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環境倫理 の商品レビュー

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2019/10/11

環境倫理。  環境に適用する倫理。  環境にも倫理観をもって接したら・・・ という、提起。 環境に対しても、人に対すると同じく倫理観を持とう、というのは、 ちょうど、個人への権利付与に対応して それと同様に無視できなくなってきた団体という存在(主体)に、 社会の中で...

環境倫理。  環境に適用する倫理。  環境にも倫理観をもって接したら・・・ という、提起。 環境に対しても、人に対すると同じく倫理観を持とう、というのは、 ちょうど、個人への権利付与に対応して それと同様に無視できなくなってきた団体という存在(主体)に、 社会の中で輪郭を与える法人格とも似ている。 つまり法やルールの拡張。 まったく新しい軸を持とうよ!という提起は、読んでいてワクワクする。 加えて、この本がいいなあと思うのは、 最後に訳者が、著者の考えに対して、 やや首をかしげているところ。 ここら辺、新しい価値観の軸を妄信的に受け入れるのではなく、 日本的な価値観に照らして適切か、と省みているあたり、健全だと思う。 たしかに、訳者に触発されて見方を変えてみると、 例えば、本文中の事例でとりあげられている裁判のように 欧米ではキリスト教でいう隣人愛の延長として 野生生物への自己投影(同情)というルートが できやすい風潮があるようだけれど、 こういう価値観を環境倫理のスタンダードとするには、議論が必要だと思う。 おそらくそういった意味合いもこめてか、 訳者の「日本的な価値観」に関する言及がちらほら見られる。 そこに、新しい方向の可能性があるのかもしれない。 価値観についても、多様性は自己保存に優位に働くということか。 末尾近くの言葉、 「変化しつつある世界において伝統的な倫理が 環境倫理を扱うには不適当なのかもしれない・・・」 という考えが、近年の社会問題を扱う上での土台かもしれない。 そういう意味では、科学におけるパラダイムの転換と よく似ている。

Posted byブクログ