シュンペーター の商品レビュー
伊東光晴 根井雅弘 シュンペーター シュンペーターの経済学の体系、思想背景、キーワードがまとまった本。 資本主義の本質を企業者のイノベーションとして、資本主義の発展から消滅、ポスト資本主義の社会主義までのプロセスを論理的に展開する凄さ。経済は生きていることが よくわかる ...
伊東光晴 根井雅弘 シュンペーター シュンペーターの経済学の体系、思想背景、キーワードがまとまった本。 資本主義の本質を企業者のイノベーションとして、資本主義の発展から消滅、ポスト資本主義の社会主義までのプロセスを論理的に展開する凄さ。経済は生きていることが よくわかる 組織の巨大化により、企業者が組織に埋没し、資本主義が消滅していく姿は 現在の姿を予言している感じ ケインズとシュンペーターの比較は面白い *シュンペーターがケインズを敵視していたのに対し、ケインズはシュンペーターに無関心 *出自の違い(世界国家イギリスのエリートと多民族国家オーストリアのエリート) *経済のアプローチの違い(静態論と動態論) *現実政治への関与度の違いなど 資本主義の本質 *静態的な資本主義はありえない *資本主義の本質は 企業者による創造的破壊(新結合) 資本主義の発展から消滅のプロセス *好況、恐慌、不況を通じて資本主義は発展〜不況は 新結合(イノベーション)によって創造された新事態に対する経済体系の正常な適応過程である *組織の巨大化と資本主義に批判的な中産階級を生み、企業者は組織に埋没し、組織と制度に代わり、資本主義が消滅 静態=産出量に変化がなく、生産、交換、消費が常に同じ規模で循環する状態。動態=それらが変化する状態 資本主義経済の動態的分析 外的諸要因に依存しないで、経済体系を一つの均衡から、もう一つの均衡へ推進させることを説明する 資本主義の発展過程1 *自由市場の下で 企業は最小費用で最大生産を実現し、消費者主権を実現する経済をつくる *消費者利益は 公共の福祉の実質的内容となる 資本主義の発展過程2 資本家が株所有者にすぎなくなり、官僚による管理が標準化され、技術革新が巨大企業の組織内により行われる 社会主義 *人間の生活において最善のものを経済的な配慮から解放するために社会主義が見られる *社会主義は 資本が飽和し官僚化され、人口が不変で、支配と権力の本能が消滅した経済から生まれる 社会は社会主義の方向に進むとしても〜そのことは私が社会主義を望んでいることを意味しない ケインズへの批判 *政府の政策介入は 企業者の行動を抑え込む *大衆政治の中、拡大した公共投資は 利益を受ける企業の力によって縮小できず、不況期の財政赤字を好況期の財政黒字により償還できない 経済発展の本質 以前に定められた静態的用途に充てられていた生産手段が、経路から引き抜かれ、新しい目的に役立つよう転用されることにある〜この過程を新結合の遂行という
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気にはなっていたが読んでなかったシュンペーターを読むための導入として ただ、ケインズの熱狂の影にいた くらいしか分からなかったが シュンペーターの著作と類書を読み続ける
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シュンペーターというと、あまり「人となり」が知られていない。本書を読むまでは自分もよくは知らなかった。 シュンペーターのステレオタイプなイメージというと「イノベーションという概念を提唱」というくらいしかないのだが、本書を読むとその人となりと思想から、かなり具体的なイメージとして...
シュンペーターというと、あまり「人となり」が知られていない。本書を読むまでは自分もよくは知らなかった。 シュンペーターのステレオタイプなイメージというと「イノベーションという概念を提唱」というくらいしかないのだが、本書を読むとその人となりと思想から、かなり具体的なイメージとして浮かび上がってくる。 シュンペーターとマックス・ウェーバーとの確執、ケインズへの挑戦、マルクス主義への「読み」など、他の経済学者や理論との対比で読ませるところがかなり面白いし、最終章ではヴィトゲンシュタインまで登場する。くわえて世紀末のウィーンで青年時代を送ったことなどもいろいろな面で「おもしろい」一冊となっている。 100年単位で経済を考える、というシュンペーターの経済に対する考え方はどちらかというと「哲学」の考え方である。彼は経済学者というよりも哲学者寄りの考えをもち、「第三者」としての「孤高の経済学者」というタイトルにある「シュンペーターの立ち位置」が後年に強く立ち現れたという印象を持った。 この世に経済というものが存在する限りシュンペーターの影響は免れないことがよくわかった一冊。
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勉強になった。ケインズ、ガルブレイス、シュンペーターと伊東先生の3部作を通して読んだので、現在経済学の端緒を掴めた。経済学は、数学ではなく社会科学という考えのシュンペーターに共鳴できた。
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イノベーション この言葉を聞かない日は無いと言えるくらい、よく聞く言葉だ。特に会社で、ニュースで、何かしらのプレゼンテーションで、つまりは仕事をする上で何か指針となる言葉、目標とすべき価値観としてその言葉は存在する。 イノベーションは技術革新とも言われる。 技術の革新。 技術は...
