北村透谷 の商品レビュー
批評家の視点から、北村透谷の詩や評論などの作品をていねいに読み解いている本です。 『楚囚之詩』や『蓬莱曲』、さらに晩年の抒情詩にかんして、著者自身の解釈が提示されていますが、とくにバイロンへの透谷の傾倒が具体的にどのように彼の作品のうちに反映されているのかということをくわしく考...
批評家の視点から、北村透谷の詩や評論などの作品をていねいに読み解いている本です。 『楚囚之詩』や『蓬莱曲』、さらに晩年の抒情詩にかんして、著者自身の解釈が提示されていますが、とくにバイロンへの透谷の傾倒が具体的にどのように彼の作品のうちに反映されているのかということをくわしく考察しています。 透谷の研究では、勝本清一郎以来、埋もれていた彼の伝記的な事実を掘り起こす努力がつづけられてきており、現在では透谷の実像をかなり正確に知ることができるようになっています。その一方で、「厭世詩家と女性」で近代日本における恋愛観を刷新し、「内部生命論」で文学の領域における内的自由を謳ったことなど、近代日本文学の黎明期を代表する作家・批評家としてのイメージが、広く流布しています。本書の議論は、この二つの透谷の解釈をつなぐ位置にあるもののように感じられます。
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