三年坂 の商品レビュー
鎌倉の鮨職人の心に鮮…
鎌倉の鮨職人の心に鮮やかに亡き母の思い出が浮かび上がる「三年坂」。人生へのいつくしみに溢れた初の小説集。
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う〜〜〜ん。 悪くは無い。いや、良い作品だと思う。でも何か足りない。そんな感じです。 足りないものは何なのでしょう。ドラマ性なのか、それとも描かれるべき心情なのか、よく判りません。何か落ち付き過ぎている様に思えます。 文体はしっかりしていて、技術的にはなんら問題は無い。 ...
う〜〜〜ん。 悪くは無い。いや、良い作品だと思う。でも何か足りない。そんな感じです。 足りないものは何なのでしょう。ドラマ性なのか、それとも描かれるべき心情なのか、よく判りません。何か落ち付き過ぎている様に思えます。 文体はしっかりしていて、技術的にはなんら問題は無い。 この作品集は著者はじめての小説とのこと。もう少し様子を見ましょう。
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5つの、日常にあるようなないような、短編集。 三年坂、店の開店当初に亡くなってしまった母親が 取りに行くように、といったものを 随分経ってから取りに行く。 それまでの紆余曲折? 皐月、年を取ってからだった故に 通常よりも愛情を注がれていった子供。 あの最後、戻ってきたのはよい...
5つの、日常にあるようなないような、短編集。 三年坂、店の開店当初に亡くなってしまった母親が 取りに行くように、といったものを 随分経ってから取りに行く。 それまでの紆余曲折? 皐月、年を取ってからだった故に 通常よりも愛情を注がれていった子供。 あの最後、戻ってきたのはよいのですが ドラマだったら『さようなら』展開だったやも。 チヌの月、足がはまって動けなくなったうえに 満潮がやってきて死期もやってくる男。 死ぬだろう間に、死んだ妻に思いをはせる。 水澄、順風だった人生を、きれいなまでに 終わらせてしまった男のその後? 鼻をへし折られたのはよいですが、こうなるとは…。 そうそう美味しい話は転がっていません、と 思えるものがあります。 春のうらら、娘の結婚で、自分の結婚前を思い出す。 先に予約、なんて事はない時代だったのと 人の性格が浮き彫り状態。
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著者最初の短編小説集。5つの短編があるが、いずれも幼年・青年期、母の思い出、そして水に触れた爽やかさが連想されます。少年期の心の大切にしたい部分を思い出させる佳編でした。特に失意の中年男性がふとしたことから草野球で投手を務め、過去の失敗を思いながらも、草野球でありながら新しい情熱を感じる「水澄まし」は感動的でした。
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人間の細やかな心の描写が上手です。「水澄」は野球というスポーツが好きになってしまいます。井上陽水氏の解説も秀逸です。その一節「我々は生を受けた時から、それぞれに深刻な手札を持たされ、死に至るまでそれを渡されつづけ、人生という時間をやり過しながら苦悩から解放されたい、・・・」、考え...
人間の細やかな心の描写が上手です。「水澄」は野球というスポーツが好きになってしまいます。井上陽水氏の解説も秀逸です。その一節「我々は生を受けた時から、それぞれに深刻な手札を持たされ、死に至るまでそれを渡されつづけ、人生という時間をやり過しながら苦悩から解放されたい、・・・」、考えさせられます。
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再読。ある程度人生を過ごしてきた人たちの短編集。 その中の1編、「皐月」でのもう一人の主人公『惇』 その心細さや焦燥感、自分に対するやるせなさなど、幼き頃を思い出し、ついウルウル。 伊集院さんの作品は、いつもしっとり落ち着いて読めます。
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珍しく図書館の本ではなく家にあった本。美しい文章。人間の心を静かに書き表す。ちょっと向田邦子を思い出した。
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伊集院 静の【三年坂】を読んだ。 これは著者初の小説集だ。表題作の【三年坂】を含め、5つの短編が収められている。 初の小説集というから、小説としてのレベルがやや劣るのかと思いきや、とんでもない。そこにはやはり 「男」がちゃんといた。男の弱さや優しさ、そして強さが溢れんばかり...
伊集院 静の【三年坂】を読んだ。 これは著者初の小説集だ。表題作の【三年坂】を含め、5つの短編が収められている。 初の小説集というから、小説としてのレベルがやや劣るのかと思いきや、とんでもない。そこにはやはり 「男」がちゃんといた。男の弱さや優しさ、そして強さが溢れんばかりに描かれている。 伊集院ワールドが初の小説集にして、一寸の曇りもなく確立されていた。 少年が父の背中をみて「男」を知る【皐月】や、亡き母を想う【三年坂】、草野球で自分の生き方を見つ ける【水澄】などなど、感涙の素晴らしい物語が収められている中で、僕が一番好きなのは【チヌの月】 という作品。主人公の亀次が大物のチヌ釣りに挑む話なのだが、様々なエピソードや、亀次の亡き妻ヌイ への想いなど、心温まる物語だ。 特に、物語終盤にチヌを抱えたまま海で危機を迎えるシーンは思わず目頭が熱くなった。 伊集院静の描く男は、無頼なイメージが強いが、その反面優しさが溢れていてロマンチストだ。 この男的ロマンチズムこそ、男が男たる由縁なのではないかと、僕はつくずく思うのだ。 そして、この男的ロマンチズムを味わいたが為に僕は伊集院静の作品を読むのだろう。 あとがきで、伊集院静が「あの頃、私は三十枚の原稿を書くのに、一年も二年もかかっていた。」と懐述 している。これほどの作家でさえ、初めはなかなか書けなかったということを知ると、共感とともに、僕 もまだまだ頑張れねばいけないと、強く思えるのだった。
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