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臨床の知とは何か の商品レビュー

3.9

21件のお客様レビュー

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2021/12/19
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経験論哲学 →合理論と対立するものとして扱われている 実践に積極的な2つの立場 ❶マルクス主義  理論のもつ空理空論化という落とし穴を批判して、実践を積極的に取り入れようとした。 ※主張がイデオロギーの枠内のことであり、実践のすべてか非日常的な政治的実践に帰着させられたため、本来個々人の具体的な行為である実践そのものの働きに立ち入ることがなおざりに ❷プラグマティズム  現実に有効に対処しようと、主知主義的な立場を超えた実践哲学を目指した。 ※基本的に、環境への生物的な適応という考え方がつよく、一般に経験について科学の方法を直裁に生かそうとしたため、その主流からは行動科学のような、実践を単純化した理論が生み出されることになった 経験や実践は、日常生活と結びついて身近だが、いざ有り様を考えようとすると、曖昧なところが多く、捉えにくくて、困惑させられる。それだけ経験や実践が複雑に、深く現実と関わっていると言える。 ____ 経験の捉え方 ▶︎活動する身体をそなえた主体が行う他者との間の相互行為として、考えること 身体を備えた主体として存在するとき、 能動的であると同時に他者からの働きかけを受ける受動的な存在であることになる。≒パトス的、受苦的な存在にもなる。 ・西田幾多郎 純粋経験 経験するとは、 事実をそのままに知ることであり、まったく技巧や細工を廃して、事実そのものに従うことである。 純粋とは、 ふつうの経験中に混ざっている夾雑物を取り去って、真に経験そのままの状態であることである。 個人あって経験あるのではなく、経験あって個人あるのである。『善の研究』 p.68 言語あるいはことばは、むろん一方ではコミュニケーションの媒体として社会に開かれているが、同時にそれは、さまざまな物事を各人それぞれの身体性を帯びた自己と結びつけ、内面化する働きをもっている。このような言語の働きが、実践ということの、現実との重層的なかかわりを捉え、示すのである。 冬休みもうひと読みだな

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2020/04/03

実は難しくて、よく分からなかったのが本当だが、かろうしで、以下の文章を記憶できた。 つまり、医学はサイエンスの面を持つだけではなく、具体的な場面・事物の多義性・相互行為に対応する知恵に充ちた技芸・アートである。 自己をカッコに入れて、責任を回避する客観主義や普遍主義の落とし穴に...

実は難しくて、よく分からなかったのが本当だが、かろうしで、以下の文章を記憶できた。 つまり、医学はサイエンスの面を持つだけではなく、具体的な場面・事物の多義性・相互行為に対応する知恵に充ちた技芸・アートである。 自己をカッコに入れて、責任を回避する客観主義や普遍主義の落とし穴におちいらない。

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2017/07/26
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※このレビューにはネタバレを含みます

本書で注目したい点は、平易な言葉によって、日々の中で人が生き、自然に感じる言語まで至らない、非言語的な現象を捉え、言語化している事実にある。もし本書を読み、その内容があまり記憶に残らなったとしても、それらは既に自分の中に前々から無自覚に自覚されていた現象であっただけとも考えられ、全く不思議ではないように思える。それゆえ、本書の内容は近代科学が苦手としてきた日々の生活の場を、学問体系の水準まで高める際に十分な指針となってくれるであろう一冊である。

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2017/02/18

IV 臨床の知の発見 を読むと、分厚い雲の隙間から「臨床の知」が少しだけ垣間見れる気がします。でもよくわからない。とてももどかしい、もう一度読み直そうかと思います。

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2015/01/19

・臨床の知の構成原理 1コスモロジー(⇔普遍主義) 時空間は質的である 2シンボリズム(⇔論理主義) 現象は多義的である 3パフォーマンス(⇔客観主義) 我々の生きる世界は、主観ときりはなされた観察や操作の対象でなく、行為する人格どおしの関わりの場 ・臨床における判断にお...

・臨床の知の構成原理 1コスモロジー(⇔普遍主義) 時空間は質的である 2シンボリズム(⇔論理主義) 現象は多義的である 3パフォーマンス(⇔客観主義) 我々の生きる世界は、主観ときりはなされた観察や操作の対象でなく、行為する人格どおしの関わりの場 ・臨床における判断において、普遍主義、論理主義、客観主義を要請することは、臨床にいるものの決断を不要にし、責任性から回避させる ・プライマリケア(全科医療) 全科ソーシャルワークという道 ・受苦の人間的意味 VS 生存そのものを目的とする形骸化された価値

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2014/12/31

2007/6/27 <臨床の知>ということで,現在の近代科学の不完全さを問うてられます. 近代科学の方法論は物質科学の上では, 普遍性と論理性と客観性を併せ持つシステムとして対象を捉える事で異例の力を発揮して進展してきました. しかし,それが勢いづいて社会科学,人間科学,生命科...

