真昼のプリニウス の商品レビュー
作品のところどころに…
作品のところどころに魅力的な思想がちりばめられていて、文学の醍醐味を味わった。
文庫OFF
なんだか不思議な魅力を持っていてうまく表現できないのだが。端的に言えば学者の美人さんが色々と話したり何かやったりっていうだけなんだけど、、 火山やら謎のビジネスやら南米の遺跡の写真やら占いやら、とまぁバラバラのネタなのに、そこを文学的にうまくまとめているというか。 いやわかんね。...
なんだか不思議な魅力を持っていてうまく表現できないのだが。端的に言えば学者の美人さんが色々と話したり何かやったりっていうだけなんだけど、、 火山やら謎のビジネスやら南米の遺跡の写真やら占いやら、とまぁバラバラのネタなのに、そこを文学的にうまくまとめているというか。 いやわかんね。けどけっこう好きだった。
Posted by
ぐいぐい引き込まれるストーリーとは言いにくく、主人公の思索が多いため、ページ数のわりに読み進める時間を要したが、非常に充実した読後感であった。 物語を排除して見つめるということは、科学に携わる者にとっても実はかなり難しい。文庫の解説が素晴らしい。 しかし、紹介文がすごいネタバ...
ぐいぐい引き込まれるストーリーとは言いにくく、主人公の思索が多いため、ページ数のわりに読み進める時間を要したが、非常に充実した読後感であった。 物語を排除して見つめるということは、科学に携わる者にとっても実はかなり難しい。文庫の解説が素晴らしい。 しかし、紹介文がすごいネタバレであることよ。ストーリーとしてはそう書かなければならなかったのだろうけど。
Posted by
著者の作品をこれまでに数冊読んだ中で、最も心に残っている。昨今、人類にとっての神話、物語、ナラティブの重要性があちこちで聞かれる気がする。けれども本作は、神話に眼を曇らされて世界をじかに見ようとしない態度は、偽りの生き方にもなりかねないと伝えてくる。しかも途中で登場する易者の言...
著者の作品をこれまでに数冊読んだ中で、最も心に残っている。昨今、人類にとっての神話、物語、ナラティブの重要性があちこちで聞かれる気がする。けれども本作は、神話に眼を曇らされて世界をじかに見ようとしない態度は、偽りの生き方にもなりかねないと伝えてくる。しかも途中で登場する易者の言葉は、科学的なアプローチさえ、真に世界を受け止めようとすることをスルーしかねないものがあることを仄めかす。 物語でも科学でも同じことで、私たちは何かと、説明ばかりつけようとしていないだろうか。ほんとうに世界を知るとはどういうことなのか。目に見えない問いがすごく心に刺さる。 そのうえで改めて、主人公がバイオリズムに委ねて手紙を書くくだりを思い返すと、ふつうはこういう手紙の送り方はあまりしないわけだから、もしかしたら人間は生き物の感覚を忘れすぎているのかもしれなくて、なんてものごとを複雑にしないと生きられないんだろうと思う。
Posted by
池澤夏樹3作目。 火山という自然現象を軸に、過去と未来を行き来し、科学の力とそれを超える超自然現象と交感し、物語と神話について考察しながら作品が進んでいく。 どうしたらここまで人間総体を遠くから眺めるような視点を持つことができるに至ったのか分からないのだけれど、本当にすごい作家だ...
池澤夏樹3作目。 火山という自然現象を軸に、過去と未来を行き来し、科学の力とそれを超える超自然現象と交感し、物語と神話について考察しながら作品が進んでいく。 どうしたらここまで人間総体を遠くから眺めるような視点を持つことができるに至ったのか分からないのだけれど、本当にすごい作家だなと思った。 科学的な素養を持ちながら超自然的(精霊とか)な視点を取り入れて、鳥瞰図的な世界を描写する能力。そして、それでいて、あくまでストーリードリブンであり続ける。そしてなによりも説教臭くない。ジブリがそれに近いものがあると思うのだけれど、ジブリって高度な技術とストーリーテリングは上手いけれど、いつも説教を聞かされているみたいな気になって鼻白んでしまうのだけれど、彼の作品にはそれが無い。
Posted by
うさぎは、分かっているのに不思議と罠に つかまってしまう。 文中に出てくるこの一つのエピソードが、 まさに、説明の付かない人間の「衝動」を うまく表していると感じます。 身の危険を以っても鎮められない自身の 内なる衝動に身を任せる主人公の姿は、 読者にも同じような...
うさぎは、分かっているのに不思議と罠に つかまってしまう。 文中に出てくるこの一つのエピソードが、 まさに、説明の付かない人間の「衝動」を うまく表していると感じます。 身の危険を以っても鎮められない自身の 内なる衝動に身を任せる主人公の姿は、 読者にも同じような高揚感を抱かせます。 きっと読者の経験に呼応する何かがあるのだと思う。 クライマックス、最高峰に登りつめるような、 数学の「極限値」とも言うべき数行で 沸騰です。
Posted by
生きる、という感覚と他者 生の実感を持てないものは 持つものに憧れる それを愛だ恋だと錯覚する 物語ることへの疑問 消費社会への根本的な嫌悪感と 人間の生のように熱い火山たち そして恋人 欠けていたピースが徐々に揃う 結末は書いてないけれど。
Posted by
【いちぶん】 とてもとても恐ろしかったけれども、そこに書かれた以上には恐ろしくなかった。そういうことが言えると思います。
Posted by
言葉にしたらすべて嘘になってしまう。くっきりと輪郭を持ってしまうと除外されていくものがある。嘘にしたくない。なにも除外したくない。全部知りたい
Posted by
読みやすい中に熱いなにかが潜み隠れてる気がする。当たり前だが・・読了後にゆるく静かに熱く語りたくなる一冊オールドクロウ飲みながら・・
Posted by