生物から見た世界 の商品レビュー
ダニは樹上にいて動物の発する油脂分を感知して落下、 そこで体温を感知すれば血液を吸うため咬み付くが、 体温がなければ再び木に登る。 それではダニから見たら、世界は色も音もなく、 ただ油のにおいと温度だけなのではないか。 こんな思考実験から、絶対的な世界というものはなく、 (あ...
ダニは樹上にいて動物の発する油脂分を感知して落下、 そこで体温を感知すれば血液を吸うため咬み付くが、 体温がなければ再び木に登る。 それではダニから見たら、世界は色も音もなく、 ただ油のにおいと温度だけなのではないか。 こんな思考実験から、絶対的な世界というものはなく、 (あるかもしれないが、少なくとも人間が感知する世界とは異なる) それぞれの生物にとって相互作用の対象としての環境世界がある、 という新しい世界観を説く。 このような世界観のもとでは、適者生存的な進化論は誤りであり、 相互作用システム(何を知覚して、どう外界に作用するのか)が 生物の本質として存在して、それを実現するための合理的な形態が 発生する、というものになる。 よくこんなことを考えつくなあ、というのが最初の感想。 しかし柔軟な発想、多面的な思考は大いに学ぶところがある。
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それぞれ人にはものの見方というものがあるけれど、ダニのものの見方というのはこの本をよむまで気にもとめていなかった。 ダニは飯がないときは、18年間仮死状態で断食していられるのだという。驚いた。 現実という概念を考えなおそう、という気になる一冊。 岩波文庫版もあり。
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