2007/6/27 <臨床の知>ということで,現在の近代科学の不完全さを問うてられます. 近代科学の方法論は物質科学の上では, 普遍性と論理性と客観性を併せ持つシステムとして対象を捉える事で異例の力を発揮して進展してきました. しかし,それが勢いづいて社会科学,人間科学,生命科学とひろめられる中で, 系がそのような一貫性を持った形でモデル化出来ないので頓挫する. それに気付けって話でしょうか? ”臨床”ということで,後半は生命倫理の話にもっていかはるんですが,議論を哲学者らしく整理はできても結局の所, 何もブレークスルーは出来ていないように思いましたのです. 自然科学の科学的方法論を批判すると, 「社会構成主義だ」 だとか 「でも代替案無いじゃん」 という事を言われてしまいますが, モデル化やアブダクションを除いた純粋に科学的な実験検証の営みってのは結局は統計学の上に乗っかってて, システム同定や統計的学習理論の話で抽象化できるように思われる. 科学哲学での批判でなされる「グルーのパラドックス」 なんてのも,究極的に時変なシステムを同定する事なんて出来ないって話と被る面がある.あとは, 言語的な形式的議論と実世界の現象との間のマッピング関係が如何に普遍的に維持されるかってこと. このあたりを考えると結局「キレる」仕組みを脳科学で理解する(by NHKスペシャル)ってのは自然科学者の営為としてはヤバイわけですね. そんな話がこの本に書いてあったわけではないのですが・・・. そういうことを考えさせられました. 自分が扱いたかった対象「人間」に対する科学的アプローチの裏を支える学問の構造が混沌とするというか, どうしようもなく成立しないのを感じる今となっては,対立軸を打ち立てなくてはならない焦燥感に駆られます.

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2013/12/22

「臨床の知」という新しい知のあり方を提唱した本。 普遍性、論理性、客観性を原理とする科学の知だけでは、人間の全部はわからないよね、ということを言っている。 医療の世界に限らず、ものの見方全体に関わる話だったので面白かった。1992年発売の本だけど色あせていない。

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2013/11/16

科学は「普遍性・論理性・客観性」から成り「生命現象や関係の相互性」を見え難くしてしまった。臨床の知は、「コスモロジー・シンボリズム・パフォーマンス」から成り、科学の仮説と演繹推論に対して、直感と経験と類推の積み重ねで成立させるらしい。 知の手法にも色々あるもんだと思わされた。筆...

科学は「普遍性・論理性・客観性」から成り「生命現象や関係の相互性」を見え難くしてしまった。臨床の知は、「コスモロジー・シンボリズム・パフォーマンス」から成り、科学の仮説と演繹推論に対して、直感と経験と類推の積み重ねで成立させるらしい。 知の手法にも色々あるもんだと思わされた。筆者の提案は今風に言うとパターン認識に近いのだと思う。よく知らんけど。しかし、難し過ぎた。前半何とかついてってたけど、中盤からイミフになって、後半の医療的な話は興味なくなってきてた。修行足りんわ。

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2013/10/17

哲学の歴史とともに、科学とは何かを解説しておられる。 僕にとっては難解な本で、ゆっくり時間をかけて読んだ。 読み進めて、「臨床の知」の頁に行き当たって、『そうだった、「臨床の知とは何か」を読んでいるんだった』と思い起こされるほど、前置きが長かった。 5章、6章になって、やっと医...

哲学の歴史とともに、科学とは何かを解説しておられる。 僕にとっては難解な本で、ゆっくり時間をかけて読んだ。 読み進めて、「臨床の知」の頁に行き当たって、『そうだった、「臨床の知とは何か」を読んでいるんだった』と思い起こされるほど、前置きが長かった。 5章、6章になって、やっと医療に関るないようなのだけども、それも医療とは何か、生命倫理とは何かといった深い者で読み応えがあった。 何度も繰り返し読んで深めていきたい本。 難しいけれど・・・。 ---------------- 【内容(「BOOK」データベースより)】 科学に代表される“近代の知”は大きな成果を生んだ。しかし今日、その限界も指摘されはじめている。人間存在の多面的な現実に即した“臨床の知”が構築されねばならない。著者の積年の思索の結実である本書は、人間の知のあり方に新たな展望を開き、脳死や臓器移植などの医学的臨床の問題にたいしても明快な視点を提供する。 ---------------- 【目次】 1 “科学”とはなんだったのか 2 経験と技術=アート 3 臨床の知への道 4 臨床の知の発見 5 医療と臨床の知 6 生命倫理と臨床の知 ----------------

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2013/03/17

<普遍性><論理性><客観性>という三つの原理を擁する「近代科学」は、この2、300年来文句なしに人間の役に立ってきた。それ故に我々はほとんどそれを通さずに<現実>を見ることができなくなってしまった。 しかし、近代科学によって捉えられる<現実>がすべてなのだろうか。近年の社会問題...

<普遍性><論理性><客観性>という三つの原理を擁する「近代科学」は、この2、300年来文句なしに人間の役に立ってきた。それ故に我々はほとんどそれを通さずに<現実>を見ることができなくなってしまった。 しかし、近代科学によって捉えられる<現実>がすべてなのだろうか。近年の社会問題、環境問題等、それだけでは解決し得ぬ状況、現実とのズレが顕在化しているが、その原因は、近代科学が<生命現象><関係の相互性>を無視しているため。 筆者は近代科学が排除した<現実>の側面を捉え直す重要な要素として、<コスモロジー(固有世界)><シンボリズム(事物の多様性)><パフォーマンス(身体性をそなえた行為)>をあげ、それらを体現したものを「臨床の知」としている。

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