反芸術アンパン の商品レビュー
アンデパンダンに関わる人の初期衝動に触れられた感じがして面白かった。 60年代は、身体を動かさずにはいられないようなそういう時代のエネルギーを感じる。意志と身体がシンクロしてる。 絵画が立体になりオブジェ化したのもまるで身体を獲得したかのよう。 歩き始めた赤ちゃんみたいに覚束ない...
アンデパンダンに関わる人の初期衝動に触れられた感じがして面白かった。 60年代は、身体を動かさずにはいられないようなそういう時代のエネルギーを感じる。意志と身体がシンクロしてる。 絵画が立体になりオブジェ化したのもまるで身体を獲得したかのよう。 歩き始めた赤ちゃんみたいに覚束ない身体は、どう転がるかわからないけどでもそれが面白いし、とりあえず動きたくて仕方ない。 今や大物の人たちも夢中でその勢いに身を任せてた様子が新鮮であり、若さの爽やかさがあり、個人的には熱量に感化される部分もあり、とても良かった!
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「超芸術トマソン」と韻を踏んだようなんタイトル。 アンパンはアンデパンダン展の事。もともとはパリでサロンに対抗し、誰でも自由に出展できる事を目的として開催された展覧会の事で、国立近代美術館のアンリ・ルソー「第22回アンデパンダン展への参加を芸術家に呼びかける自由の女神」は有名です。 本書は読売新聞の主催で行われていた「読売アンデパンダン」についての回顧録。先鋭化して15回で打ち切られた読売アンデパンダン展からネオダダ等の新しい芸術運動につながっていく流れがなど、1950~60年代の動きがよくわかります。
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1950~60年代、無審査で出品できる読売アンデパンダン展に集った前衛芸術家たちの記録。類型化するヒマを与えず創造を繰り出す芸術家たち。自らの芸術理念が言語化=類型化されれば、その理念自体をも破壊してしまうほどのエネルギー。自由へ向けて突き抜けんとした果ての自己否定の物語。
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赤瀬川原平氏による「読売アンデパンダン」の検証。まさに検証という言葉が相応しい。文体は赤瀬川氏らしく平易なのだけど、その平易な語り口は、単なる「老人」による青春回顧ではない。この人は、読売アンデパンダンという混沌が、その熱が、なんであったかを丁寧に探っていく。15回を数えた読売ア...
赤瀬川原平氏による「読売アンデパンダン」の検証。まさに検証という言葉が相応しい。文体は赤瀬川氏らしく平易なのだけど、その平易な語り口は、単なる「老人」による青春回顧ではない。この人は、読売アンデパンダンという混沌が、その熱が、なんであったかを丁寧に探っていく。15回を数えた読売アンデパンダンの「晩年」に活動した赤瀬川氏は、その立ち上がりの時期や中盤の時代がどうであったのか、当時を知る人に聞きに行く。団体展を否定しようとしていたアンデパンダンが、その最初期は団体展の作家によって構成されていたこと、新聞記者による読売社内の雰囲気、そしてもちろん同時期を平走した同世代の作家まで、一人一人尋ねていく。今も変わらず裸婦を丁寧に書き続ける老画家、大学教授としてすっかり権威になってしまった「アバンギャルド」の作家。今と当時の時代の経過を確かめるように、そして自分の若き日の記憶も掘り起こしながら、「あれ」がなんであったのか確認してゆく。残っていない作品の姿は自分でイラストを書き、巻末には主要な参加作家の一覧表も作る。 この本を貫くのは「正確さ」と「正直さ」への強いこだわりだ。わからないことは「わからない」と赤瀬川氏ははっきり書く。そして、わからないことは調べ、人に話しを聞く。で、やっぱりわからない事はわからない。その「わからなさ」への、にじみでる愛情に、ほんの少し感傷が混ざる。若き日の荒川が、篠原が、中西が、いかにその「わからなさ」のただなかで泳いでいたのか。ぜひ御一読を。
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