琉球王国 の商品レビュー
アメリカ軍基地問題や尖閣諸島のゴタゴタなど、とかくここ数年はマイナスイメージで語られることの多い沖縄の歴史と、沖縄を取り巻く環境。その一切合切を端折って「犠牲者として辛酸を舐めさせられた沖縄人と、親身になって対応してくれない本土の人、その隙をついて沖縄を食い物にしようとする泥棒国...
アメリカ軍基地問題や尖閣諸島のゴタゴタなど、とかくここ数年はマイナスイメージで語られることの多い沖縄の歴史と、沖縄を取り巻く環境。その一切合切を端折って「犠牲者として辛酸を舐めさせられた沖縄人と、親身になって対応してくれない本土の人、その隙をついて沖縄を食い物にしようとする泥棒国家や戦後の統治者」という単純な議論を持ち込めば、当座は凌げるかもしれないけど本当の問題解決には繋がらないと思われます。 それを薄っぺらな頭の悪い理論で何とかしようとしたのが民主党であり、バカ鳩でありアホ菅であったのだろう、というところでしょうか。 主要メディアの煽りとアメリカや中国とのトラブルも相俟って、沖縄という特異であり独特である土地を冷静に見つめる論陣が張られることは非常に少ないと思われます。その点で、沖縄の風土を形成するにあたり大きな影響力を及ぼした「琉球王国」とは即ち何だったのかを読み解く、こういった本をきちんと読んでおいてから、改めて沖縄史の重要性について理解しようという試みは、もっとしっかり行われるべきではないかと思います。 著者は結語として、「沖縄史は敗戦だけがクローズアップされて暗い被害者意識に苛まれている。その意識だけで歴史を語ってはならない。また、琉球王国の存在した意義を単一国家論や単一民族論でカモフラージュし、その独自性と特異性を塗りつぶしてしまうのもいけない。独自性を保持しつつ日本社会という団体の一員となった沖縄には、普遍的な日本史・東アジア史を提示できる可能性があり、提示する責務がある」としていますが、こうした見方こそ、日本の多様性を認めつつ沖縄のあり方の意義を考えるにあたって必要なのではないかと思います。 ちょっと本筋からは逸れますが、これぐらいきちんと「琉球」というものについて客観的に書かれた本を読んでおくと、池上永一さんのような沖縄を舞台にした小説を読む際に、より世界に入りやすくなると感じます。池上氏の小説が好きな方にもお勧めです。
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(1993.04.14読了)(1993.04.02購入) *本の帯より* アジア世界に雄飛した海洋王国の実像! 高良倉吉―1947年、沖縄県伊是名島に生まれる。現在浦添市立図書館長、琉球史研究に新風を吹き込む画期的な業績を上げる一方、首里城復元を指導し、またNHK大河ドラマ「琉球...
(1993.04.14読了)(1993.04.02購入) *本の帯より* アジア世界に雄飛した海洋王国の実像! 高良倉吉―1947年、沖縄県伊是名島に生まれる。現在浦添市立図書館長、琉球史研究に新風を吹き込む画期的な業績を上げる一方、首里城復元を指導し、またNHK大河ドラマ「琉球の風」の監修責任者となって時代考証を担当するなど、琉球史像定着に向けて、多彩な活動を精力的に展開している。 【目次】 序章 第一章 「王国」の発見 第二章 古琉球の時間 第三章 アジアのなかの琉球 第四章 辞令書王国 第五章 「王国」の制度を探る 終章 参考文献 あとがき 琉球・沖縄歴史年表 ☆関連図書(既読) 「沖縄」比嘉春潮・霜多正次著、岩波新書、1963.01.25
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沖縄旅行の後に勢いで買った一冊。 沖縄の歴史=沖縄戦の暗い歴史と狭く捉えている人には是非勧めたい。 グスク、首里城、尚氏など様々な切り口で展開されてる中で、特に中継貿易での流通経路が面白かった。中国で得た商品を、王国に運んだ後に東南アジアにその一部を売りに行くというところ。 沖縄...
