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日本の対外構想 の商品レビュー

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2017/01/24
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1993年刊(初出90~93年)。バブル期、同崩壊直後の論考で、中国の①中華帝国への憧憬、②経済力強化・発展の見通し、③漢民族優越主義への甘さ、米国の①石油支配への強固な意思、②反面の環境問題の軽視、③国際政治の主導権維持・確保への固執を甘く見すぎているので、途中で止めようかとも思う内容。「同盟漂流」「ザ・ペニンシュラクェスチョン」の如き、取材の厚みへの期待は外れた。とはいえ①ASEAN参加を仏が希望(仏の海外県ニューカレドニアの存在)した点と、対日を意図し仏がベトナムへ旧宗主国としてコミットし始めた点。 ②東南アジア諸国の日本政府への厳しい眼差しや、言動への信頼感の欠如は戦後も引き続いている事実、③湾岸戦争時の日本の対米印象として、中東不安定への懸念は石油を使い過ぎる米国固有の問題で、戦争をしてくれと日本が米に頼んだ覚えはなく、その国際行動の決定に日本を排除しながら、金だけタダ乗りするのかという不満があった点。と、それなりに面白い部分もあった。加え、日本に能動的外交が欠如している点は、先の「国際マグロ裁判」の内容と併せてみれば、さもありなんと思う指摘。

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2012/06/02

▼日本外交史特殊問題の参考文献として通読。テーマは船橋氏提唱の「グローバル・シビリアン・パワー」をつかむこと。 ▼面白いな、と思ったのは、戦後日本と(西)ドイツをシビリアン・パワーのアクターとして例示しながらも対比しているところ。地域主義に根差したシビリアン・パワーであるドイツに...

▼日本外交史特殊問題の参考文献として通読。テーマは船橋氏提唱の「グローバル・シビリアン・パワー」をつかむこと。 ▼面白いな、と思ったのは、戦後日本と(西)ドイツをシビリアン・パワーのアクターとして例示しながらも対比しているところ。地域主義に根差したシビリアン・パワーであるドイツに対して、日本は「グローバルな」シビリアン・パワーにならなければならない(なっていくべきだ)、とのことであった。ヘンにEUの制度を日本に移植すればいいとか、薄っぺらい「東アジアの一員」といった主張をするより、よっぽど説得力がある(気がする)。 ▼結局、日米の関係は切れない(その利害調整をよりグルーバルな視点からすればいいだけの話だ)し、韓国や豪州といった米国のパートナーとも協調しつつ、多角的な安全保障体制を築いていく――それ自体、非常にスマートな指摘であったと思う。 ▼もっとも、戦後の日本の成功を肯定すればするほど米国の存在が重いものとなり、その関係を重視しようとすれば、地域で(単独の)リーダーシップをとることは難しくなる、というジレンマは、日本にとって今後も最大の悩みであり続けるのかもしれない。

Posted byブクログ