実存からの冒険 の商品レビュー
ニーチェ、ハイデガーの哲学からの実践論がいささか普通のオチだが、そういうものだろう。哲学的考察を経て、提出された普通の結論は、いわゆる普通ではないのだろう。今までの日常が違って見える的な。自己了解と相互了解の重要性。 近代史を踏まえて展開された、現代思想批判が痛快。1989年の...
ニーチェ、ハイデガーの哲学からの実践論がいささか普通のオチだが、そういうものだろう。哲学的考察を経て、提出された普通の結論は、いわゆる普通ではないのだろう。今までの日常が違って見える的な。自己了解と相互了解の重要性。 近代史を踏まえて展開された、現代思想批判が痛快。1989年の作。 巻末の読書案内が魅力的。
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数十年前、「ヘーゲル 大人のなりかた」を読んでえらく感動したことを覚えている。本の断捨離をしようと思って本棚を整理していたらこの本が出てきた。在野の哲学者、西研の処女作であるこの本には「哲学する」とはどういうことかという彼の原点がある。「ヘーゲル〜」のような緻密さはないが、とにか...
数十年前、「ヘーゲル 大人のなりかた」を読んでえらく感動したことを覚えている。本の断捨離をしようと思って本棚を整理していたらこの本が出てきた。在野の哲学者、西研の処女作であるこの本には「哲学する」とはどういうことかという彼の原点がある。「ヘーゲル〜」のような緻密さはないが、とにかく考えることへの情熱に満ち満ちている。とりわけ第1章のニーチェ論が素晴らしい。若い時に現象学をつまみ食いして訳が分からなかったけど、こんな身近なものだったのかと、まさに目から鱗。埃だらけで積み上がっている岩波文庫の哲学書が捨てられなくなってしまった。
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人はみんな、各々の人生を生きている。 例えば家族とか、学校とか、会社とか、そういった社会に所属しながら生きている。 だけど、人は孤独だ。 何故なら、私は社会の一員だけれど、社会は私ではないからだ。 例えば、サラリーマンは会社で仕事を懸命に頑張っていたり、学生も、そこそこ勉強を頑張ってはいるけれど、仕事や勉強を頑張る事が自分の人生の目的だと思っている人は多くなかったりする。 社会から脱落しないために頑張ってはいるものの、私の人生はこれでいいのかなという不安は、行く場もなく、私達は寄る辺なさを感じながら生きている。 著者は、この行き場を無くした私達の想いに、「形」を与える1つの考え方として、ニーチェとハイデガーを通して「実存主義」を解説してくれている。 ニーチェは、当時「真理」として考えられてきた神や社会主義の理念に疑問を持った。何故かと言うと、キリスト教信者にとっての真理は神であり、社会主義者にとっての真理はマルクスだからだ。つまり、当事者によって「真理」というものは異なるからだ。 そこでニーチェは、生物学をヒントに、生命体の根源には、(自己保存及び成長をめざす根源的欲求)があると考え、それを「力への意志」と命名した。 この「力への意志」という概念から「真理」というものを捉え直してみると、立場による「真理」の違いの理由がわかる。 つまり、「真理」というものは、予め存在しているわけではなく、当事者にとっての「力への意志」に沿うものが、神やマルクスを「真理」であると解釈しているだけなのだと。 だから、ニーチェは「神は死んだ(万人に共通する普遍的な真理は存在しない)」と言い、だからこそ、「超人」になれと言った。 ここで言う「超人」とは、「力への意思」を体現する人間の在り方のことである。 人間には、成長したいと思う根源的欲求がある。好みが人によって異なるように、「力への意思」もまた人によって異なる。 今の自分にとって有意義な、納得できる生の可能性を模索し、切り開いていくこと。 そういった努力が人間に生きる力を与えてくれるのだ。 と、ニーチェは私たちを勇気づけてくれている。 「生」から生き方を考えたニーチェに対して、「死」から生き方を考えたのがハイデガーだ。 ハイデガーは、人間の在り方について、「本来性」(個人的な重要性)と「非本来性」(社会的、常識的な重要性)の2つに区別して、「本来性」を自覚した生き方が大切だと説く。 私達は、必ず「社会」と何らかの関わりを持ちながら存在していて、「常識」を共通認識として了解している。 だからこそ、勉強とか、仕事とかに対する「常識」をある程度受け入れて、生きている。これが、「非本来性」。 これに対して、「本来性」とは、今の自分にとって重要かどうかを自覚した生き方のことだ。 「死」という「私」以外には代替できず、逃避不可能な事実を前にした時、「私」は、今の自分にとって重要かどうかを考え、決断することができるのだとハイデガーは考えた。 ここに来てついに、想いに形を与えることができる。 それはつまり、「今自分に何ができるのか」「自分としては何を望むか」ということを決断すること。自己決定としての自己了解が、ニーチェとハイデガーから学べる生き方だと言うこと。
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ニーチェとハイデガーの思想の解説と、著者の考える「実存」の立場の内容が、分かりやすいことばで語られています。 ニーチェについての解説では、孤独に苦しみながらも、自分自身の生き方をもっと豊かなものにしようと進んでいく姿勢が、生き生きとした文章で論じられています。ハイデガーについて...
