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書とはどういう芸術か の商品レビュー

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7件のお客様レビュー

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2021/07/11

理論派として他の書家とは一線を画する著者が、あらためて「書とは何か」を問う。そもそも筆で字を書いただけのものが芸術たり得るのか(この話は毛筆常用時代の議論なので、疑問を呈する立場から言えば「ワープロ印刷が芸術足り得るか」くらいの議論だったのだろう)という話から始まり、著者独自の「...

理論派として他の書家とは一線を画する著者が、あらためて「書とは何か」を問う。そもそも筆で字を書いただけのものが芸術たり得るのか(この話は毛筆常用時代の議論なので、疑問を呈する立場から言えば「ワープロ印刷が芸術足り得るか」くらいの議論だったのだろう)という話から始まり、著者独自の「筆蝕」理論に基づく書史の展開、比田井天来以降の近現代に発生した前衛書道の歴史的な位置付けから、「読めなければ書ではない」という思いから急速に言葉に回帰した「今」の書道まで、所狭しとぶった斬る。著者には同じテーマをさらに歴史的に俯瞰した『日本書史』、『近代書史』という畢生大作があるが、これは一般の人でも読みやすい新書版。

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2018/11/18

書は彫刻だ、っていうのが面白い たしかに、シュメール人の最初の文字も、粘土に跡をつけるもんだ。甲骨文字だろうとなんだろうと、文字の役割は、改変できない記録、であったんだから、彫ることから始まるよね。 アステカ文字なんてまさに彫刻 エジプトも彫ってる 彫刻的なものしか残ってな...

書は彫刻だ、っていうのが面白い たしかに、シュメール人の最初の文字も、粘土に跡をつけるもんだ。甲骨文字だろうとなんだろうと、文字の役割は、改変できない記録、であったんだから、彫ることから始まるよね。 アステカ文字なんてまさに彫刻 エジプトも彫ってる 彫刻的なものしか残ってないからそうみえるのか? いや、残るものだから彫刻が選ばれたんだというので良い気がする。 中国の筆はだから彫ることを背負ってる。 対して日本の筆は、そこまで背負ってない。「はく」「はらう」みたいなもんで、天然自然の比喩で、余白には水が流れる、みたいな言いぶりも、なるほど、そうかもしれん 彫刻があくまでモノラルな素材なのに、紙に書くと、紙と墨と2種類になる、というのもなるほど、考えたことなかった 「紙が白いこと、白紙であることにはもっと注意をはらってよい」これもいいね 井上有一とかを何度見ても感動しなかったので書はよくわからんと思ってたけど、安心した 述語ばっかで主語をどうともしてない、という近代批評は定番的だけどそのとおり 重力関係のなかを生きる姿を描き出す、というのも良かった。重力は今のところの引き続きキーワードだ。 「文字を話し」「文字を聞く」の東アジアの言葉と、「声を書き」「声を読む」の西欧の言葉の在り方の対比から、ソシュールを底が浅いと言うところもいい。ソシュール、ちゃんとはまだ読んでないけど、断片的に引用とかから知る限りでは、それって日本語に通じなくない?と思ってた。 白川静とかも否定的だったらしい。 だから逆に興味わくんだけどね。ソシュールまでどんだけあとかかるんだ、、、。 それはどうかね?というところもいっぱいあったけど、面白い本だった。

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2018/11/06

同氏の著書「日本語とはどういう言語か」で、日本語の文字依存に気付かされた。 では、文字とは?現代言語学に文字学は無い。では、文字道、書道に文字学の姿を見いだせないか。 この興味の道標とすべくこの本を読んだ。 さっぱり分からない。書道に無知すぎるからか、何言ってんのかサッパリ...

同氏の著書「日本語とはどういう言語か」で、日本語の文字依存に気付かされた。 では、文字とは?現代言語学に文字学は無い。では、文字道、書道に文字学の姿を見いだせないか。 この興味の道標とすべくこの本を読んだ。 さっぱり分からない。書道に無知すぎるからか、何言ってんのかサッパリ…涙。

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2013/12/10

著者のエネルギーが感じられる一冊であった。書の美とは何か、歴史の流れを通じて説明されている点は良かった。また、「かきぶり」という表現に大いに同意できた。 ただし、よほど比田井という人が嫌いなのか、文章に強い念が込められたような表現であり、どうしても客観的に著者の主張を判断しにくい...

著者のエネルギーが感じられる一冊であった。書の美とは何か、歴史の流れを通じて説明されている点は良かった。また、「かきぶり」という表現に大いに同意できた。 ただし、よほど比田井という人が嫌いなのか、文章に強い念が込められたような表現であり、どうしても客観的に著者の主張を判断しにくい印象は残る。

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2012/09/29

書を絵画的な造形の美ではなくて、言葉をつむぎ出す力と捉え、書の芸術性を明らかにしていくものです。筆蝕=筆記具の尖端と紙が接触し、離れつつ書き進められていく過程を、書の欠くべからざるものとし、その意義を書史からも展望します。著者の深い洞察と、書についての熱い思いが表れた一冊です。

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2012/02/19

----- 題名のごとく、「書」とはどのような芸術なのかを 体系的に紐解いていく。 言葉を書くことなのか、 書き方の工夫を堪能するものなのか、 「線」のあり方を慈しむものであるのか。 著者は筆蝕というものにその答えを求める。 書かれたものは「線」なのか「文字」なのか「言葉」なの...

----- 題名のごとく、「書」とはどのような芸術なのかを 体系的に紐解いていく。 言葉を書くことなのか、 書き方の工夫を堪能するものなのか、 「線」のあり方を慈しむものであるのか。 著者は筆蝕というものにその答えを求める。 書かれたものは「線」なのか「文字」なのか「言葉」なのか。 ----- どのような芸術でも、歴史的・体系的に積上るものであり、 そこにできた伝統を「壊していく」ことが進化なのだという ことを再確認。 ----- どのような芸術(=表現)であれ、その限界は 道具によっても規定される。 石を削って文字を書く。 木を削って文字を書く。 紙の上に墨を乗っけて文字を書く。 それぞれに違う性質がある。 -----

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2011/04/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

[ 内容 ] 本書は、「書は美術ならず」以来の書論を再検討し、甲骨文から前衛書までを読み解いて、言葉の書体としての書の表現を歴史的、構造的に解き明かす。 [ 目次 ] 序章 書はどのようなものと考えられて来たか 第1章 書は筆蝕の芸術である―書の美はどのような構造で成立するか 第2章 書は筆・墨・紙の芸術である―書の美の価値はなぜ生じるのか 第3章 書は言葉の芸術である―書は何を表現するのか 第4章 書は現在の芸術でありうるだろうか―書の再生について [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]

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