夕陽の河岸 の商品レビュー
戦前と戦後を行き来しつつ、取り留めのない事柄に丁寧に目を向けて書かれた作品群に好感をもった。「虫の声」で安岡は紀州に向かう。犬を見に行くためだ。そこで若き頃の中上と思われるN君が車を運転して紀州の街並みを案内する。この話を筆頭に、犬の出てくる話がその後幾つも出てきた。これまで読ん...
戦前と戦後を行き来しつつ、取り留めのない事柄に丁寧に目を向けて書かれた作品群に好感をもった。「虫の声」で安岡は紀州に向かう。犬を見に行くためだ。そこで若き頃の中上と思われるN君が車を運転して紀州の街並みを案内する。この話を筆頭に、犬の出てくる話がその後幾つも出てきた。これまで読んできた安岡の前半期の小説に犬のイメージはなかったが、ひょっとすると晩年期にかけて安岡の生活の周りを犬が歩いていたのかもしれない。彼は犬を撫でていたのかもしれない。 小品集とまとめられた随筆がどれもすばらしかった。「土佐案内記」では大岡昇平の人柄が垣間見え、「瓦解」では色川武大について綴られる。少ない枚数であるが、そのなかに心に留めておきたい内容が詰め込まれていた。そして、「「あめふり」の歌」。「あめふり」という歌への世代間の認識のずれ。これもまた、読めてよかった。
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★3.5のおまけで。 上手い作家の上手い文章、珠玉とはまさにこういうことなんでしょう。エッセイ的な感じではあるものの、そこを超えて「景色」を読者に喚起する力は並大抵のもんじゃぁないでしょう。 今まで読んできたエッセイ的作品の中でも相当に上位にある作品かと思われ。
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古本屋さんで80円で購入。 短編集なのでぽつりぽつりと読みだす。 なぜか、こころにひびく。 『朝の散歩』という短編を読んだら、 国木田独歩さんの『武蔵野』についても書いてあり、 そちらのほうにも興味がわく。 ともに以前から読みたいと思っていた。 鉄腕アトムの漫画の中に『武蔵野』の...
古本屋さんで80円で購入。 短編集なのでぽつりぽつりと読みだす。 なぜか、こころにひびく。 『朝の散歩』という短編を読んだら、 国木田独歩さんの『武蔵野』についても書いてあり、 そちらのほうにも興味がわく。 ともに以前から読みたいと思っていた。 鉄腕アトムの漫画の中に『武蔵野』の文章が出てきた記憶だったり、 安岡章太郎さんは中学校のころだったか教科書で知ったっけ、 記憶をたどる読書だったり、まったく新しい発見があったり、 古典といわれるものにひかれたり、 今年も読書の秋か、積読の秋か・・・
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