とり残されて の商品レビュー
やっぱり面白い。寝食忘れてというのは彼女の本を読むときの状態をさすものだと思う。どの短編も解決するというわけでなく「その先」がちらっと見えていて、大半が怖い。「とり残されて」の主人公の怨念、「おたすけ淵」のその後の人生、「たった一人」のいっけん純粋な主人公の決意。でも、怖い世界で...
やっぱり面白い。寝食忘れてというのは彼女の本を読むときの状態をさすものだと思う。どの短編も解決するというわけでなく「その先」がちらっと見えていて、大半が怖い。「とり残されて」の主人公の怨念、「おたすけ淵」のその後の人生、「たった一人」のいっけん純粋な主人公の決意。でも、怖い世界でも少し「そうであってくれたら」と思ってしまうところがあり、主人公達の一途さ、世界を歪ませてしまう意志の強さを私も持ちたい。
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もう大分前のことになるので宮部みゆきに出会った最初の作品が何だったのか、うろ覚えです。 「クロスファイア」だったのか、「龍は眠る」だったのか、それともこの「とり残されて」だったのか。 未だに、宮部みゆきの中でどれが一番好きかな?と考えると 「とり残されて」の中の最後の短編...
もう大分前のことになるので宮部みゆきに出会った最初の作品が何だったのか、うろ覚えです。 「クロスファイア」だったのか、「龍は眠る」だったのか、それともこの「とり残されて」だったのか。 未だに、宮部みゆきの中でどれが一番好きかな?と考えると 「とり残されて」の中の最後の短編、「たった一人」。 そう答えると思います。 短い作品ですが、それくらい自分の琴線に触れる何かが詰まった作品でした。 今回久しぶりに読み直しました。 全編を通して読み直すのは3度目位かな。 それでもまた新鮮に楽しめました。 それにしてもこの文庫の表紙は・・・怖いですよね。 表紙を見て手に取るのやめる人もいそう。 6つの物語が入っています。 この6つの取り合わせで1冊というのが絶妙なバランスの作品達です。 「とり残されて」 「おたすけぶち」 最初の2作品は「世にも奇妙な物語」に出てきそうなぞくっと来るラストを持つ作品です。 「とり残されて」は最後の最後に見せられたヒロインの強い意志に鳥肌が立ちました。 「私の死んだ後に」 ちょっとここで一息、切ないけど前向きなそんな1篇です。 「居合わせた男」 「囁く」 どちらも最後の最後にあっそう来たか、とほんの一行で「ぞぞぞ」とさせられるお話です。 「いつも二人で」 ちょっとまた一息、ほのぼの系です。そして・・・。 「たった一人」 ある女性が探偵事務所を訪ねる。毎晩夢に出てくるある場所を探して欲しいという依頼を持って・・・。夢の場所探しを続けるうちに意外な事実が・・・。 この「たった一人」。 これは何度読んでも心にしがみついてくる作品です。 ストーリー展開だけではなく、細かい筆致が、すべてが響いてくる。 探偵河野とOL梨恵子、最初から最後まで二人の距離感がとてもじれったく切なく絶妙です。 (更に河野さんが素敵なんですよね、これが。) 夢の場所を二人で検証していくうちに明らかになっていく事実。 でもその事実を全部知ってしまったとき、同じ地面に立っていたはずの二人は・・・。 物語の中で宮部さんはこう記しています。 「退化していまっている人間の本能のなかで、ただひとつだけ、自分が必要としている人、離れたくないと思っている人と引き離されてしまうという、死よりも恐ろしい事実を認識するコードだけが、まだ残っているのだ」と。 その予感が的中したとき人はどうやって生きていくのか。 解説の北上さんもおっしゃってますが、最後の梨恵子の独白部分が秀逸です。 ここを読むために他を読むといっても過言ではないくらいです。 大切な人のそばにいるために人は強くなる。 とても切ないけど、未来を、自分を信じてみようと思えるそんな作品です。
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宮部さんの作品だけど、表紙が気持ち悪いのでこれまで読まずにいた本です(^-^;) でも中身は秀逸☆★全7話収録、それぞれにすっかり魅せられました〜(´▽`) 『とり残されて』 ‥‥私は会議室にいた。たくさんの資料を、二十数部ずつコピーにとり、それを広い机の上いっぱい...
