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「明治」という国家(上) の商品レビュー

3.8

13件のお客様レビュー

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2022/09/08

幕末から明治へと一大転換する時代を背景に、瓦解寸前の德川幕府から引き継いだ〝無形の精神遺産〟のうえに成立した「明治」という国家論を展開する国民作家・司馬遼太郎(1923-1996)氏が、歴史を書きかえた人々を通して語った明治草創期の日本人論。大老井伊直弼の命で遣米使節の目付役とな...

幕末から明治へと一大転換する時代を背景に、瓦解寸前の德川幕府から引き継いだ〝無形の精神遺産〟のうえに成立した「明治」という国家論を展開する国民作家・司馬遼太郎(1923-1996)氏が、歴史を書きかえた人々を通して語った明治草創期の日本人論。大老井伊直弼の命で遣米使節の目付役となった小栗上野介忠順の憂国論、〝青写真〟なき新国家に喘ぐ「薩長の世」の迷走、無血革命に終わった「廃藩置県」を〝逆臣だ〟と西郷隆盛を罵った島津久光など、卓越した司馬史観が炸裂する。

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2019/06/13

司馬遼太郎が解釈するところの明治史観が描かれている。この人は基本的に明治維新に対してポジティブなんだよね。(著作を読めば、そりゃそうだろうって感じだけど)

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2015/02/17

「日本」という国家を築いた「明治の父たち」を高く評価する著者の歴史観は、「司馬史観」と呼ばれていますが、本書はその著者の考え方が分かりやすく語られています。 著者は、小栗忠順と西郷隆盛の2人の業績をとりわけ高く評価しています。幕府に仕える立場にありながら、新しい時代への展望を持...

「日本」という国家を築いた「明治の父たち」を高く評価する著者の歴史観は、「司馬史観」と呼ばれていますが、本書はその著者の考え方が分かりやすく語られています。 著者は、小栗忠順と西郷隆盛の2人の業績をとりわけ高く評価しています。幕府に仕える立場にありながら、新しい時代への展望を持っていた小栗は、横須賀に巨大なドックを建造する仕事に尽力しました。ドック工事の見通しが得られたある日、工事を監督する仕事を務めていた栗本瀬兵衛に対して小栗は、「あのドックが出来あがった上は、たとえ幕府が亡んでも“土蔵付き売家”という名誉をのこすでしょう」と声をかけたといいます。そして、じじつこのドックは明治国家の海軍工廠なって、新時代の日本の造船技術の発展に大きく寄与することになりました。著者はこのことをもって、小栗が「明治の父」の一人だと論じています。 もう一人の西郷隆盛については、廃藩置県がもっとも高く評価されるべき業績だと論じられています。廃藩置県とは、勝者も敗者も、武士がすべて失業するということであり、明治維新以上に革命的な意義を持っていました。山県有朋から廃藩置県の必要を説明された西郷は、即座に決断を下し、そのためにほぼ無血で廃藩置県がおこなわれることになりました。 こうした、小栗と西郷に見られる「公」の感覚とモラルに対して、著者は惜しみない賛辞を送っています。

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2013/07/31

上下巻読了。明治維新を題材に、文化論、文明論、民族学等を広範に織り重ねた日本国家論。基はNHKの番組口述。氏の小説によくある「余談だが…」の部分を集めたものといえるが、喋り口調のせいか掘り下げが浅い気も。包括的総合的にすぎて、司馬の局所的面白さに欠ける。

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2013/05/10

まず、この本は中立の立場から書かれているわけではなくあくまでも司馬氏が中心となって書かれていると感じた。しかし、幕末から明治に入るまでの国内の大まかな状況や、重要な外交や政治家が取り上げられている。明治という時代がいまいち曖昧だったので改めて見直すいい機会になりました。新政府へ切...

まず、この本は中立の立場から書かれているわけではなくあくまでも司馬氏が中心となって書かれていると感じた。しかし、幕末から明治に入るまでの国内の大まかな状況や、重要な外交や政治家が取り上げられている。明治という時代がいまいち曖昧だったので改めて見直すいい機会になりました。新政府へ切り替わっても江戸以前から作りあげられていた日本を覆すまでのセクションが見応えアリ。

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2012/12/17

  今、司馬遼太郎の「明治という国家」を読んでいる。司馬さんの書いた歴史本と云えば、読む前から面白いことはとっくに判っているわけで、こんな感想など書くことでもないのだが、ちょいと感銘したので一言というところだろうか。   この上巻に登場する幕末の小栗忠順(おぐりただまさ)という人...

