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カフカとの対話 の商品レビュー

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5件のお客様レビュー

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2023/01/01

カフカという作家は実によくわからない。奇天烈なイマジネーションを発散/噴出させた小説からはなかなか見えにくい「素の顔」があるように思う。このヤノーホによる仕事は、そんなカフカをずっと身近な存在(私たちにとっての「人生の達人」あるいは「教師」)のように見せる/魅せるところがある。今...

カフカという作家は実によくわからない。奇天烈なイマジネーションを発散/噴出させた小説からはなかなか見えにくい「素の顔」があるように思う。このヤノーホによる仕事は、そんなカフカをずっと身近な存在(私たちにとっての「人生の達人」あるいは「教師」)のように見せる/魅せるところがある。今回読み返して、私は彼が何よりも言葉の力を信じていたことに気付かされる。だからこそ罵詈雑言を語る人間を一蹴し、言葉を粗末に扱う風習が長く続くことはないと信じ切ったのだろう。今、言葉は本当に粗末に扱われている。カフカならどう呟いたのか

Posted byブクログ

2020/04/25

これはノンフィクションとされているが、訳者が語っていたようにフィクションも含まれているのかもしれない。別冊「カフカの恋人たち」では彼の悲壮感が顕になっていたが、若きヤノーホに対しては微笑を加えながら諭している場面が多々ある。カフカの言葉に触れる貴重な一冊。

Posted byブクログ

2017/12/18

年下の友人による対話の記録。これが本当なのかどうかはわからない。イエスを語る弟子はこのようではなかったのだろうかと思わせるまるで福音書のようなテキストだった。聖人視のようなところがある。なので、きっとカフカ本人は慌てるような気がする。ただ、書かれてあることは舞台が現代なので、より...

年下の友人による対話の記録。これが本当なのかどうかはわからない。イエスを語る弟子はこのようではなかったのだろうかと思わせるまるで福音書のようなテキストだった。聖人視のようなところがある。なので、きっとカフカ本人は慌てるような気がする。ただ、書かれてあることは舞台が現代なので、より受け取りやすい。書かれた経緯についての話があるかもしれないけれどその中身から考えさせられることはヤノーホにとってのカフカだとしても読むべきところがあるように思う。シュタイナーについての言及などもあり面白かった。

Posted byブクログ

2010/12/21
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

遠くの的を射るためには、的よりも上に矢を放たなければいけない……こういう言葉で、演劇が現実よりも過剰に振舞うことの本質を語っている。ここでの対象は演劇だが、もちろん、演劇に限らずすべての表現に当てはまる指摘だ。とうぜん、アニメにも。というか、アニメほど、このカフカの言葉を真正面から生きているジャンルもないような気がする。(いま、記憶で書いているので、詳細で記憶違いがあるかもしれません)

Posted byブクログ

2010/05/09

もともと本に書き込みをするのは嫌なのだが、これは線だらけ。 そして書き込みをした唯一の本である。 十代の一番多感な時期にカフカと出会ってしまった青年の回顧録。 多分に思い出のなかにあるものとして、そして結末を知っているものとしての感情は差し引いたとしても、マックス・ブロートのフ...

もともと本に書き込みをするのは嫌なのだが、これは線だらけ。 そして書き込みをした唯一の本である。 十代の一番多感な時期にカフカと出会ってしまった青年の回顧録。 多分に思い出のなかにあるものとして、そして結末を知っているものとしての感情は差し引いたとしても、マックス・ブロートのフィルターを通してしかカフカを知らなかった多くの人々にとって、ここには彼のもう一つの肉声が確かにある。 彼の職場へ訪ねて会話をしたくだりなどは、どうしてこのような普通の一役人があのような物語を書くのだろう?という疑問を大きくしたり、小さくしたり。 そして十代の青年が物語の解釈・感想をかの作家と交わすのだ。 (カフカ自身の日記にもヤノーホの訪問について触れてある箇所がいくつかあり、照合していくと興味深い) 私自身、この本に出会ったのが十代の終わりだったが、とにかく読みふけった。そして今もたまに読み返すのだが、線引き部分が妙に照れくさい時もあれば、別の部分に感銘を受けることもある。 「こころ」の先生と私のような関係? しかし、カフカは家族・友人・婚約者など近づこうとする人に警戒心を与えず遠ざける手法をどのように身につけたのか。

Posted byブクログ