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夏の花 の商品レビュー

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8件のお客様レビュー

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2023/07/18

淡々と原爆の様子が語られていく。 原爆は悲惨だ。勿論、これにより多くの名もなき人々(夏の花)が失われ、多くの苦痛を伴った。 ただ一つ、最愛の妻を失い生きる活力を失っていた原民喜に「原爆を語り継ぐ」という一つの存在意義を与えた。彼は自らを奮い立たせるもの結局のところ自身の記憶する...

淡々と原爆の様子が語られていく。 原爆は悲惨だ。勿論、これにより多くの名もなき人々(夏の花)が失われ、多くの苦痛を伴った。 ただ一つ、最愛の妻を失い生きる活力を失っていた原民喜に「原爆を語り継ぐ」という一つの存在意義を与えた。彼は自らを奮い立たせるもの結局のところ自身の記憶する原爆と、それに対する周囲とのギャップを感じるようになり自殺するわけだが、原爆が奪うだけではなく、どこか小さな所で何かしらを「与える」ものでもあったと言うのが新しい視点だった。 愛する人を失うことの悲しみと孤独。想像するだけでも辛い。これを乗り越える術を、その時までに何とかして見つけていきたい。

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2023/04/22

広島生まれで原子爆弾被爆者の著者。 原爆が落とされた瞬間、彼は便所にいて、物凄い光のあと真っ暗になり、外を見れば一面吹き飛んでいた、とある。 被爆者たちはみな一様に水を求めて川へ集まり、地獄絵図のようだった。 異口同音に水をくれという言葉がこだます現場。 顔は腫れ上がり、その圧で...

広島生まれで原子爆弾被爆者の著者。 原爆が落とされた瞬間、彼は便所にいて、物凄い光のあと真っ暗になり、外を見れば一面吹き飛んでいた、とある。 被爆者たちはみな一様に水を求めて川へ集まり、地獄絵図のようだった。 異口同音に水をくれという言葉がこだます現場。 顔は腫れ上がり、その圧で目は線のように細くなり、腕は化膿しハエ、蛆がとめどなく湧いていた。 血を吐き、喉が痛くなると数日後には死んでしまうと言われていたとある。ありのままを淡々と綴っているのは意図的なのか。 あまりに数が多すぎて、身内も他人もみな被爆者だらけで枚挙に暇がない。自分を救うのに精一杯。そんな地獄のような場に身を置いていれば、 慣れるのだろうか。著者は元々精神衰弱な所があり、妻が病死したあとは生きる活力を失い、鉄道自殺したそうだ。 中学の教科書に載っていてずっと頭に残っていた本だった。 読んだ後、今度は広島へ行き、原爆について知りたくなった。当時の様子を見て、思いを馳せたい。

Posted byブクログ

2022/05/11

絶対読んでおかなくてはならない本なんてないとは思うけれど、これはやはり、名著といわれるだけのことはあって、必読だ、と思った。淡々と恐ろしいことを綴る文章ほど、恐ろしいものはない。読後、ふと読んだ活字が映像になって浮かび、喉のあたりが詰まってしまった。それがなんなのか、言葉にならな...

絶対読んでおかなくてはならない本なんてないとは思うけれど、これはやはり、名著といわれるだけのことはあって、必読だ、と思った。淡々と恐ろしいことを綴る文章ほど、恐ろしいものはない。読後、ふと読んだ活字が映像になって浮かび、喉のあたりが詰まってしまった。それがなんなのか、言葉にならない。得体のしれない重さだけがのしかかり、頭の中は「無」になってしまう。戦争を知らない私たちが、その重さを知るには、読み継がれていかなくてはならない(絶対に)。

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2014/09/05

「夏の花」「壊滅の序曲」「廃墟から」の中編と短編3作からなる。初めての原民喜であり、今後も触れるかわからないが、遠藤周作が日本の戦争をモチーフとした小説の中では「夏の花」が随一と言っていた。ガリバー旅行記の翻訳も彼のもので読み、そのあとがきにて夏の花の背景なんかも書かれていて、な...

「夏の花」「壊滅の序曲」「廃墟から」の中編と短編3作からなる。初めての原民喜であり、今後も触れるかわからないが、遠藤周作が日本の戦争をモチーフとした小説の中では「夏の花」が随一と言っていた。ガリバー旅行記の翻訳も彼のもので読み、そのあとがきにて夏の花の背景なんかも書かれていて、なんとなしに手に取った。  正直この手の作品は苦手だ。痛ましさが先行し、信仰に生きる自分としては救いも、美しさもどのように感じていいのか、心が閉ざしてしまう感覚がある。私の弱さなのだろう、狭量のゆえだろう、と思うのだがその先にやはりいかない。だから今回も一通り撫でただけで終わった。確かに描写は美しい、白い襷のような潔さと、タイトル通り夏の花のはかなさが浮かぶ。今回はそこまで。 14.9.4

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2011/03/12

広島の原爆を体験した作者がその体験を忠実に書き残した本書。 描写がリアルで生々しく、 過酷で悲惨な状況もきれいで透き通るような文体で記してある。 この作品は最初の数ページを見れば読まなければならないとわかる。 青空文庫のサイトでも無料で閲覧できるので、 是非多くの人に読ん...

広島の原爆を体験した作者がその体験を忠実に書き残した本書。 描写がリアルで生々しく、 過酷で悲惨な状況もきれいで透き通るような文体で記してある。 この作品は最初の数ページを見れば読まなければならないとわかる。 青空文庫のサイトでも無料で閲覧できるので、 是非多くの人に読んで欲しい。 苦しみ助けを求める人々の気持ちが、廃墟と化した町の様子が、 生き延びた後にも残り続けるであろうさまざまな悩みが伝わってくるであろう。 「このことを書きのこさねばならない、と、私は心に呟いた。」とあるように、著者がやむにやまれぬ気持ちでこの本を書したことを想像して胸が痛むばかりである。

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2010/10/04

 「夏の花」のほか、「壊滅の序曲」、「廃墟から」をクロノロジカルに配して一緒にまとめたもの。この配置は原自身が意図したものとは異なるが、この順序で読める版が一つはあっても良いのではないか。リービ秀雄の「鑑賞」を楽しみに買ったが、解説がなかなか充実していて示唆的。註や年譜もしっかり...

 「夏の花」のほか、「壊滅の序曲」、「廃墟から」をクロノロジカルに配して一緒にまとめたもの。この配置は原自身が意図したものとは異なるが、この順序で読める版が一つはあっても良いのではないか。リービ秀雄の「鑑賞」を楽しみに買ったが、解説がなかなか充実していて示唆的。註や年譜もしっかりしているので、学生に最初に読ませるのに適しているかもしれない。それにしても、原の言う「パット剝ギトッテシマッタアトノセカイ」は、ベンヤミンの「歴史の天使」が凝視している光景と重なるように思えてならない。

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2010/08/07

普通に生活していた人たちが被爆したということが、生々しくしく感じられるという意味では、「夕凪の街 桜の国」と少し似た読後感を持った。ただ、当事者の言葉であること、また自殺されたということを知ると、より重みは強い。黙祷し、二度と起こらないよう約束するしか出来ないけれど。

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2010/01/23

高校の時に授業でやった。 当時のことがしっかり書かれていて、この本はいろんな人に読んでほしいと思う。

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