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イスラームとは何か の商品レビュー

3.8

35件のお客様レビュー

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2018/10/20

世界三大宗教の中で、唯一日本史に登場しないイスラム教。 なぜこうも日本とイスラームには、越えがたい壁があるのか。 本書では、日本人にはお馴染みだが縁遠い教義である断食、礼拝、巡礼、豚肉食の禁止、アルコールの禁止、女性の権利や着衣の制限などにはほとんど触れられない。 中心とす...

世界三大宗教の中で、唯一日本史に登場しないイスラム教。 なぜこうも日本とイスラームには、越えがたい壁があるのか。 本書では、日本人にはお馴染みだが縁遠い教義である断食、礼拝、巡礼、豚肉食の禁止、アルコールの禁止、女性の権利や着衣の制限などにはほとんど触れられない。 中心とするのは、ムハンマド以降、如何にしてイスラームが確立し、繁栄と衰退を繰り返し、分派したのか。その勢力と権勢に関わる物語だ。 その中身は、ほとんどの歴史と同じく、既存勢力との対立、世襲の成功と失敗、圧政と反乱の繰り返しであり、何度調べてもいまいち記憶出来なかったシーア派とスンナ派の違いさえ、馴染み深い『物語』という枠を通すことで理解できるようになる。 物理的な距離の遠さは生活環境の遠さと重なり、それは心理的な遠さにつながる。 飛行機とインターネットが誕生した現代においてやっと、理解不足からくる不利益が見られるようになってきた昨今だからこそ、たまには楽しむだけではなく、役立てるために歴史を学ぶのも悪くない。

Posted byブクログ

2017/01/03
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

1994年刊行。  かなり前の書籍であるが、単なる通史的な叙述をせず、テーマ的な叙述がなされる。  具体的には、クルアラーン、ハーディスの意味合いや成立、ムハンマドによるイスラム教成立から正統カリフ、ウマイヤ朝、アッバース朝の栄枯盛衰過程、シオニズム運動・イスラエル建国に対するイスラムの立場、カリフ制崩壊後、現代におけるイスラムにおける制度の模索等である。  事件の時系列的な羅列でなく、登場人物の息遣いを感じられる内容なので、高校生がイスラム史・中東史を学ぶ際の背景的な知識となり、無味乾燥な記憶作業の一助となる書といえそう。

Posted byブクログ

2022/06/01

イスラームとは何か。狭義の(特に現代日本的観念の)宗教という枠にはおさまらない。 イスラーム自体が教えそのものである。 本書は20年以上前に書かれたものだ。それ故かイスラームについて落ち着いて説明されている。 とはいえ、かつてのイスラーム黄金期に比べれば、その時点でも「危機...

イスラームとは何か。狭義の(特に現代日本的観念の)宗教という枠にはおさまらない。 イスラーム自体が教えそのものである。 本書は20年以上前に書かれたものだ。それ故かイスラームについて落ち着いて説明されている。 とはいえ、かつてのイスラーム黄金期に比べれば、その時点でも「危機の時代」として、過剰な反応がある、と?明している。 僕はムスリムではないが、イスラームはとてもやさしく包容力がある教えだと思う。一夫多妻制もよく誤解されているが、本書にも解説があるように、原則としては一夫一妻だが、寡婦の救済だったり、戦火などで男女比が崩れたときの措置として一夫多妻が認められている。とにかく、たくさんの女性と関係を持ちたい、という男性の欲望に基づいた制度ではないのだ。「第三夫人」みたいな言い方も誤解のもとで、妻は皆平等で、せいぜい結婚した順序でそう呼ばれることがあるかもしれない、ぐらい。 もちろん本書の内容はそんなことに終止するのではなく、イスラームの勃興から内部の抗争、法学者と神学者の違いなど。日本人の目から見れば、キリスト教との対立、という歴史を持たない分、客観的に見られるはずだが、どうしても遠く感じてしまう。もう少し近くに捉えたい。そのための良書、だと思う。

Posted byブクログ

2016/02/21

イスラームの問題を理解するには、基礎知識をと思って、1年間積読。やっと読了。 学生の頃、イスラーム法の授業も取ったけど、すっかり忘れちまっていたし。 これも20年以上前に書かれた本なので、いまを理解するには、他のソースで情報を補わないといけないけど、宗教であり、社会であり、文化で...

