サッチャー 私の半生(上) の商品レビュー

マーガレットサッチャー(著者),石塚雅彦(訳者)

2019/11/01

巻頭の写真が興味深い。

映画では彼女が映画の話題を口にしたことは無かった、と誰かが語っていたが、戦前の独身時代は週替わりで街の映画館で上映される映画に行っていたようだ。ジェームス・スチュアートとかの俳優名が出ていたりする。また「戦後アメリカからビル・ヘイリーとかエルビス・プレスリーといった名前とともにロックンロールが入ってきた時それはすぐに忘れ去られてしまうだろうと思った」などとあり、へえ、そのくらいの名前は知っていたのかととても驚いてしまった。ピアノはずっと習っていて、歌曲も好きだということだ。夫ともその（クラシック）音楽の趣味が一致しているなどと書いてある。

広島の原爆は、被害写真のひどさを見てもなお、使用は正当化されると述べている。理由はもし米軍が本土に上陸したら、沖縄戦のあの抗戦のすごさをみると、（広島原爆の死者よりも）多大な人名の損失を阻止したから、というものだ。そして２回の投下で示された連合軍の軍事力の優位性の大きさだけが、日本の指導層に抵抗しても望みがないことをしらしめた、と述べている。

インドなどの植民地支配も、戦後の独立運動での死者などをみると、植民地統治は一定の秩序をもたらしていた、と書いている。・・う～ん。

1995.8.1発行　図書館