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われら の商品レビュー

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26件のお客様レビュー

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2012/03/07

透明なガラスで作られた街の中で、徹底的に管理・監視されている状況に何の疑問も覚えずに生きる、個性の無い無機質な人々を想像してぞっとした。 しかし、こんな感情を持つことすら、彼らからしてみれば異常なこと、想像力病に罹患している状態なのだから。 一体何が「しあわせ」なのかを考えさせら...

透明なガラスで作られた街の中で、徹底的に管理・監視されている状況に何の疑問も覚えずに生きる、個性の無い無機質な人々を想像してぞっとした。 しかし、こんな感情を持つことすら、彼らからしてみれば異常なこと、想像力病に罹患している状態なのだから。 一体何が「しあわせ」なのかを考えさせられた。

Posted byブクログ

2012/02/26
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

日々の行動はおろか、恋愛や生殖も、ガラスでできた世界の中で全て監視される。反対者は処刑され、植物も動物も排除される。 なにもかも、自分以外の全体主義国家によるものでなければ許されない。 これを読んで末恐ろしいと思いながら、すでにそういう世界が現実になっている部分も否めない。 何を捨てずに守るならば、こうならずに済むのだろう。 ディスプレイに表示される、おすすめの検索結果に甘んじずに、自分自身で思考しなければ。 「われら」を読むと、そういう気持ちになる。 訳文としては、「ロシア〈3〉/集英社ギャラリー「世界の文学」〈15〉」に掲載されている小笠原豊樹訳( http://booklog.jp/item/1/4081290156 )のほうが個人的には好き。

Posted byブクログ

2011/09/22

社会主義の嘲笑が聞こえる。・・・そこにあるのは楽園という名の奈落。脱個性の天国。甲高い鐘の音はあの尖塔からうるさく鳴っている。ぐちゃぐちゃと脳に反響する。処刑された仲間の悲鳴もわんわんと響く。人間はアンドロイドと化けても地球は回り続ける。トップの人間だけが得をする共産主義である。...

社会主義の嘲笑が聞こえる。・・・そこにあるのは楽園という名の奈落。脱個性の天国。甲高い鐘の音はあの尖塔からうるさく鳴っている。ぐちゃぐちゃと脳に反響する。処刑された仲間の悲鳴もわんわんと響く。人間はアンドロイドと化けても地球は回り続ける。トップの人間だけが得をする共産主義である。それならトップになればいいんだ、いいんだ。そんな思考を持つことすら許されない。――ぁ、目の前にはギロチンが。26世紀現在。

Posted byブクログ

2010/09/25

 いわゆるディストピア小説。主人公の手記という形で書かれているんだけど、情景描写が多くて映画を見ているような感じ。世界はガラスを主な素材としてできていて、建物や道路は透き通り、きらめき、世界を反射して映し出している。人々は青灰色の制服を着て音楽に合わせて行進する。いかにもSF映画...

 いわゆるディストピア小説。主人公の手記という形で書かれているんだけど、情景描写が多くて映画を見ているような感じ。世界はガラスを主な素材としてできていて、建物や道路は透き通り、きらめき、世界を反射して映し出している。人々は青灰色の制服を着て音楽に合わせて行進する。いかにもSF映画的な感じ。この小説が書かれたのは1921年のソ連なので、むしろこっちがオリジナルなんだろう。そのほかにも、壁、ガス室、大200年戦争などというアイテムが出てきて、第二次大戦前からこれらのアイデアがあったということに認識を新たにした。  始めのうちは状況がよく分からないせいもあってなかなか読み進まないが、謎の女「I」が絡んでくるとがぜん面白くなって、止まらない。理性と情動の対立というか、情動に翻弄される状態は不幸なのか幸福なのか、そんな話。

Posted byブクログ

2009/10/04

反ユートピア小説。ソヴィエト時代に発表されたが、共産主義政権に対する侮辱として、ペレストロイカ後まで長らく本国では発禁になっていた。 独特の「語り」口調に馴染むまではなかなか読みづらい。特に語り手である主人公が常軌を逸し始めてからは、彼自身言葉を選ぶのに苦労しているため結構つらい...

反ユートピア小説。ソヴィエト時代に発表されたが、共産主義政権に対する侮辱として、ペレストロイカ後まで長らく本国では発禁になっていた。 独特の「語り」口調に馴染むまではなかなか読みづらい。特に語り手である主人公が常軌を逸し始めてからは、彼自身言葉を選ぶのに苦労しているため結構つらい。 しかし話の内容は抜群。共産主義社会に西欧の科学技術が取り入れられた社会を描くが、その結果立ち現れるのはほぼ完璧に近い管理社会。「自由を完全に封じてこそ、幸福が訪れる」という思想のもと、人々は時間単位に規律づけられた行動をとらされる。 そんな中、そのような社会に疑問を抱いた一部の分子が主人公に接触し、主人公も徐々に徐々に影響を受け始める・・・。 その過程はどことなくタブッキの『供述によるとペレイラは…』を思い出させた。また今まで信じていた価値観が崩れ、徐々に「壊れて」いく主人公の語り口は、ロシア文学らしい病的な興奮といったもの(よくドストエフスキーの小説で登場人物が陥ってるあの状態)で、読み手に臨場感を強く与える。 科学技術の進歩に対して常に付きまとう不安は現代においても不変のテーマである。テーマ的にも話の面白さ的にもなかなかのオススメ作品。

Posted byブクログ

2009/10/04

高校生のときに初めて読んで以来、たまに開いてみることがある本。でも私が入手したのはこちらの本ではなく、講談社の全集の一部。確か、高一のときの「現代社会」の授業の副読本だか資料集で、情報化社会における国民葬背番号制度の危険性についてのコラムの中でジョージオーウェルの「1984」と一...

高校生のときに初めて読んで以来、たまに開いてみることがある本。でも私が入手したのはこちらの本ではなく、講談社の全集の一部。確か、高一のときの「現代社会」の授業の副読本だか資料集で、情報化社会における国民葬背番号制度の危険性についてのコラムの中でジョージオーウェルの「1984」と一緒に取り上げられていたと記憶している。非常に面白かった。ロシア人(ソ連人)であることもあってか、イギリス人のオーウェルが書いたものより、真に迫っている、というのはいいすぎとしても、ディテールにこっているように思います。訳のせい(巧さ?)かもしれませんが、こちらの方が主人公の記述が機械的な感じがしてリアルに感じました。たまに1984と内容がごっちゃになります。

Posted byブクログ