宮部さんの作品だけど、表紙が気持ち悪いのでこれまで読まずにいた本です(^-^;) でも中身は秀逸☆★全7話収録、それぞれにすっかり魅せられました〜(´▽`) 『とり残されて』 ‥‥私は会議室にいた。たくさんの資料を、二十数部ずつコピーにとり、それを広い机の上いっぱいに並べて、順々にそろえてホチキスで綴じる。単調な手仕事で、頭は使わない。だから私は別のことを考えていた。人を殺せたらどんなにいいだろうと思っていたのだ。 『おたすけぶち』 ‥‥「ずっと監視してた甲斐があったよ。俺の描いた地図は正確だったな」 『私の死んだ後に』 ‥‥「見て!あなたの右手、動いてるじゃない!」 『居合わせた男』 ‥‥「俺もこれからは、列車のなかで乗りあわせた女の子の話に首をつっこんだりしないと決めた」 『囁く』 ‥‥「その事件を起こしたあと、〈囁き〉に従ったあと、どんな気持ちだと話していましたか?」「楽になった、って」今出川氏は、ぽんと片手で膝を叩いた。「楽になった!」 『いつも二人で』 ‥‥聞こえたと同時に、真琴は両手でぴしゃりと口に蓋をした。そんなバカな。「驚かないで。手を離してくれない?話ができないもの」 『たった一人』 ‥‥運命を変えてはいけないなんて、戯言だ。それじゃ生きる価値もない。
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短編集。 うーん…今まで読んだ宮部作品は短編も長編も面白かったけど… これはあまり記憶にも残らない感じ。
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宮部みゆきの短編集。 ホラー系でしょうか。ヒヤっとコワっとするところがあったり、最後暖かくなるものがあったり。
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宮部みゆきさん短編作。 収録作品は表題作ほか「おたすけぶち」「私の死んだ後に」「居合わせた男」「囁く」「いつも二人で」「たった一人」 ちょっとホラー系小説です。 私は「たった一人」が良かったです。 でも、全体的に暗かったな〜。 本当はほのぼの系の「我らが隣人の犯罪」が読みたかっ...
宮部みゆきさん短編作。 収録作品は表題作ほか「おたすけぶち」「私の死んだ後に」「居合わせた男」「囁く」「いつも二人で」「たった一人」 ちょっとホラー系小説です。 私は「たった一人」が良かったです。 でも、全体的に暗かったな〜。 本当はほのぼの系の「我らが隣人の犯罪」が読みたかったのですが、手元にこれしかなかったので。
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内容(「BOOK」データベースより) 勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が…。その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など六篇を収録。巧みな伏線、鮮やかな舞台...
内容(「BOOK」データベースより) 勤め先の小学校で、ヒロインは「あそぼ」とささやく子供の幻に出会う。そんな折、校内プールに女性の死体が…。その謎にせまる表題作ほか、夢の「場所」捜しから始まる内面の旅を描いて名作の聞こえ高い「たった一人」など六篇を収録。巧みな伏線、鮮やかな舞台設定。清新にして熟達の筆致をおたのしみください。
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婚約者を交通事故で喪った教員の「私」は子供の幻を見る。そして中年教師の死体が 学校プールに……。とっておきの短篇ミステリー集!
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幽霊とか生と死の狭間とか出てくる。確かにヒヤッとする場面もあるんだけど、不思議とあんまり怖くない。むしろ切ない場面の方が多かった。自分の思い通りに行く人生なんてありえないんだなって。でも「たった一人」はそれでも希望を見出してる。そういう凛とした姿すてき。
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怖くて不思議な短篇集。薄ら寒い怖さがあるのですが、面白いので止められない。気味の悪い余韻が残ります。
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