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N・P の商品レビュー

3.8

160件のお客様レビュー

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    39

  2. 4つ

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  3. 3つ

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2021/05/08

N・Pという小説を書いて自殺した小説家の父をもつ3人の子どもらと、その小説の翻訳をして自殺した男の恋人だった主人公とのつながりを描く。 高校生の時に何回も読み直した本。 そのわりにストーリーを覚えていなかったため、約20年ぶりに再読。 なぜかレズの話だと思い込んでいたのだが、そ...

N・Pという小説を書いて自殺した小説家の父をもつ3人の子どもらと、その小説の翻訳をして自殺した男の恋人だった主人公とのつながりを描く。 高校生の時に何回も読み直した本。 そのわりにストーリーを覚えていなかったため、約20年ぶりに再読。 なぜかレズの話だと思い込んでいたのだが、そういうわけでもなかった。ただ、主人公の風美を振り回す萃という女性は、あやうげながらも魅力的で、小説N・Pを象徴する人物。二人のやりとりは、友情よりも濃厚なもの。それは、共通の自殺した恋人を持つ者同士、N・Pを心に持ち続ける者同士としての、共鳴というか。 高校生で読んだ時には、それを単純に恋愛だと解釈してレズというイメージを持ったのかもしれない。 咲、乙彦という人物も魅力的。 久々に読んだ感想としては、こんなに散文的だっけ?と思った。短い場面が断片的に、詩集のように繰り返される。きれいな情景で切り取られたそれらは、思春期の子には刺さるんだろうなぁと思うが、きれいすぎるんじゃないか?と思って読んでいた。 でもラストになって「ああ、ここで今までのことを思い出してたから、こんな書き方してたのか」と合点がいく(と私は解釈しました)。ただの散文で終わらず、ラストの乙彦との焚火の前での会話が読後の余韻をひろげていく。言葉にならない感情を、言葉にせずに表現していて、好きだなと思う。

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2020/11/24

 イメージの中で、よしもとばななさんの本に出てくる登場人物はいつも人が聞いたら心配せずにはいられないような境遇にいることが多い気がします。彼らはそのもがくしかないどうしていいかをまだ考えられないような間、本当に落ち込んで、落ち込んでいるけれど突発的に泣きそうになったり人と思いがけ...

 イメージの中で、よしもとばななさんの本に出てくる登場人物はいつも人が聞いたら心配せずにはいられないような境遇にいることが多い気がします。彼らはそのもがくしかないどうしていいかをまだ考えられないような間、本当に落ち込んで、落ち込んでいるけれど突発的に泣きそうになったり人と思いがけず繋がって生活をしています。でも、あまりに苦しいので、あるいは外部的な要因により仕方なく、死にそうになる。そうした物語の終盤は追いかけるこちらも堪らなく思います。こころの機微がキラキラ散りばめられた文章の中で一層逃れられないような感じがします。  けれど、n.pでも、その他の作品でも(私が読んだ作品では)彼らは奇跡的に死を回避したりギリギリのところで死を選ばなかったりします。その底にあるエネルギーにいつも人間の美しさを魅せられるようです。  また時間が経ったらどんな風に思うのかと、次回読む機会が楽しみです。

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2020/06/19

よしもとばななさんの作品は、長編が好きだなっと思った。 レズビアン、近親者との愛、テレパシーとシンパシー、 (テレパシーは言葉じゃ無く、念で相手に思いや考えを伝え、そしてそれができるひとのこと。 シンパシーは相手の気持ちを想像する気持ち。) オカルト、宗教、などがテーマ...

よしもとばななさんの作品は、長編が好きだなっと思った。 レズビアン、近親者との愛、テレパシーとシンパシー、 (テレパシーは言葉じゃ無く、念で相手に思いや考えを伝え、そしてそれができるひとのこと。 シンパシーは相手の気持ちを想像する気持ち。) オカルト、宗教、などがテーマのこの小説。 風美、咲、乙彦、萃 。 今まで読んできたよしもとばななさんの作品の中で、 一番、人間模様の複雑な生き様が、よしもとばななさんの世界観で現れている作品な気がして、 なんか読んでてすごい怖くなった部分もあった。 人間の弱さ、一人で生きて行けないこと、生きていはだめなことが妙に描かれている気がして、 人との出逢いって、不思議で、 それが突然やってきて、その突然やってきたひとたちが、 自分にとって、とてつもない人たちで、とてつもなく大好きなひとたちで、 咲と風美ちゃんの仲の良さあり方とか羨ましくもなったりしたな。 最近、お母さんから、孤独に強くならなきゃだめ。孤立はしてはだめだけど。 って言われた。 でも、なんか人間って、っていうか、わたしは、 孤独が怖くて、変に孤立したりして、ややこしくしてしまうのだな。 だめだ。 でも、風美ちゃんが言ってたように、 「今、すっごく楽しい」 っていうぐらい、今出逢えてるひとたちと、 色んな時間過ごせたらいいな。 久しぶりに読んだ、よしもとばななさんの作品。 やっぱり好きだな。 あとがきが、とっても素敵だった。 私も含めて、私のまわりにも。あなたを含めて多分あなたのまわりにも、 「困った人」はたくさんいます。 才能だったり、欠落だったり、生きていきにくい何かをいつも抱えて歩いている人。 でも、この世にいるどのような人も、 誰にもはばからずに好きな位置でその人が思うように生きていい、 そういうことを自分も含めて忘れそうになりそうなので、 それを強くこめて、いまここで作品にしたかったのです。 いつかのよしもとばななさんの月記で書いてた通りだ。 人に伝えたいことを、この人は本を通して本気で伝えてくれてる。 だから、私も本気で受け止めたかったりもする。

