私は、スターリンの通訳だった。 の商品レビュー
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1995年刊。第二次大戦中、スターリンの通訳として幾多の歴史的場面に立会した著者の自叙伝。「消えたヤルタ密約緊急電」内にも引用あるがゆえに読破。「間違いなく面白いが、惜しい」が第一感。長所は①通訳として現場に居合わせ、叙述の臨場感が高い。②その現場は、かなり重要な場面。③30年代のキエフの農業集団化やスターリン粛清を実地体験し、それを詳細に叙述。④ペレストロイカ後に発表された本書のスターリン批判は、かなり明快。しかし、①叙述が時系列でなく、いつの場面か判りにくい。②中立的とはいえ、あくまでソ連側の目線。 ③叙述がかなり長く、読み通しにくい、という問題がある。②の問題は立場上仕方がないところだが、その他は残念なところ。ちなみに、本書で叙述される、ルーズベルトとチャーチル2人のスターリンへの態度の相違が、理由の言及がないものの、なかなか興味を引く。殊に、スターリンとの丁々発止のやり取りの中、チャーチルのヌエぶりは大した役者という以外言葉が見つからない。また、わずかに言及されるダレス(CIA元長官、激烈な反共主義者)の行動もまた興味をそそられる。
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