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草の竪琴 の商品レビュー

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39件のお客様レビュー

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少年の内面に視点を据…

少年の内面に視点を据え、その瞳に映る人間模様を詩的言語と入念な文体で描き、青年期に移行する少年の胸底を捉えた名作。

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登場する人物は、みな…

登場する人物は、みな繊細でこわれてしまいそうな人たちばかりです。人生の悲しさと喜びを感じさせてくれる作品です。

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カポーティの少年主人…

カポーティの少年主人公ものは、いつも切なく心に広がり読み手に郷愁に似た思いを呼び起こさせる。とにかく素晴らしい作品です。

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カポーティ自身の少年…

カポーティ自身の少年時代が反映されているらしいです。

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2024/07/28

素晴らしかった。こんなにも暖かく愛おしい物語があるだろうか。彼の文章の美しさ、言葉の選択、嵐の描写、温度や湿度の表現、本当にどの作品にも舌を巻く。 カポーティの作品は「冷血」が始まりだったのだけど、見事に彼の作品にのめりこみ短編も含めたほとんどの作品を読んだことになる。 中でも「...

素晴らしかった。こんなにも暖かく愛おしい物語があるだろうか。彼の文章の美しさ、言葉の選択、嵐の描写、温度や湿度の表現、本当にどの作品にも舌を巻く。 カポーティの作品は「冷血」が始まりだったのだけど、見事に彼の作品にのめりこみ短編も含めたほとんどの作品を読んだことになる。 中でも「遠い声 遠い部屋」が一番のお気に入りだが、「草の竪琴」も私にとって愛すべき一冊となった。私が死んだときに、棺桶に入れて欲しいというやつだ。 後年の著者の言動に注目されがちだが、再考された評論などないだろうか...あまりにも胸がくるしすぎるので是非読んでみたい。 さて、残る彼の著書は(日本語に訳されているもので)「叶えられた祈り」のみとなったわけだが... 今はまだ、この暖かな郷愁の念に包まれていたい。なのでまたいつか。

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2024/03/13

樹の家での生活に代表されるような少年期の幻想と、ライリーとの関係、モリスのヴェリーナに対する行動などに見られる残酷な真実が交互に表れ、それを少年の目から見た詩的かつ爽やかさを感じさせる描写で描いている所が、素晴らしい名文だと感じた。 少年時代の儚さ、寂しさ、それでいて現実と向き合...

樹の家での生活に代表されるような少年期の幻想と、ライリーとの関係、モリスのヴェリーナに対する行動などに見られる残酷な真実が交互に表れ、それを少年の目から見た詩的かつ爽やかさを感じさせる描写で描いている所が、素晴らしい名文だと感じた。 少年時代の儚さ、寂しさ、それでいて現実と向き合わなければならない未来を示唆しながらも、そこに希望が感じられるような、とても良い作品だった。自然の美しさがそうさせるのだろうか。また読みたい本でした。 この本から得た大切なメッセージは、人生のどんなフェーズも自分の大切な宝物であり、それぞれが分断されたものであっても、等しく愛することができたら素晴らしい、と言うこと。

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2024/01/29

「どのような情念がそれぞれの世界を創りあげているかは問題ではない。人々が持つ世界はどれも美しく、決して卑しい所などではない。」 好きな一節です。カポーティの描く世界が包摂している無垢な優しさが、ゆったりと滲み出て、そっと胸に染み込むような作品でした。

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2023/08/14

見事な物語。見事な文章。 成長途上にある、純粋な少年の心をこれでもかというくらい詩的で美しいアメリカ南部、田舎町の風景描写で浮かび上がらせる。 いい年齢の大人を含めた人々が、ささいな喧嘩をきっかけに木の上の家で生活をし始める。それを咎め、やめさせようとする人々との悶着のなかで物...

見事な物語。見事な文章。 成長途上にある、純粋な少年の心をこれでもかというくらい詩的で美しいアメリカ南部、田舎町の風景描写で浮かび上がらせる。 いい年齢の大人を含めた人々が、ささいな喧嘩をきっかけに木の上の家で生活をし始める。それを咎め、やめさせようとする人々との悶着のなかで物語が進んでいく。 設定としてはとても奇妙。それでもその奇妙さを一切感じさせないのは、カポーティの天才的な描写のおかげなのだろう。 200ページに満たない作品なので、分量としてはあっという間の分量。 ただ、彼の美しい文章をかみしめるように読んでいたら分量以上の時間がかかった。 とても贅沢な時間だった。これは本当によかった。

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2023/08/16

アメリカの作家に対し具体的な印象を持っていない。こういう作風の人と分かるのはフィッツジェラルド、サリンジャーぐらいかな。 カポーティは「ティファニーで朝食を」を読んだぐらい。 読み始めて、「ティファニー」に収録されていた「クリスマスの思い出」と同じ設定と気付く。以前、この掌編に...

アメリカの作家に対し具体的な印象を持っていない。こういう作風の人と分かるのはフィッツジェラルド、サリンジャーぐらいかな。 カポーティは「ティファニーで朝食を」を読んだぐらい。 読み始めて、「ティファニー」に収録されていた「クリスマスの思い出」と同じ設定と気付く。以前、この掌編にカポーティーのイノセンスの源泉に近い作品と記したけれど、本編はシンドイ読書だった。事実に即して書かれているんだろうけれど、何か突拍子もない印象だった。「クリスマス」は主人公がもっと幼い頃の話ということもあるんだろうな。 終幕は確かに寂しい心持になったけれど。 松岡セイゴウさんは「遠い声 遠い部屋」をフラジャイルな心の文字で綴られた「夜の文体」であって、いわば「電気で濡れた文体」だ、と紹介している。 探してみようと思う。

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2022/06/11

「わたしたち誰にとっても、落ち着く場所などないのかもしれない―もしその場所を見出して、ほんのわずかの間でもそこに住むことができたら、それだけで幸せだと思わなけりゃ」判事のセリフだが、カポーティの独り言のようだ。 嫌いではないが、クリスマスの思い出のほうが凝縮されていて、描写も読み...

「わたしたち誰にとっても、落ち着く場所などないのかもしれない―もしその場所を見出して、ほんのわずかの間でもそこに住むことができたら、それだけで幸せだと思わなけりゃ」判事のセリフだが、カポーティの独り言のようだ。 嫌いではないが、クリスマスの思い出のほうが凝縮されていて、描写も読み返すくらい美しくて好き。

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