ドストエフスキーの詩学 の商品レビュー
ナラティヴ関係でよく言及されるバフチン。 昔、山口昌男さんが、ブフチンについて語っていたな、とぼんやりと思い出しつつ、読んでみた。 「ポリフォニー」と「カーニバル」という2つのキーコンセプトを中心にドストエフスキーの作品を読み解いて行く。 これらの概念は、なるほど、面白いと...
ナラティヴ関係でよく言及されるバフチン。 昔、山口昌男さんが、ブフチンについて語っていたな、とぼんやりと思い出しつつ、読んでみた。 「ポリフォニー」と「カーニバル」という2つのキーコンセプトを中心にドストエフスキーの作品を読み解いて行く。 これらの概念は、なるほど、面白いと思うし、勉強にはなるのだが、ドストエフスキーは遠い昔に何冊か、読んだだけなので、具体的なところではピンと来ないかな〜。 もう少し、ドストエフスキーの具体的なテキストに基づいた分析が多いとよいのだが、わりと抽象的な議論が多くて、しばしば文脈がわからなくなった。 面白そうなんだけどね。なんだか、今ひとつ距離が縮まらない。 バフチンの評伝か、解説書か、なにかを読んでみようと思う。
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ドストエフスキーの文学的革新性を理解する。ポリフォニーは、神なる視点を持つモノローグと異なり、人間を描くのによりリアルな手法。相反する要素を結びつけるカーニバル化は、独特の活力を生んでいる。セリフの多声性は、人間の未完結を示すし、それが人間の実相だとも思えた。
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[ 内容 ] 《ポリフォニー》と《カーニバル》二つのキイ概念で解く「対話」の本質。 [ 目次 ] 第1章 ドストエフスキーのポリフォニー小説および従来の批評におけるその解釈 第2章 ドストエフスキーの創作における主人公および主人公に対する作者の位置 第3章 ドストエフスキーのイ...
[ 内容 ] 《ポリフォニー》と《カーニバル》二つのキイ概念で解く「対話」の本質。 [ 目次 ] 第1章 ドストエフスキーのポリフォニー小説および従来の批評におけるその解釈 第2章 ドストエフスキーの創作における主人公および主人公に対する作者の位置 第3章 ドストエフスキーのイデエ 第4章 ドストエフスキーの作品のジャンルおよびプロット構成の諸特徴 第5章 ドストエフスキーの言葉 [ 問題提起 ] [ 結論 ] [ コメント ] [ 読了した日 ]
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ポリフォニー小説やカーニバル文学といった横文字はひとまず横に置いておこう。本書が素晴らしいのは、ドストエフスキーの小説の本質が「対話」にあることを浮き彫りにしたことにある。登場人物は対話を何より求めている。それは自分以外の他者以外にも、「人間は決して自分自身と一致しない存在である...
ポリフォニー小説やカーニバル文学といった横文字はひとまず横に置いておこう。本書が素晴らしいのは、ドストエフスキーの小説の本質が「対話」にあることを浮き彫りにしたことにある。登場人物は対話を何より求めている。それは自分以外の他者以外にも、「人間は決して自分自身と一致しない存在である」が故に現れる自らの中の他者、自らの中の分裂した自己に対する対話を求めているのだという。ドストエフスキーは無数の声無き声を聞き、それを自らの中で歪曲することなく互いに対話させる事ができたのだという評価をバフチンは確立させたのだ。
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作者はこの長大な論文の最後、ドストエフスキーの創造した芸術圏と同化し、彼以上の複雑な芸術的な世界モデルに達するためには、モノローグ的慣習を捨てなければならないと書いている。 ここでのモノローグとはいわばプロトタイプのことで、それはもしかしたらライトノベル的なキャラ小説の本質である...
作者はこの長大な論文の最後、ドストエフスキーの創造した芸術圏と同化し、彼以上の複雑な芸術的な世界モデルに達するためには、モノローグ的慣習を捨てなければならないと書いている。 ここでのモノローグとはいわばプロトタイプのことで、それはもしかしたらライトノベル的なキャラ小説の本質であるのかもしれない。 そう考えると、芸術という分野ではライトノベルは認められないということになるが、それは一方でドストエフスキー的なものとは違う別角度でのまったく新しい芸術のスタイルに成長することも暗示しているのかもしれない、なんてことを思った。
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ドストエフスキー文学を知る上で、避けて通る事のできない「複数のパースペクティブ」(柄谷行人)あるいは「ポリフォニー」という言葉。圧倒的な分析力でそれを初めて提示したのがこの論文。歴史やら音楽史やらを交えて紡ぎ上げた驚異の書である。
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ロシア随一の文豪の作品についての評論。「カーニバル」という伝統と「ポリフォニー」という革新。2つの生き生きしたコンセプトを駆使した骨太な名著。
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