イノベーション この言葉を聞かない日は無いと言えるくらい、よく聞く言葉だ。特に会社で、ニュースで、何かしらのプレゼンテーションで、つまりは仕事をする上で何か指針となる言葉、目標とすべき価値観としてその言葉は存在する。 イノベーションは技術革新とも言われる。 技術の革新。 技術は日々進歩し、改善され、無数の商品が生産されている。 シュンペーターは資本主義の本質をそのイノベーションと捉えた。イノベーションとは企業者の「新結合」の遂行である、と。 新結合、つまり今まで使われていた生産手段が別の経路において使用される様な、示唆に富んだ概念だ。単純な技術革新という言葉では掴みきれない訳語の素晴らしさがこの本にはある。
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経済発展の要素として「新結合=イノベーション」を発見した経済学者シュンペーターの伝記&理論解説書。シュンペーターの生きた時代背景がわかるとともに、『経済発展の理論』(岩波書店)のエッセンスが端的に説明されている。
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シュンペーターの生い立ちから人となり、基本理念などが丁寧に解説されており、網羅的にシュンペーターを理解するのに役立つ。 企業者を単なる経営管理者と区別し、経済成長にとってイノベーションと信用創造に特別の役割を認めた炯眼に感服する。 好況・不況が定常状態からの平衡のズレによって説明...
シュンペーターの生い立ちから人となり、基本理念などが丁寧に解説されており、網羅的にシュンペーターを理解するのに役立つ。 企業者を単なる経営管理者と区別し、経済成長にとってイノベーションと信用創造に特別の役割を認めた炯眼に感服する。 好況・不況が定常状態からの平衡のズレによって説明されており、技術屋にも理解しやすい理屈だ。ただ経済学と物理学は何のアナロジーもない別物であることを改めて思い知った。
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5章構成。前半はシュンペーターの生い立ちと、ケインズやワルラスといった著名な学者たちとの比較。ドラマチックかつ情熱的に描かれていて、読みやすい。 後半は理論の紹介。特にⅣ章(1)の経済理論とⅤ章の哲学とシュンペーター理論の現在、が超絶面白かった。
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シュンペーターがその著書「経済発展の理論」の中でイノベーション(新結合)を提案してから約100年が経過した。イノベーションの概念を初めて明らかにしたということ以外は、シュンペーター自身については、あまり良く知らなかったが、この本で、シュンペーターの生涯やその理論の発展、そして彼の...
シュンペーターがその著書「経済発展の理論」の中でイノベーション(新結合)を提案してから約100年が経過した。イノベーションの概念を初めて明らかにしたということ以外は、シュンペーター自身については、あまり良く知らなかったが、この本で、シュンペーターの生涯やその理論の発展、そして彼の理論の生まれた時代背景などを知ることができた。 経済発展にとって、イノベーションの重要性がより重視されるようになった今日では、100年前のシュンペーターの慧眼には驚かされるものがある。 なお、ある程度経済学(または経済学史)の知識がないと理解しにくい部分がある。
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経済学の入門的な講義を受けると、ケインズの対比として表れるシュンペーター。彼の人生とケインズの学説との対立、彼が掲げる理論で構成されている。正直なところ、シュンペーターは資本主義は静的ではなく動的なものである、ということぐらいしか理解できなかったが、彼の人生経験と徹底的ともいえる...
経済学の入門的な講義を受けると、ケインズの対比として表れるシュンペーター。彼の人生とケインズの学説との対立、彼が掲げる理論で構成されている。正直なところ、シュンペーターは資本主義は静的ではなく動的なものである、ということぐらいしか理解できなかったが、彼の人生経験と徹底的ともいえる思考があったからこそ成し得たというのがわかった。
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