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2019/11/25

自我と感性が剥き出しだった思春期と吉本ばななさんのデビューが重なってしまった宿命で、キッチン以来すべての本を読み続けている。 NPはそんなに読み返す事もない本で、そういえばどんな話だっけな、と数十年ぶりに本棚から手に取った。そして驚いた。一字一句、気持ち悪いくらいに覚えていたので...

自我と感性が剥き出しだった思春期と吉本ばななさんのデビューが重なってしまった宿命で、キッチン以来すべての本を読み続けている。 NPはそんなに読み返す事もない本で、そういえばどんな話だっけな、と数十年ぶりに本棚から手に取った。そして驚いた。一字一句、気持ち悪いくらいに覚えていたのである。 当時、どれほどの貪欲さでこの本を読んでいたのか自分で引く…… 強烈な夏の印象。ビニールバックに原稿をいれてショートパンツでコピーを取りに行った記憶まで鮮やかに残っている。 翠と確かに過ごした夏。

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2019/08/21

身内恋愛がでてきたので少しびっくりした。 よしもとばななだなぁという感じ。 美し〜という感じではなく、少し複雑だった。

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2019/04/03

自殺した作家の作品を日本語に翻訳しようとした人たちが相次いで自殺する、という筋立てから、伊藤計劃『虐殺器官』やテッド・チャン『あなたの人生の物語』みたいな、言語の神秘的な力の話かなって思ってワクワクしたら、肩透かし。どこかおかしくなってしまった人たちの近親相姦もの、かな。吉本ばな...

自殺した作家の作品を日本語に翻訳しようとした人たちが相次いで自殺する、という筋立てから、伊藤計劃『虐殺器官』やテッド・チャン『あなたの人生の物語』みたいな、言語の神秘的な力の話かなって思ってワクワクしたら、肩透かし。どこかおかしくなってしまった人たちの近親相姦もの、かな。吉本ばななの文章はいつも素晴らしくて好きなのだけど、わたしは彼女の作るエキセントリック「風」なキャラクターに全く魅力を感じないので、正直途中からどうでもよくなってしまった。

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2019/02/02

あらすじ読んで面白そうーむかし実家にあったなー。 と思って読んだら、いやこれ読んでたわ。多分高校生くらいの頃… リリカルな少女漫画みたいな美しさがあるな。 ばななの文章はみずみずしいなあ。

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2018/11/22

愛も恋も生も死も思い出も現在も、そして未来も。 すべてが同じ重みを持って私の人生に立ち現れる。 NPという小説も、98話目も、99話目も、咲も庄司も、萃も乙彦も、私のひと夏を記憶に刻み込むための触媒に過ぎない。 現実的な物語としてはまったく魅力を感じないけれど、「真夏の午後の夢」...

愛も恋も生も死も思い出も現在も、そして未来も。 すべてが同じ重みを持って私の人生に立ち現れる。 NPという小説も、98話目も、99話目も、咲も庄司も、萃も乙彦も、私のひと夏を記憶に刻み込むための触媒に過ぎない。 現実的な物語としてはまったく魅力を感じないけれど、「真夏の午後の夢」としての世界観を彩る言葉たちは魅力にあふれている。 そこだけがよかったと思う。

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2017/09/17

夏が好きで、大好きで仕方ない風美とは気が合うと思う。絶対に。 物語は意味を持ってそこに在って、人はやっぱり物語を生きている。 麻薬的な中毒で何かに惹かれてしまうことは、ものすごく素晴らしくて、ものすごくバカバカしくて、ものすごくエネルギーがいる。 それは呪いにも似てる...

夏が好きで、大好きで仕方ない風美とは気が合うと思う。絶対に。 物語は意味を持ってそこに在って、人はやっぱり物語を生きている。 麻薬的な中毒で何かに惹かれてしまうことは、ものすごく素晴らしくて、ものすごくバカバカしくて、ものすごくエネルギーがいる。 それは呪いにも似てるのかもしれないけれど、真っ直ぐな思いが黒く染まってしまわない様に、心を強く持っている人でいたい。

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2017/07/18

再読。夏になると読み返したくなる。 空が高くて影が濃い日中の電車内、薄青い夕闇に暮れた部屋で見る夢みたいな話。

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