法律(下) の商品レビュー
上巻の続きです。引き…
上巻の続きです。引き続き「アテナイからの客人」ら三人が国制と法律について論じるます。本書では「現実にあるべき国家」の具体的な法律・制度全般について自由で大胆な提案を行います。
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※このレビューにはネタバレを含みます
下巻は教育・祭儀・傷害や詐欺の刑罰・商取引・相続などなど細かな法律の話が中心。そのすべてが「この国の国民が善き人間となり、人間たるにふさわしい徳をもつようになること」を目指しており、国民はそんな国のために私有財産もあまり持たず、徳のある性格と思想を持ち、「善良」な生活を送ることが求められている。哲人の独裁政治を諦めたのかと思ったら、どうも哲学者の人々の共和制で自分が定めた法律を守り続けることをイメージしているらしいからまだ哲人政治自体は諦めてないのかもしれない。 神の存在証明があるということで楽しみにしていたんだけど、なんか想像していたのと違った。はじめは神を信じない若者に対する説教のような感じで、世界構築の理論も最初から神の存在が前提にされていてあまり証明という感じではなかったように思う。 全体的に「国家」のほうが生き生きしていて面白かったなあ。内容の食い違いやただ法律の羅列になっているところがある点から、まだ執筆・推敲中の原稿だろうという推測がなされていると解説に書かれていたが、それを差し引いてもやはり「国家」に溢れているプラトン自身のわくわく感はない。シラクサの政治介入の失敗やアカデメイアの経営が、より現実的な方向の法律の調整に紙幅を割くようにしたのかもしれない。仕方のないことだけどちょっとかなしい。
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読むのつらかった。 実務的に書いてることから、 『国家』との違いが強調されがちだけれども、 「善く生きるためには?」というモチーフが 初期から中期をつらぬいて最晩年の『法律』まで届いていることがわかり納得。 ここの実務的なものは、 初期『プロタゴラス』において、 プロタゴラスが...
読むのつらかった。 実務的に書いてることから、 『国家』との違いが強調されがちだけれども、 「善く生きるためには?」というモチーフが 初期から中期をつらぬいて最晩年の『法律』まで届いていることがわかり納得。 ここの実務的なものは、 初期『プロタゴラス』において、 プロタゴラスが語っていた徳の教授可能性の神話とどこまで重なるものかなと思ってみるところなり。
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