1,800円以上の注文で送料無料

日本文学史 の商品レビュー

4.6

8件のお客様レビュー

  1. 5つ

    4

  2. 4つ

    3

  3. 3つ

    0

  4. 2つ

    0

  5. 1つ

    0

レビューを投稿

2024/08/13

通っている大学の文学部の教授たちが押し並べて絶賛していたのを覚えていて、なんだか教科書的な堅苦しさを感じてなかなか食指がのびなかったのだけれど、いざ読んでみると、この小西甚一という碩学は意外とロマンチストで、チャーミングな部分がありおもしろい。この本における基本的な文学史における...

通っている大学の文学部の教授たちが押し並べて絶賛していたのを覚えていて、なんだか教科書的な堅苦しさを感じてなかなか食指がのびなかったのだけれど、いざ読んでみると、この小西甚一という碩学は意外とロマンチストで、チャーミングな部分がありおもしろい。この本における基本的な文学史における分類方法である「雅」と「俗」についての説明の部分(15-18頁)など、人文書でこのような詩的な文章があるのかと驚くほどにポエジーに満ちている。他にも、思わずなるほど!と膝を打つような記述が満載で、すぐにページが鉛筆で引いた線で埋まってしまう。

Posted byブクログ

2019/04/07

日本文学の特徴を「俗」と「雅」に分類して、その変遷を読み解いたのが本書。著者の文章は非常に読みやすく、大学のゼミの授業を受けているような、懐かしい気分にさせられる。 巻末のドナルド・キーン氏の解説を先に読めば、より理解が深まったに違いないと思わせられた。

Posted byブクログ

2019/01/27

日本文学の歴史を雅と俗を中心とした区分に分類。古代=俗、中近世=雅、近代以降=別種の俗。古代における俗なる表現は純粋に日本的表現。文芸の流れがどのように変転しても、根底が変わることがない。普段は表面上にあがらないが、上層文芸が動脈硬化を起こすとき、そこからわき上がって新生の契機と...

日本文学の歴史を雅と俗を中心とした区分に分類。古代=俗、中近世=雅、近代以降=別種の俗。古代における俗なる表現は純粋に日本的表現。文芸の流れがどのように変転しても、根底が変わることがない。普段は表面上にあがらないが、上層文芸が動脈硬化を起こすとき、そこからわき上がって新生の契機となる。という説。単なる概説ではなく、日本文学の本質を独自の視点で指摘した好著。

Posted byブクログ

2018/11/18

これは名著。 ドナルド・キーンの本著との出会いを喜ぶ解説の気持ちがよくわかる。今の日本人に日本文化をここまでドライに突き放せるだろうか。日本大好き、日本ってほんとに凄い、ってばっかり根拠もなく言ってるバカテレビが作った自覚のないレイシストから百億光年くらい遠いところにある。 日本...

これは名著。 ドナルド・キーンの本著との出会いを喜ぶ解説の気持ちがよくわかる。今の日本人に日本文化をここまでドライに突き放せるだろうか。日本大好き、日本ってほんとに凄い、ってばっかり根拠もなく言ってるバカテレビが作った自覚のないレイシストから百億光年くらい遠いところにある。 日本の雅は、本居宣長風に言えば、漢意によって形成されてる。国風文化すら、ものすごく中国的だ、ということ。 つまり、「中国を真似てる時代」と、日本風に戻るのではなく、「自分たちなりの中国発想で自分たちなりに発想する時代」が続いていく。 OSはあくまで中国で、日本はソフトウェアだけ変えてきたのだろう。 そのOSは本居宣長にもやまとごころに戻せなかったし、結局、変更させられたのは西欧化だけ。 つまり、やまとOSは、大化改新、天武あたりに中国OSに切り替わって、そのあとは西欧OSがくるまでずっと中国OSだった、ということ。 しかもそのあと微調整して北米OSになるんだよなぁ。 でも、本居宣長のいうやまとごころって、弥生以降のものだろうから、やっぱり大陸的なんだよなー ほんとに原日本的なものって、縄文の感じで、それがかぶいたりバサラだったり漫画太郎やギターウルフやボアダムスなんじゃないかと思ったりする。

Posted byブクログ

2015/05/05

ドナルド・キーン氏が絶賛していたので手に取りました。60年以上前の著作とは思えないみずみずしさを保っていることに驚きました。柿本人麻呂の歌が天武天皇の壬申の乱での英雄的行動を目の当たりにしたことから生まれたとか、源氏物語の登場人物は「行為」としての罪よりキリスト教の原罪めいた意識...

ドナルド・キーン氏が絶賛していたので手に取りました。60年以上前の著作とは思えないみずみずしさを保っていることに驚きました。柿本人麻呂の歌が天武天皇の壬申の乱での英雄的行動を目の当たりにしたことから生まれたとか、源氏物語の登場人物は「行為」としての罪よりキリスト教の原罪めいた意識の中にいるとか、西行の歌は白楽天を思わせる、などなど、刺激的な目を見開かされるような私見が盛りだくさん。推理小説もしくは現代社会論を読んでいるような文学史でした。 そうそう、先日読んだ西山厚先生の「仏教発見!」でも印象に残った道元の「正法眼蔵」が空前絶後の表現力と称賛されていました。これはいつか読まなくちゃ。

Posted byブクログ

2011/11/04

この人の文章はなぜかとにかく読みやすい. するすると読み進めることができる. 日本の文学が,時代時代の背景の中で,何を志向してきたのかということがよく分かる. 名作名著とその評価が知れるだけでも知識のない私にはありがたい.

Posted byブクログ

2010/04/12

1/18/10 読みたい 文学史について一本筋の通った知識を頭に入れたいと思い、見つけた一冊。筆者の新しい見解なども載っていて、中級~の内容らしいが、高校国語程度の知識を持っている自分は中級ということでok?

Posted byブクログ

2009/10/04

古代〜近世までを「雅」「俗」「俳諧(雅)」という軸でとらえる文学史。 決まった型への完成を求めるものが「雅」、それに対して無限であるものが「俗」。 もちろん異論のある捉え方ではあるが、筆者の確固たる教養・知識に基づいて、しかも全体を俯瞰したうえで述べられているので、納得して読むこ...

古代〜近世までを「雅」「俗」「俳諧(雅)」という軸でとらえる文学史。 決まった型への完成を求めるものが「雅」、それに対して無限であるものが「俗」。 もちろん異論のある捉え方ではあるが、筆者の確固たる教養・知識に基づいて、しかも全体を俯瞰したうえで述べられているので、納得して読むことができる。 中国文学との比較文化・比較文学的な視点も興味深い。 3冊目4冊目として良い本です。

Posted byブクログ