山をも動かす の商品レビュー

アリサ・クレイグ(著者),森下弓子(訳者)

突如一本の矢が風を切…

[文庫ＯＦＦ]

突如一本の矢が風を切り、前の木に突き刺さった。発射されたあたりに行ってみると、町の水道課長が矢で射殺されている。ディタニーはぼやきながらも素人探偵を始めた。にぎやかな新シリーズ!

2011/07/18

なんと言うのか、正統派コージーだよなぁ。
殺人事件が起こって巻き込まれた主人公が捜査に乗り出すけれどそれ一辺倒ではなく、むしろ捜査そっちのけで平行して起こる選挙運動や友人の義父母の金婚式のあれこれにページが割かれている。
それはそれで面白いし、本当に悪い人が犯人以外にいないというのもいい。
個性的なキャラクターも多くて楽しいんだけど、なんかこう突出したものがないと言うのか…。
アーチェリーが盛んで散歩に行く際には矢筒を持っていく風習のある町なんて前振りを読んだ時には主人公の活躍を期待したんだけどなぁ。
脇のキャラクタに期待して、とりあえず次作を読んでみる。

2009/10/04

とにかく、登場人物が面白い。アリサ・クレイグ。ディダニーシリーズ一作目

内容（「BOOK」データベースより）
ここロベリア・フォールズではアーチェリーが盛ん。その朝、秘書代行サービス業を営むディタニーも矢筒を背負って散歩に出かけたのだが―、突如一本の矢が風を切り、目の前の木に深々と突き刺さった。発射されたあたりに行ってみると、町の水道課長が矢で射殺されている。ディタニーは、ぼやきながらも素人探偵を始めるが…。マクラウドが別名義で贈る奇抜でにぎやかな新シリーズ。

2009/10/07

アリサ・クレイグ（マクラウドの別名義）によるもう一つの愉しいこのシリーズも、カナダの小さな町が舞台。
ヒロインであるディタニーは、自宅で秘書代行サービス業をやっているが、大口？の仕事は近所の女流作家アレシューザの小説を清書するというもの。
おかげで、冒頭からチョーサーの引用やら、時代がかった物言いも飛び交うこともあるけれど、女性だけの園芸とアーチェリーのクラブに所属し、極めて精力的に活動している。
こうした活躍の場は、主婦の集まりでもあるだけに、もう、やたらと料理とお菓子、お茶の場面が登場するだけあって、それも更なる彩り、というかたっぷりと味わいを添えてくれます。何か作るか食べたくなる…（笑）
まさに、ケイク＆ティー・ミステリー。
そう、これはミステリーでもあるのだけれど、登場人物たちの行事やら、持ち上がった選挙運動などの一連の出来事の描写の賑やかさと可笑しさの印象が強くて、お茶の間的というかほのぼの度が、他にもまして高い。
勿論、謎解きも、ロマンスもばっちりで、気持ちよく、文句なしに楽しめます！