  今、司馬遼太郎の「明治という国家」を読んでいる。司馬さんの書いた歴史本と云えば、読む前から面白いことはとっくに判っているわけで、こんな感想など書くことでもないのだが、ちょいと感銘したので一言というところだろうか。   この上巻に登場する幕末の小栗忠順(おぐりただまさ)という人物、これまでその名前など聞いたこともなかったが、この人も西郷隆盛などとともに「明治の父」の一人として司馬さんは取り上げる。この人物、旗本の家柄から勘定奉行兼海軍奉行という要職に付くが、次の日本を見据えてという点では勝海舟と相通じるものがある。列国に伍してゆくには日本も船を軍艦を持たなければならないとし、横須賀に巨大な海軍基地(造船所)を造るべく、その金策に苦心惨憺。ほぼ完成間近となったところで明治維新となるわけだが、彼の大きいのは、その基地は幕府滅亡後にも残って日本の礎になることを前提にしていたこと。要は日本という国の将来を睨んでのことだ。明治期以降、現在にも繋がる横須賀の姿は彼が描いた通りに日本を引っ張る原動力になったということができる。   司馬さんのこの辺りの話しっぷり書きぷっりがまた素晴らしく、幕末から明治にかけて本当の憂国の士がどれほどのものであったのかがひしひしと伝わってくる。しかも潔い。対して現代の日本、時代背景が違うとはいえ、命を懸けて国家のために尽くす、時代が変われば潔く身を引く、それほどの人間がどれほどにいるものだろうか。まあ、明治は遠くになりにけり、ということなのだろうが・・・・・。   時折りこうして司馬遼太郎のノンフィクションを読んでみると、いつものように忽ちのうちに引き込まれてしまう。これまでも随分読んできたものの、この際徹底的に読んでみようかという気持ちがふつふつと沸いてくるのだが・・・・。

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2011/11/04

明治以前の日本には豊かで多様な文化があったから明治という国家が出来上がった。だれも陣頭指揮をとれなかったのに、だ。

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2011/06/12
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 「明治」は清廉で透きとおった“公”感覚と道徳的緊張=モラルをもっていた。 維新を躍進させた風雲児・坂本龍馬、国家改造の設計者・小栗忠順、国家という建物解体の設計者・勝海舟、新国家の設計助言者・福沢諭吉、無私の心をもち歩いていた巨魁・西郷隆盛、国民国家の形成を目指したかれら“明治の父たち”は偉大であった。 本書は、明治草創の精神を捉え直し、「明治国」という人類普遍の遺産を巨細に語りつくす。 これは、著者畢生の日本論であり、鮮明な日本人論である。 [ 目次 ] 第1章 ブロードウェイの行進 第2章 徳川国家からの遺産 第3章 江戸日本の無形遺産“多様性” 第4章 “青写真”なしの新国家 第5章 廃藩置県―第二の革命 第6章 “文明”の誕生 [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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2018/10/14

司馬遼太郎が、明治に新しい国家を設計・建設した人々の志の高さと気概について講演した内容をまとめた本。 NHKブックスらしい、実践的な教養を真摯な読者へ、というニーズにはうまく合致している。リラックスして読むのにちょうど良いが、司馬の愛読者であれば改めて手に取るほどのことはないだ...

司馬遼太郎が、明治に新しい国家を設計・建設した人々の志の高さと気概について講演した内容をまとめた本。 NHKブックスらしい、実践的な教養を真摯な読者へ、というニーズにはうまく合致している。リラックスして読むのにちょうど良いが、司馬の愛読者であれば改めて手に取るほどのことはないだろう。 勝海舟、小栗上野から伊藤博文に至るまで多くの人のエピソードが、あちこち飛び火しつつ紹介されている。

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2011/01/17

「明治」というのを今一度見返した作品。司馬遼太郎が語りかけるような文体で非常に読みやすい。 「明治」という時代は、「コレコレこうする」といった青写真無しに、世界的な時代の流れに伴って出来上がった時代。司馬曰く、青写真があったのは坂本竜馬のみ。そんな中、明治という時代が整っていった...

「明治」というのを今一度見返した作品。司馬遼太郎が語りかけるような文体で非常に読みやすい。 「明治」という時代は、「コレコレこうする」といった青写真無しに、世界的な時代の流れに伴って出来上がった時代。司馬曰く、青写真があったのは坂本竜馬のみ。そんな中、明治という時代が整っていったのは、各藩(主に薩長土肥)の風土がうまく違ったためだった。 天下をひっくり返した侍が、廃藩置県など侍を否定する政策を大きな反乱もなく成し遂げていけた理由と、そこに携わった侍の感情が見えてきた本だった。

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