重源 の商品レビュー
1994年。 400ページを超える上下2段の読み応えある分量。刊行時は朝日新聞の書評でも取り上げられていた記憶がある。 建築史家の著者らしく、膨大な資料を整理し、随所に後世や現代の建築史家の所見も交えつつ、善と悪の矛盾を生きた重源の生涯を描く小説。法然、頼朝、兼実、重衡らも登場...
1994年。 400ページを超える上下2段の読み応えある分量。刊行時は朝日新聞の書評でも取り上げられていた記憶がある。 建築史家の著者らしく、膨大な資料を整理し、随所に後世や現代の建築史家の所見も交えつつ、善と悪の矛盾を生きた重源の生涯を描く小説。法然、頼朝、兼実、重衡らも登場し、うかつだった同時代ゆえの関係性を認識させられる。建築そのものの話は少ないが、新様式の採用は説明している。 独特の文体、小見出し、言葉遣いは教養を要求されているようでもあり、伊藤ていじ先生の学識やお人柄でもあるとも感じさせられる。
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