沖縄旅行の後に勢いで買った一冊。 沖縄の歴史=沖縄戦の暗い歴史と狭く捉えている人には是非勧めたい。 グスク、首里城、尚氏など様々な切り口で展開されてる中で、特に中継貿易での流通経路が面白かった。中国で得た商品を、王国に運んだ後に東南アジアにその一部を売りに行くというところ。 沖縄が東南アジアに近しいものを感じていた要因を掴めた気がした。 大してページ数はないが、難しくて読むのに時間が掛かった。 また、本書で登場する伊波普猷についても探ってみたく思った。 うちの大学に伊波普猷の卒業論文が保存されてるらしく、近々拝見する予定。
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『テンペスト』を読んで琉球王国に興味を持ち読んでみました。 那覇本島全域が統一され始めたころから戦後にかけてまとまっています。 沖縄県の被害者意識ってのは第二次世界大戦後のアメリカ統治のことなのでしょうか。 日本に復帰後に生まれた世代なのかそんな感覚はないです。
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沖縄に行く直前にこれと、池上永一「テンペスト」を合わせて読んだ。 テンペストを先に読んでいたので予備知識が出来、ある程度分かったが、もし読んでいなかったら、てんでわからなかったかもしれない。 また、新書で500年の王国の歴史をひもとくには少々不完全燃焼で、物足りなさを感じてし...
沖縄に行く直前にこれと、池上永一「テンペスト」を合わせて読んだ。 テンペストを先に読んでいたので予備知識が出来、ある程度分かったが、もし読んでいなかったら、てんでわからなかったかもしれない。 また、新書で500年の王国の歴史をひもとくには少々不完全燃焼で、物足りなさを感じてしまった。 とはいえ、真面目に勉強する前の最初のとっかかりにはいいし、真面目に勉強したくない場合は、テンペストを読むのがいいとおもいます。
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トラッドジャパンというNHKのテレビ番組で, 琉球をRyukyu Kingdomと訳していた。 なるほど,琉球といえば,琉球王朝のことを指すのだと。 琉球王朝は,中国,台湾,琉球,日本という連鎖の中で, どのような地位を占めていたかという観点で理解するとよいのかもしれない。 沖縄に行く前に読んでおきたかった。
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個人的にあまり好きな著者ではないし、彼の琉球史には今では異論も多いし、琉球史をちょっとロマンティックにしすぎなきらいがあるが、それでも本書は琉球王国史を学ぶ者にとってまず読むべき1冊だろう。その後、最新の研究を追い、批判的に見るべき点は見ていけばいいと思う。
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【60/150】情けないがほとんどわからない。書いている文章はわかるが、何ぶん琉球のことを知らなすぎなので、イメージが湧いてこないのだ。 14,15世紀の頃、琉球は中国・東南アジア一帯を手広く貿易しておったということ初めて知った次第なのだから。
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一五世紀に成立し、明治政府に併合されるまで、四百年に及んだ「琉球王国」とはどのような世界であったのか。中国・朝鮮からマラッカ・シャムをむすぶ「海の道」の中核となった琉球王国の黄金時代、「古琉球時代」を中心に、気鋭の歴史家がその全体像をときあかしていく。現代的関心と切り結ぶ、鋭い問...
一五世紀に成立し、明治政府に併合されるまで、四百年に及んだ「琉球王国」とはどのような世界であったのか。中国・朝鮮からマラッカ・シャムをむすぶ「海の道」の中核となった琉球王国の黄金時代、「古琉球時代」を中心に、気鋭の歴史家がその全体像をときあかしていく。現代的関心と切り結ぶ、鋭い問題提起にみちた意欲作。
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琉球の王国から日本の沖縄県への変遷がよく理解できた。本書にも書いてあるが、薩摩やアメリカによって貴重な資料が散逸してしまった事実は悲しい。沖縄へ旅行に行った後に、沖縄に関する情報を得たくて買った本。
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