反論の技術 の商品レビュー
修辞学の先駆者:香西秀信による修辞学の基礎。大学でも使われるテキスト。 意見を述べる(立論)とは、すでに想定された反論に対する先回りの反論である、などおもしろい気づきが多い。レトリックの最高峰テキスト。 日本では、対立した意見をただ併存させるだけのディベートが流行している。 矛...
修辞学の先駆者:香西秀信による修辞学の基礎。大学でも使われるテキスト。 意見を述べる(立論)とは、すでに想定された反論に対する先回りの反論である、などおもしろい気づきが多い。レトリックの最高峰テキスト。 日本では、対立した意見をただ併存させるだけのディベートが流行している。 矛盾があっても支持する者の多さや権威のみによって押し切られているものも多くある。 これが良しとされているのは、やはり我々に論証型反論の技術が身についていないからにほかならない。誰もそれらを的確に論破できないでいるのだ。 この本では論証型反論のみを取り上げ、鍛える術を教えてくれている。修辞学を学ぶなら、はじめに読んでおきたい本である。
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「あとがき」にある、反論の技術を身につけて能力向上しても議論に勝てるとは限らない、という身も蓋もない記述が印象的。それだけ議論に勝つというのは「論理性」だけでは、不十分だということだろう。時と場合にもよるだろうが。
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香西秀信著『反論の技術 : その意義と訓練方法 (オピニオン叢書 ; 20)』(明治図書出版) 1995.8発行 2023.9.27読了 本書は、教師が生徒に反論の技術を教える際の授業の進め方についての指南本である。それゆえ、読者対象は現役の教師ということになるが、一般の読者...
香西秀信著『反論の技術 : その意義と訓練方法 (オピニオン叢書 ; 20)』(明治図書出版) 1995.8発行 2023.9.27読了 本書は、教師が生徒に反論の技術を教える際の授業の進め方についての指南本である。それゆえ、読者対象は現役の教師ということになるが、一般の読者でも十分読み応えがある。 生徒に教材文を与え、教材文の主張と根拠を説明する。教材文の骨組みが理解できたら、反論の型について学び、実際に反論文を書いてみる。もちろん、反論の中身についても添削指導を行う。 教師はいかに授業を進めていくかという視点から本書を読むのかもしれないが、私は、生徒目線で、段階的に反論の技術を学ぶ立場から読んだ。おかげで、私も本書を通じて反論の技術を習得できたように思う。 この本は、版元が明示図書出版ということもあって、世間ではあまり知られていないようだが、教育業界ではそこそこ有名な本らしく、32版も版を重ねている。 著者はすでに故人であり、二度と氏の最新刊が出ないことが残念でならない。 【目次】 第Ⅰ部議論指導における反論の訓練の意義 第1章 まず反論の訓練から始めよ 第2章 反論は議論の本質である 第3章 反論は真理を保証する 第4章 反論は立論を強化する 第Ⅱ部 教師のための「反論」自修法 第1章 反論の手本は教師が示せ 第2章 トピカの方法 第Ⅲ部 反論の訓練 第1章 訓練を始める前に 第2章 基礎練習・型の習得(その一) 第3章 基礎練習・型の習得(その二) 第4章 相手の大前提を撃つ 第5章 訓練のための教材分と反論例 あとがきにかえて-議論・この嫌なもの URL:https://id.ndl.go.jp/bib/000002434423
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【星:4.5】 「反論の技術」としてはさほど目新しいところはなかったが、「修辞学」として見た時はなかなかいい本だと感じた。 「修辞学」というものに前々から興味を持っていたが、何から学べばいいかが分からなかった。 著者は修辞学の研究者らしく、この本を読ん修辞学への取っ掛りを見つけ...
【星:4.5】 「反論の技術」としてはさほど目新しいところはなかったが、「修辞学」として見た時はなかなかいい本だと感じた。 「修辞学」というものに前々から興味を持っていたが、何から学べばいいかが分からなかった。 著者は修辞学の研究者らしく、この本を読ん修辞学への取っ掛りを見つけることが出来た。 また、やや毒舌的な言い回しも出てくるが、説明はわかりやすく読んでいてストレスを感じない。
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丸善ジュンク堂書店の書店員フェアから購入した。 フェアの紹介ポップどおり、まさに名著である。これを読むと、現実に「議論」と呼ばれている営みがこの本で言う議論ではないことがよく分かる。 理由はいくつも考えられるが、一番には正しさ・蓋然性を問うようなやりとりに至っていないということが...
