バビロンに行きて歌え の商品レビュー
池澤夏樹の作品はデビュー作『夏の朝の成層圏』から『スティルライフ』、『真昼のプリニウス』と名作が続き、私も大ファンだが本作はあまりピンと来なかった。 外国人と日本文化のクロスオーバー、ミュージックカルチャーと、作者の入れ込みたい要素が先行し自然な物語として読みづらかった。
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スティルライフ・南の島のティオ以来、久々に池澤夏樹の本を読んだ。初期の小説だと思うけど、言いたいことを文字に流し込み、東京という異国に落とされたターリクの寂寥感、各短編の人物とバランス、さすがだなと思った。解説にあるとおりストリート系なにのに清潔すぎて綺麗にまとまってる感は否めな...
スティルライフ・南の島のティオ以来、久々に池澤夏樹の本を読んだ。初期の小説だと思うけど、言いたいことを文字に流し込み、東京という異国に落とされたターリクの寂寥感、各短編の人物とバランス、さすがだなと思った。解説にあるとおりストリート系なにのに清潔すぎて綺麗にまとまってる感は否めない気もする。冒頭の4篇「夜の犬」「老獣医」「ブルー・プレート」「恋の日々」が、ベイルートで瓦礫と銃と血と緊迫感で生きてきた兵士が、東京という見ず知らずの都会と東京に住む人に警戒心を抱きつつもおずおずと触れていく、野良犬のような心の動きと孤独感が出ていてよかった。バンドのヴォーカルとして地に足が着いてからは、そこそこって感じ。 それにしても解説がよく分からん。聖書に詳しくなくてバビロンと東京の比喩を理解してないからかもしれないけど。「それは多分、声とビートにだけ「約束の地」を求める旅のはじまりだ。」
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一作目が新聞記者で二作目が火山学者。三作目はベイルートのゲリラ兵士。 彼が敵から逃れて日本に不法入国するところからストーリーが始まる。戦争は底流には流れているけれども決して前面のレイヤーに現れることはなく、異国の地に降り立った違和感だったり恐怖感、寂寥感、そして、その土地に馴染ん...
一作目が新聞記者で二作目が火山学者。三作目はベイルートのゲリラ兵士。 彼が敵から逃れて日本に不法入国するところからストーリーが始まる。戦争は底流には流れているけれども決して前面のレイヤーに現れることはなく、異国の地に降り立った違和感だったり恐怖感、寂寥感、そして、その土地に馴染んで身を立てていく様が描かれている。 なんとなく、作者自身も、フィクションの世界で生きていけるという確かな一歩を踏み出したかのような作品だった。前の二作に比べて物語的なギミックの要素は増えていて、彼自身が持っている肥沃な創造の世界に一歩踏み出そうとしているかのような、そんな作品だなと思った。 ただ、主人公のゲリラ兵士こと「ターリク」を主軸にストーリーは進んでいくのだけれども、章ごとに登場人物が移り変わり、それぞれにこれまで歩んできた人生が描かれて、東京という都市を上から見ているような、不思議な読後感。(実際、ちょっとこの人には興味持てないかも、みたいな章もあったし、ラストも前二作ほどの盛り上がりは感じられなかったかも)
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【いちぶん】 彼はのびやかに歌った。自分に最もふさわしい武器がM-21スナイパー・ライフルではなく歌であることを知った。これならば、雪の中、沙漠、遠い国、営倉、ジャングル、どこへ行っても大丈夫だと思った。 (p.120)
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池澤夏樹の小説が好きだ。 本作の1篇である「倉庫のコンサート」が高校の現代文の教科書に載っていた。まだ授業はそのパートではないのに、私は授業中にこっそり読んで、一人で灰色の乾いた世界観で音楽に浸っていた。もしかすると他にもそういう同級生がいたかもしれない。きっとその同級生は、私と同じく空間と音楽が好きな人だっただろう。私たちを引き付ける、そういう透明な匂いを発している。この作品は。 読後も、その世界の気配が漂っている。
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ずいぶん前に読んだな。 おもしろかった。 内容,ストーリーもだが,章ごとに語り手が替わり,主人公を追いかけて関係者に聞き込みをしている探偵になったような気分。 俯瞰しているような,それでいて中に入り込んでいるような不思議な感覚になる。
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アラブの兵士が東京に来てロックシンガーになる、というびっくりなストーリーだけど、都会の力にはそういうのもあるのかもなあ、とすんなり落ちて、なかなか楽しめた。出てくる人物造形も面白く。歌詞が出てくると少々興ざめしたり、雰囲気の古さをところどころ感じるけど、実際かなり前の本なので致し方なしかと。
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アラブの一人の若きテロリストが東京で大人になっていく。 シュールな話です。 都会の持つ異常性と暖かさみたいな物がにじみ出ていて、不思議な気分になります。
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東京という街に紛れ込んだ、異邦人。 遠い中東の若き革命軍の兵士。 そんな物語。 昨今の若者の心の在り方にタブる気がするわ。 なんだか、加藤ミリヤの様な一冊だった。
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学生時代に読んだが、再読。都市社会学のゼミのレポートでこの小説を題材に、都市論を書いたことが。ディアスポラの存在をロックを媒介として描く。
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