恋はきまぐれ の商品レビュー
森鴎外 訳「サロメ」を目当てに借りる。 他の所収作も読む。名のみ知っている作家の作品に親しめるのはアンソロジーのよいところ。名前どころか、和田芳恵は女性だと思い込んでいた。 「恋はきまぐれ」という題詠?のもと、古今東西の名作短編・詩・短歌が集められている。ただし、上田敏の訳...
森鴎外 訳「サロメ」を目当てに借りる。 他の所収作も読む。名のみ知っている作家の作品に親しめるのはアンソロジーのよいところ。名前どころか、和田芳恵は女性だと思い込んでいた。 「恋はきまぐれ」という題詠?のもと、古今東西の名作短編・詩・短歌が集められている。ただし、上田敏の訳詩は半ば日本オリジナルと言えよう。 作品の並びに編者の思惑が読み取れる。「サロメ」の前に三島由紀夫「志賀寺上人の恋」を置いたのはお見事。 日本人作家による短編では、横光利一「雪解」、川口松太郎「鶴八鶴次郎」、和田芳恵「掌の恋」が心に残った(うち二つが悲恋、一つが得恋)。 外国人作品ではD・ラニアン「サン・ピエールの百合」。 驚いたのが巻頭「ダフニスとクロエー」。あぁ、ロマンチストが何かと引き合いに出す「ダフニス〜」か。 読んでみて「これ、ホントに古代ローマ人が書いたの? ピエール・ルイス辺りの偽作じゃないの?」(芥川の『奉教人の死』とか、文人ってそういう悪戯をやらかすじゃないですか)。
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里見惇「見事な醜聞」 チェーホフ「犬を連れた奥さん」 川口松太郎「鶴八鶴次郎」 志賀直哉「襖」
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恋というものか何か知らない2人が惹かれあうロンゴスのダフニスとクロエ、叶わぬ幼い恋が切ない横光利一の雪解、年老いて初めて本当の愛を知った老人と寂しい日々を送っていた人妻との恋 チェーホフの犬を連れた奥さん、年も当時で40歳を過ぎた女性として全く興味のない上司の妻と戦時下、さ苦難を...
恋というものか何か知らない2人が惹かれあうロンゴスのダフニスとクロエ、叶わぬ幼い恋が切ない横光利一の雪解、年老いて初めて本当の愛を知った老人と寂しい日々を送っていた人妻との恋 チェーホフの犬を連れた奥さん、年も当時で40歳を過ぎた女性として全く興味のない上司の妻と戦時下、さ苦難を共にした後、若き主人公の情に変化が起こる、里見弴のみごとな醜聞。ただ生涯ひとり愛した女の幸せの為にわざと身を引く、悲しくも粋な川口松太郎の鶴八鶴次郎。悟りをとうに開き浄土を待つだけの上人が間際に美しき御息所へ恋をし、得脱するためには妄念を断ち切るためその恋を御息所へ打ち明けようと決意をして赴く話を書く三島由紀夫の志賀寺上人に恋。 いろいろな世の中や立場の拘束の中での様々な愛の形が描かれた古典の名作集。
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