イスラームの問題を理解するには、基礎知識をと思って、1年間積読。やっと読了。 学生の頃、イスラーム法の授業も取ったけど、すっかり忘れちまっていたし。 これも20年以上前に書かれた本なので、いまを理解するには、他のソースで情報を補わないといけないけど、宗教であり、社会であり、文化であるイスラームっていうのをわかっていないと、ボタンの掛け違いっていうのは続くんだろうな。

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2017/04/20

イスラーム入門として最適の書です。歴史、思想、慣習、政治等々、広い範囲にわたる基本的な知識をあまねく得ることができます。 特筆したいのは文章の美しさ。初心者には馴染みの薄い内容も、するすると頭に入ってくるのはこのせいでしょう。

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2015/02/12

20年前の本だけど、そもそものはじめから書いてあるからそんなのは誤差というか、却って示唆に富んでるなと思った。下手に現状を踏まえて書いてあるのに比べてみても、実に今を理解しやすい。ISも、これまでの歴史の中でたびたび起きたイスラム復興運動に、現代兵器と通信・コミュニケーションツー...

20年前の本だけど、そもそものはじめから書いてあるからそんなのは誤差というか、却って示唆に富んでるなと思った。下手に現状を踏まえて書いてあるのに比べてみても、実に今を理解しやすい。ISも、これまでの歴史の中でたびたび起きたイスラム復興運動に、現代兵器と通信・コミュニケーションツールがくっついただけなのかも知れない(もちろんそうではなくまるきりの異端児なのかもしれないけど)。しっかりした深い学識を持った歴史的視野って本当に貴重だな。名著。

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2014/08/28

借りたもの。 初心者がイスラームを知るための入門書として、歴史から紐解いている。 同じセム系一神教であるユダヤ教、キリスト教との違い、相互の認識についても簡潔に書かれ、分かりやすい。そして読み応えがある。 読み進めると、イスラームは宗教でありながら現実主義で、教養溢れるものだっ...

借りたもの。 初心者がイスラームを知るための入門書として、歴史から紐解いている。 同じセム系一神教であるユダヤ教、キリスト教との違い、相互の認識についても簡潔に書かれ、分かりやすい。そして読み応えがある。 読み進めると、イスラームは宗教でありながら現実主義で、教養溢れるものだった。 当初口承であったというコーランに、正しく継承されているか疑念があった。しかしアラビア語が音の言語(表音文字)であり、耳と口で安定して伝わる文化であるという指摘は、目から鱗だった。 イスラーム原理主義の過激派によるテロリズムの影響で、排他的な一神教のイメージを強く持ってしまっていた。この本を読むと、かつてイスラームの国家には法律にも他の宗教を認め、共存する共同体精神があったようだ。 それを読むと現在のテロに一層の嫌悪感と、共存への希望を抱く。

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2014/06/28

イスラームとは何かが詰まりに詰まってて結構疲れるのでゆっくり読みました。イスラームについて私は超初心者ですがそれでもすごくわかりやすかった。

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2014/04/26

イスラームとはなにか。それがコンパクトにまとまっている一冊。なぜイスラム過激派が出るのか?イスラーム圏を旅行した人が言う、その旅行者への一般の人からの優しさはどこから来るのか?わかるとおもう。 本書ではイスラムの成り立ちから、現在の問題点まで書いており、新聞やTVニュースではわ...

イスラームとはなにか。それがコンパクトにまとまっている一冊。なぜイスラム過激派が出るのか?イスラーム圏を旅行した人が言う、その旅行者への一般の人からの優しさはどこから来るのか?わかるとおもう。 本書ではイスラムの成り立ちから、現在の問題点まで書いており、新聞やTVニュースではわからないイスラームの側面を深く掘り下げた上で、知ることができる。 イスラーム=テロという間違った視点を捨てることができた上に、ユダヤ教から続く一神教という新しい視点を得られて、良い本だった。 また、イスラームを知ることで日本の宗教性を自覚することもできた。読了後しばらく日本の神社の鳥居が異質なものに見えた。比較することは重要であると認識。

Posted byブクログ

2014/04/11

イスラームの成立から現代に至るまでを生き生きと描いて感動すら覚えさせる書 [配架場所]2F展示 [請求記号]080/K-4 [資料番号]2001100713

Posted byブクログ