水の墓碑銘 の商品レビュー
バランスの悪い、屈折した人が色々出てきて、小説としては楽しめるのですが、文庫は字がとても小さくてそこが読みづらかったです。
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夫婦関係を軸としたサスペンス小説。 主人公の飼っているカタツムリと、主人公の不気味さが強くシンクロしている。ラストはある種の破滅を暗喩しているが、実際のところ、主人公の『勝ち』ではないか……という薄ら寒さが残るところも秀逸。
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資産家の息子ヴィグは、浮気性の妻の恋人を溺死させてしまう…。 ヴィグは、一応常識人で人望も厚い。反対に、妻は自己中心的で奔放。ゆえに、地域の中でヴィグが受け入れられているのに対して、妻はちょっと浮いてる。 この浮いてる加減が微妙。 そして、社交界的な地域のコミュニティー...
資産家の息子ヴィグは、浮気性の妻の恋人を溺死させてしまう…。 ヴィグは、一応常識人で人望も厚い。反対に、妻は自己中心的で奔放。ゆえに、地域の中でヴィグが受け入れられているのに対して、妻はちょっと浮いてる。 この浮いてる加減が微妙。 そして、社交界的な地域のコミュニティーが二人をさらに追い込んでいく。 物語はヴィグの主観で進んでいく。ここがポイント。 中で、妻に「精神病だ」みたいになじられるんだが、考えてみたら確かにそうなのだ。人のいいふりをしているけど、実際はどっか捩れてる、歪んでいる。それなのに、彼が主観だから、その部分が曖昧になっている。 上手いよ、ハイスミス。 結局は、大人になりきれない、自我のない、夫婦の悲劇なんだけど、とても映像的で、それこそヒッチコックの映画のようで面白かった。 それにしても、人間の執着心(夫は妻に、妻は夫の資産に、執着していたわけだ)って悲劇の源ですな。
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