丸善ジュンク堂書店の書店員フェアから購入した。 フェアの紹介ポップどおり、まさに名著である。これを読むと、現実に「議論」と呼ばれている営みがこの本で言う議論ではないことがよく分かる。 理由はいくつも考えられるが、一番には正しさ・蓋然性を問うようなやりとりに至っていないということが挙げられるだろう。要するに事実に対する解釈を主張し合っているだけで、論理を確かめていないのである。 本としては、この本の主題が教育にあることでその価値が高まっていると思う。取り上げられる論証例に教育が多く、この分野はまさしく蓋然性をめぐる議論が尽きない分野だと思う。その分野でこのような議論が展開できることを示したことはこの本の内容が非常に実践的であることを明示している。 広く、世の中のためになる本とはこの本のようなものを言うのだろう。そう思える一冊である。
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※このレビューにはネタバレを含みます
仕事上で強い相手の方の意見に反論し交渉をしなければならない場面があり、もともと自分は交渉が苦手だったので、少しでも何かヒントはないかと思って読みました。 著者は大学教授で、学生に議論や討論の指導をされているそうです。本の冒頭で著者が「多忙な教育現場では議論指導のためには反論の訓練だけで充分である」と述べていたのが衝撃的でした。それだけ反論が重要であり反論できなければ議論もできないそうです。私自身、議論が苦手なのは反論が苦手だからだと思いました。 意見を述べることは反論することである、誰も反対しないことをのべても意味がない、意見を述べる際は誰に対して何を伝えたいのかを明確にすることが重要なのだそうです。 よくある子供の作文の「生命を大切にしなければいけない」というテーマで書いているものに対して、「命を大切にしなければならないことがわからない人はいない、こんな誰も反対しないことを意見するような題材は意見と言えない、そんな当たり障りのない意見だけを言うような悪い癖をつけてはいけない」と言う部分が印象的でした。 何かの意見に対して反論できるように日頃の思考の訓練が必要だそうです。善し悪しを明確にできる課題ばかりではありませんが、自分なりの意見をいつも持っているよう心がけようと思いました。
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教師向けに書かれており、取り上げられている教材もわかりやすいものが多かったが中身は濃い。知財マンの仕事のうち、「反論」は大きな比率を占める。これまで見よう見まねで反論してきたつもりだったが、体系的に学んだ人にはかなわないと思った。
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反論に対してネガティブな印象を持っていたが、そもそもあらゆる主張は、主張しなければならない時点で、別の主張に対する反論になっている…等、反論という概念そのものへの考え方をひっくり返され面白かった。また、反論の技術を学ぶための具体的な方法論についても、面白い事例と共に豊富に紹介され...
反論に対してネガティブな印象を持っていたが、そもそもあらゆる主張は、主張しなければならない時点で、別の主張に対する反論になっている…等、反論という概念そのものへの考え方をひっくり返され面白かった。また、反論の技術を学ぶための具体的な方法論についても、面白い事例と共に豊富に紹介されており、楽しく読み切ることができた。
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ある意味「銃の扱い方」に匹敵する、有用で危険な書物。 「総論賛成」の意見を提示することは全くの無意味である。議論は異なる意見の応酬をもって構成される。 著者が頭が良すぎる故、作中で「明らか」とされることが意外にそうでもない。 技術は悪用されるもので、反論が目的化し、反論の技術を濫...
ある意味「銃の扱い方」に匹敵する、有用で危険な書物。 「総論賛成」の意見を提示することは全くの無意味である。議論は異なる意見の応酬をもって構成される。 著者が頭が良すぎる故、作中で「明らか」とされることが意外にそうでもない。 技術は悪用されるもので、反論が目的化し、反論の技術を濫用している者も当然いる。俗に逆張りマンと呼ばれる。技術すら無い者はクソリプマンと呼ばれる。
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議論は反論の積み重ねであり、その技術について述べている。 教科書的なので、実践的ではなく、とっつきにくさもあるが、議論の本質をついていると思う。 議論に勝つためのスキルを伝授する本ではない。 会議に参加されるか方は読んでほしい。 特に、反論の基礎練習事例は秀逸だと思います。 良書...
議論は反論の積み重ねであり、その技術について述べている。 教科書的なので、実践的ではなく、とっつきにくさもあるが、議論の本質をついていると思う。 議論に勝つためのスキルを伝授する本ではない。 会議に参加されるか方は読んでほしい。 特に、反論の基礎練習事例は秀逸だと思います。 良書。
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