ニーチェとハイデガーの思想の解説と、著者の考える「実存」の立場の内容が、分かりやすいことばで語られています。 ニーチェについての解説では、孤独に苦しみながらも、自分自身の生き方をもっと豊かなものにしようと進んでいく姿勢が、生き生きとした文章で論じられています。ハイデガーについては、竹田青嗣の『ハイデガー入門』(講談社選書メチエ)などと内容が重なるところが多く、あくまで実存的な立場からハイデガーの哲学を解釈しています。 読むと元気の出てくるような、哲学の本です。
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今の自分を受け入れつつ、やってみたいことに挑戦してみようというやる気がわきました。 作者が紹介している哲学の本を読んでみたいと思いました。 志學館大学 : 大根
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非常に読みやすい哲学入門の本。 特に第一章のニーチェ論は著者のニーチェ愛がにじみ出ている。 私もその気にあてられたか、改めてニーチェを読みたくなった。 そのニーチェからハイデガー、フッサールと現象学の見直しからポストモダニズムの批判へと至る。 哲学に興味を持って最初の本に。 また...
非常に読みやすい哲学入門の本。 特に第一章のニーチェ論は著者のニーチェ愛がにじみ出ている。 私もその気にあてられたか、改めてニーチェを読みたくなった。 そのニーチェからハイデガー、フッサールと現象学の見直しからポストモダニズムの批判へと至る。 哲学に興味を持って最初の本に。 また、現在の主流(ポストモダン)ではないところに目を向けてみるよい機会になる本。
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【ニーチェ】「真理批判」「生の肯定」 「力への意志」p39 「ルサンチマン」と「畜群本能」p46 「ニヒリズム」p63 「超人」と「永遠回帰」p77 【フッサール】 「内在」と「超越」p115 「間主観性」「調和的進行」「志向性」p124 【ハイデガー】「可能性の了解」 「可能性とは欲望の通路である」p136 「用在性」と「客体性」p138 「世界とは、道具連関の総体であり、さまざまな存在可能性はそこから現存性に指示されている」p149 「開示性」p149 「情状性(気分)」p159 「被投性」p164 「本来性」と「非本来性」p167 人間は、死を恐れる存在である、というよりも、むしろ自分の中核をなす存在可能性の死を恐れる存在なのではないか。p187
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ちくま学芸文庫版は、1995年刊行。 1989年に毎日新聞社から、「知における冒険」シリーズの1冊として刊行された単行本の、文庫化。
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「実存」という言葉がキライで、「冒険」という言葉にも辟易していて、ずーっと読まなかった(読めなかった)一冊(笑)。哲学は、あくまで<私>のための学であっていい、と個人的には思える。だから、必要な人が、必要な時に読めばいいなーと。それでも、こーいう入り口があることは、生きる技術の一...
「実存」という言葉がキライで、「冒険」という言葉にも辟易していて、ずーっと読まなかった(読めなかった)一冊(笑)。哲学は、あくまで<私>のための学であっていい、と個人的には思える。だから、必要な人が、必要な時に読めばいいなーと。それでも、こーいう入り口があることは、生きる技術の一環を知っておく、という意味で悪くないと思う。お勉強としてではなく、自己について、他者関係について、あるいは、社会的存在としての人間について、先人がいかに悩みつつ生きていたのか、勇気づけられたり、共感したり、痛い気分にもなる。個人的には、ニーチェを論じた章に、わくわくさせられた。筆者自身の体験を交えつつ、率直で歯切れのよい平易な文体もいい。
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