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砂のクロニクル(下) の商品レビュー

4.1

15件のお客様レビュー

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現在も政情不安定な中…

現在も政情不安定な中近東を舞台とした小説。実際ありそうな話なだけに。引き込まれます。様々な人物の視点から描かれていてちょっと読むのにしんどいですが、頭使って読む価値はあります。

文庫OFF

綿密な取材で書かれた…

綿密な取材で書かれた中近東を舞台とした、壮大な小説。

文庫OFF

2022/12/31

イスラム革命後のイランを舞台にした年代記。 主人公も勝者もいない戦いの連続。表題のとおり砂の上を風が洗い流していくような展開の連続に、中盤あたりから空しさを感じてくる。 中東の砂の中の街並みや戦闘風景がありありと目に浮かぶような描写。あっという間に登場人物が殺されて舞台から降りて...

イスラム革命後のイランを舞台にした年代記。 主人公も勝者もいない戦いの連続。表題のとおり砂の上を風が洗い流していくような展開の連続に、中盤あたりから空しさを感じてくる。 中東の砂の中の街並みや戦闘風景がありありと目に浮かぶような描写。あっという間に登場人物が殺されて舞台から降りていく。人の命が軽く感じられる。絶え間なく抗争が続いていくが非常にドライな空気を感じて、なんだか北野武監督のヤクザ映画を見たときのような空しさと渇きを感じた一冊。

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2022/03/16

硬派とは、、大勢の牙城めがけて不意に直撃弾を仕掛ける攻撃者である。革命の側にも、反革命の側にも、民族解放路線にも、弾圧者の傭兵の中にも硬派はいる。 うち棄てられた野獣の如く硬派は吠えつづけ、行動は烈しさを増す。硬派は裏切られ追放される。硬派の行動至上主義はかならず共同体に邪魔に...

硬派とは、、大勢の牙城めがけて不意に直撃弾を仕掛ける攻撃者である。革命の側にも、反革命の側にも、民族解放路線にも、弾圧者の傭兵の中にも硬派はいる。 うち棄てられた野獣の如く硬派は吠えつづけ、行動は烈しさを増す。硬派は裏切られ追放される。硬派の行動至上主義はかならず共同体に邪魔になるからである。裏切りの森を抜け、淋しさの尾根を越え、空しさの谷をはいあがり、硬派がたどり着くのはどんな頂か。

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2014/05/18

クルド人という言葉を、イラク問題あたりで、なんとなく聞いていたけども、実際にどういったことが起きているのか、はっきりいって知らなかったわけで。クルド人に限らず国の中に複数の民族が暮らすという事の難しさは想像以上なんだろう。移民の受け入れも然りといったところだろうか。

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2013/11/07

船戸与一氏の骨太サスペンス作品『砂のクロニクル』を読み終えた。権力を持った政権や統治者が紡いでいく正史とは別に、存在はするのだが表立って記録されていかない外史ともいうべきマイナーな人たちの行動や思いががあることあったことを忘れるな、そういわれた気がした。 この作品はイラン、イラク...

船戸与一氏の骨太サスペンス作品『砂のクロニクル』を読み終えた。権力を持った政権や統治者が紡いでいく正史とは別に、存在はするのだが表立って記録されていかない外史ともいうべきマイナーな人たちの行動や思いががあることあったことを忘れるな、そういわれた気がした。 この作品はイラン、イラクに住んでいていつの時代も主流となりえず苦難の道を歩んでいるクルド人達の戦いの日々が描かれるとともに、そこに武器を供給すべく暗躍するハジといわれる日本人、また中東の地において革命を信じその身を投じてかの地にとどまる事となったもう一人ハジといわれる日本人などなど他にもいるのだがサイドストーリーの主役達の熱い話が絡み合っていて、本当に読み応えのあるサスペンスとなっている。いやー、面白かった。

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2013/05/17

冒険小説というジャンルで初めて感動を覚えた作品。それぞれの登場人物の、善悪を超えた生きるための信義・信念に心を揺さぶられた。

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2012/09/22

後半はあまり進まない展開と細かすぎる描写に、少々読みづらかった。二人の日本人があまり物語の中で効果的な役割をはたしておらず、日本人である必要性はなかったような気もする。終盤は登場人物がどんどん死んでいく。その陰にちらつく利権に群がる人間たちや武器商人。最近のシリアの内戦を見ていて...

後半はあまり進まない展開と細かすぎる描写に、少々読みづらかった。二人の日本人があまり物語の中で効果的な役割をはたしておらず、日本人である必要性はなかったような気もする。終盤は登場人物がどんどん死んでいく。その陰にちらつく利権に群がる人間たちや武器商人。最近のシリアの内戦を見ていても、国家が本気でつぶしにかかるととんでもない死者が出てしまう。独立や革命を掲げて力を使うと、より大きな力でつぶされる。その繰り返しに意味があるのかとも思うが、その陰に莫大な利ざやを得ている人間が必ずいるということだけは間違いないのである。

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2012/07/11

…終盤の展開に入ってきて、やっぱり主要な登場人物達に死亡フラグが立ちまくっているw 読了。歴史に名を残すことのない、しかしたくさんの人間の意志や情念や愚かしさがつまった一つの戦い。個人個人の強い意志が、世界の流れによってあっけなく翻弄されていく。何かが解決するわけでもなく、ただ...

…終盤の展開に入ってきて、やっぱり主要な登場人物達に死亡フラグが立ちまくっているw 読了。歴史に名を残すことのない、しかしたくさんの人間の意志や情念や愚かしさがつまった一つの戦い。個人個人の強い意志が、世界の流れによってあっけなく翻弄されていく。何かが解決するわけでもなく、ただただ、生きていき死んでいった人々が描かれるのみである。 世界史的な観点で、第二次大戦以降の「民族自決」のお話としても、また「イスラム革命」という他に類をみないイランの政治体制の実情が描かれたお話としても面白い。けれど、ここで描かれるのはあくまで、そこで生きている人間である。誰が良くて、悪いかではない。 そしてふと我に返ってみると、今現在の日本に生きているということが、ふと不思議なことにも思えてくる。今ある常識なんて、今この場所でしか通用しないんだろうということも。少し不思議な気分である。

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2012/03/25

文句なし☆×5。船戸与一。映像化が困難な作品を描く作家の一人。 舞台は80年代のイラン。イスラム革命からイランイラク戦争の時代を生き抜くクルド人の民族独立運動がテーマ。本作品短編連作形式になっており複数の主人公が存在する。前半はばらばらの思惑が静かに進行し、後半は一気にクルドの聖...

文句なし☆×5。船戸与一。映像化が困難な作品を描く作家の一人。 舞台は80年代のイラン。イスラム革命からイランイラク戦争の時代を生き抜くクルド人の民族独立運動がテーマ。本作品短編連作形式になっており複数の主人公が存在する。前半はばらばらの思惑が静かに進行し、後半は一気にクルドの聖地マハバードで一気に物語が収束する。宗教、宗派、民族間に横たわる長い歴史を見事に綴っている。歴史の闇に架空の人物が光をあてて事実を明らかにしていく手法は佐々木譲の「ストックフォルムの密使」を彷彿させる。流石の一品です。

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