重力と恩寵 の商品レビュー
生きることはひとつの思想である。そして、死もまたひとつの思想である。神によりよく遣えるものは、必ず神の裏切りに逢う。なぜならば、神は人が神の力にすがって生きることを望んでいないから。そう信じて、無神論者こそがよりよく神の教えに遵う者だと言い切った、異端の人。貧困のものが自分の糧を...
生きることはひとつの思想である。そして、死もまたひとつの思想である。神によりよく遣えるものは、必ず神の裏切りに逢う。なぜならば、神は人が神の力にすがって生きることを望んでいないから。そう信じて、無神論者こそがよりよく神の教えに遵う者だと言い切った、異端の人。貧困のものが自分の糧をたよって、その財を盗むならばそれは構わないと信じて、家のテーブルの上に財布を投げ置いたという、そんなエピソードを持つ。ヴェイユは生きることが思想であることを知っていた人なのだろう。そして、嘘か真かはさておき、民衆のために命を投げ打つ思想を生きて見せてキリストのならいを忘れずに、自分もまた神の手をまたずに、自らに鞭打ちながら他人の幸福を祈った数少ない学者である。祈ることは痛切である。そしてそれは届かない。それに耐えてこそはじめて信仰は得られるものなのだろう。世の中の大半の信徒はニセモノである。そして、私はニセモノにさえもならず、怠惰のなかに無神論者を生きている。
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-服従は、最高の徳である。必然を愛すること- フランスの女性思想家で、1943年34歳のとき、食物を拒否し、死去したシモーヌ・ヴェイユ。論理的で、鋭く、激しいまでに厳しい言葉の数々は魂を揺らします。世事にキュウキュウとして弱弱しくなっている自分に喝!
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ギュスタヴ・ティボンがヴェイユのカイエを編集して出したもの。ヴェイユの(一応)処女作品。訳は田辺保。 鏤められた真理を鋭くついた言葉達。箴言集のようなもの。
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エックハルトに続いて再読。文庫派なので、カイエは買わない。認識のレベルでなく、現実の苛烈な生活の中で魂の真空化=自己の蒸発を実践して行く様は壮観だけど、コワイよこの姉さん。高野悦子の「二十歳の原点」思い出してしまった僕はダメ男ですか。そうですか。ふと想像したんだけど、この徹底的に...
エックハルトに続いて再読。文庫派なので、カイエは買わない。認識のレベルでなく、現実の苛烈な生活の中で魂の真空化=自己の蒸発を実践して行く様は壮観だけど、コワイよこの姉さん。高野悦子の「二十歳の原点」思い出してしまった僕はダメ男ですか。そうですか。ふと想像したんだけど、この徹底的に下降してゆくことで一発逆転して天上へ離脱していこうとする女性の、日々の生活のメモ群が、現在の日本のweb日記文化の中で展開していたらどうなったろう?故・南條あやのメールサイト(町田あかね時代の方ね)を超えるサイトになったんではなかろうか。おっと、妄想が過ぎたね。
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