物語だからこそ味わえる面白さもあるもんだと実感しました。

Posted byブクログ

2014/08/15
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

時代設定はおもしろい。解説を読んで身分の話はわかった。そうか、あの時代だからなあと思った。錬金術のことをもう少し知ってないとほんとのおもしろさは分からないかな。

Posted byブクログ

2022/09/09

この本を初めて読んだのは中学生のころでした。 本棚の奥から顔を出していたのを見て再び読んでみました。 そしたら・・・結構引き込まれるように読みきってしまいました。 思い出せば・・・父がプレゼントしてくれた本です。 中学生のころは錬金術師もアドリア海も ほとんどわからないような...

この本を初めて読んだのは中学生のころでした。 本棚の奥から顔を出していたのを見て再び読んでみました。 そしたら・・・結構引き込まれるように読みきってしまいました。 思い出せば・・・父がプレゼントしてくれた本です。 中学生のころは錬金術師もアドリア海も ほとんどわからないような状態で読んだので面白くなかったです。一方で、自分には難しい内容なのかと思っていました。 再度読んでみると結構興味がある内容。 文章は抑揚があまり感じられない単調な感じなので 読後は特別面白い文章や表現というものを 感じることはありません。 数回読んでみると主人公の冒険に浸れるようになります。 また、ストーリーの進行が少々こじつけというか 展開が大きすぎるというか・・・ いまいちな部分があります。 話の締めも曖昧で物足りなさが否めないです。 あまりこだわりすぎず、 単純に冒険を終わらせるという締めでもよかったのか と思いました。 しかし、大人が読んでも面白いと思える部分は 確実にある短い冒険小説です。 錬金術師について少々調べてから読んでみるほうが、 より面白く読めるかもしれません。

Posted byブクログ

2009/10/04

『人間は、肉体という目に見える仕事場と、想像力という目に見えない仕事場でできている』 『人間の想像力は、まず目に見えない形を生み、それを目に見えるものに変える』(アドリア海の奇跡より) ストーリー:ある春の夕方、ヨーロッパ一の錬金術師が修道院を訪れて、みなしごの少年マティアスに...

『人間は、肉体という目に見える仕事場と、想像力という目に見えない仕事場でできている』 『人間の想像力は、まず目に見えない形を生み、それを目に見えるものに変える』(アドリア海の奇跡より) ストーリー:ある春の夕方、ヨーロッパ一の錬金術師が修道院を訪れて、みなしごの少年マティアスに秘密の使いを頼んだ。三つの箱をアドリア海へ運んで欲しい、だが、決して中身を見ようとしてはならぬ、と。 馬車で出発したマティアスは、やがて自分が、大きな策謀と罠の中に落ち込んでしまった事を知る。だがひたすらに海へ海へと進むうちに、マティアスに訪れた不思議な運命と奇跡とは・・・?(徳間書店帯より) 見所:稀に見る児童文学の秀作。目くるめく展開です。ノンストップで読んでしまうので、見所を探すのが難しい☆(^^;) 敢えて書くなら、マティアス少年の隠された素性と、錬金術師が発明した奇跡の薬の効用。唯一無二の錬金術の薬。それは古くから伝わる「賢者の石(物質を金に化したり、万病を癒したりすると信じられた)」としての秘薬ではなく、もっともっと人間の体と精神を「完璧」に近づけるものだった!? 私見:本当に面白いです。まず出てくる登場人物がみんな怪しく(笑)、誰が味方で誰が敵なのか分からない。そして主人公のマティアス少年でさえ、性格が良いのか悪いのか分からない☆ こいつが主人公でいいのか?と序盤に思うこと請け合いです(笑)。でも、考えてみれば裏も表も人間の側面であって、ベタな正義感溢れる主人公よりか共感できます。悩みも苦悩も計算もずるさもあって、それでも駆り立てられるように「海へ海へ」と進んでいくマティアス少年がだんだんと好きになってきます。そして物語のラストがすごくすご〜く素敵。儚げで美しく、胸に残るラストです。

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2009/10/04

最初の出合いは、小学校の図書館だった。1度読んだだけでは、丸呑みすることできない物語り。だから、今、私の手元にこの本がある

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2009/10/04

三つの箱の謎、マティアスの謎、知らないところで蠢く策謀…どれも期待し先を気にしながら読むのには似つかわしい要素であり、事実テンポ良く読了することが出来るであろう。 だが、余りにもテンポ良く読めてしまうものだから、人によっては物足りないと感じるかもしれない。しかし、私としては主人公...

三つの箱の謎、マティアスの謎、知らないところで蠢く策謀…どれも期待し先を気にしながら読むのには似つかわしい要素であり、事実テンポ良く読了することが出来るであろう。 だが、余りにもテンポ良く読めてしまうものだから、人によっては物足りないと感じるかもしれない。しかし、私としては主人公であるマティアスの「目線」がとても面白く感じたのである。 これはただの冒険小説ではない。 錬金術が主眼となる話などではない。 確かに、錬金術によって生み出された『奇跡』は物語の展開上欠くことが出来ないものだが、それ以上に作者が語りたかったのは、少年の持つ目であり、その目に映るものの変遷ではなかったかと思うのである。 はじめは自分自身に気づいて貰いたいが為に、良い契機だと判断して僧院を旅立ったマティアスからは、どこかしら自分に対する自負と、自分の知恵を持ってすれば錬金術士であれ追手であれ、うまくかわすことが出来るという視界の狭さを感じる奢りが目についた。 しかし、三つの箱を託した錬金術士ケレメンの言によって、自分は数多く用意された駒の内の一つであったことを知ったとき、彼の世界は崩れる。自分が特別な主人公ではないという絶望と、自分は数多くの登場人物の内の一人でしかないという喪失感に。 そして、知るのである。 自分を取り巻く人々がいることや世界の広さ、そして「歴史」や「時」というものの流れの中に自分がいると言うことを。 周囲に認めてもらう事ばかりにとらわれていた少年が、大きな流の中にある自分に気づき、大切なことを見いだす。その悟りが錬金術の産物によってのみもたらされたかのように描かれているのは惜しい気がしないでもない。 また、精神的な高みを求めた錬金術士達に対するエピソードがあったならば、もっと入り込んで読めたのではないかと思えてならないのだが、このスピード感を損なってしまうのならば、矢張り入れなくても良かったと言うことだろうか。

Posted byブクログ