日本の歴史をよみなおす の商品レビュー
この作者の一大テーマである「中世に失われた神聖性と穢れ」についてさまざまな角度から読み解いた本。殆どは他の本にも書いてあることだが、日本の定義がいつからなのかについての考察は面白かった。
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P141 「14世紀のころ、人間と自然とのかかわり方に大きな変化があり、社会がいわばより「文明化」してくる、それとともに「穢れ」に対する畏怖感はうしろに退いて、むしろ「汚穢」、きたなく、よごれたもの、忌避すべきものとする、現在の常識的な穢れにちかい感覚に変わってくると思います。 ...
P141 「14世紀のころ、人間と自然とのかかわり方に大きな変化があり、社会がいわばより「文明化」してくる、それとともに「穢れ」に対する畏怖感はうしろに退いて、むしろ「汚穢」、きたなく、よごれたもの、忌避すべきものとする、現在の常識的な穢れにちかい感覚に変わってくると思います。 動物に対しても同様で、人の力でたやすく統御できない力をもった生き物とう感覚がうすれて、「畜生」「四つ足」といういい方すら(略)。」 上の文章や非人のひとつ、「犬神人」がもろに『もののけ姫』。
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目から鱗。どうしても歴史上の出来事は現代のフィルターをとおして、見てしまいがち。しかし、本書のように当時の背景、価値体系を露わにして、見えてくるものが現在と違うことを味わうのは、異文化交流にも似て、興味深い。賤民について、もともとは神に連なる人だったなど。 ・片仮名は口頭で語ら...
目から鱗。どうしても歴史上の出来事は現代のフィルターをとおして、見てしまいがち。しかし、本書のように当時の背景、価値体系を露わにして、見えてくるものが現在と違うことを味わうのは、異文化交流にも似て、興味深い。賤民について、もともとは神に連なる人だったなど。 ・片仮名は口頭で語られることばを表現した。起請文、裁判記録など。 ・和同開珎は一種の呪術的な意味を持った使われ方もしれいる。 ・利銭、利息は神物、仏物の貸出として、始まっている。 ・「無縁所」という寺院は、財政的に弱くなく、商業や金融で儲けていた。 ・フロイス:16世紀。女性が西洋と違って、日本は奔放、力強かった。 ・鎌倉時代、女性が所領を持ち、譲渡、売買をしていた。室町から不動産の面で多少弱くなるが、動産については財産権を持っていた。 ・平安時代から地名を苗字として名乗る習慣が広がるが、豊臣秀吉も豊臣は天皇から与えられた形になっている。その意味で、ルーツをさぐるとみな天皇になってしまう。 ・日本という国名は中国からみて定着した。天皇も。
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時代が下るにつれて、非人の扱われ方が変わっていく過程が興味深い。 生きるための行いは全て神聖だ、という考え方は好きだ。
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☆彡日本の歴史全般におけるトピックエッセイ 〈概要〉 日本の歴史をよみなおす ・はじめに ・文字について 村・町の成立 遺跡の発掘から ・貨幣と商業・金融 神仏、天皇の直属民/聖なるものから世俗のものへ ・畏怖と賤視 古代の差別/悲田院の人びと/ケガレの問題/「非人」の出...
☆彡日本の歴史全般におけるトピックエッセイ 〈概要〉 日本の歴史をよみなおす ・はじめに ・文字について 村・町の成立 遺跡の発掘から ・貨幣と商業・金融 神仏、天皇の直属民/聖なるものから世俗のものへ ・畏怖と賤視 古代の差別/悲田院の人びと/ケガレの問題/「非人」の出現とその仕事/特異な力への畏れ/神仏に直属する「非人」/河原者/放免/童名を名乗る人たち/聖別から卑賤視へ/差別の信仰/東日本と西日本の相違 ・天皇と「日本」の国号 天皇という称号/「日本」という国号の歴史/天皇の二つの顔/日本列島には複数の国家があった/天皇家の危機 ・あとがき 続・日本の歴史をよみなおす ・はじめに ・海からみた日本列島 日本は孤立した島国か/縄文文化/弥生文化/西と東の文化の差/周囲の地域との交流関係/「日本国」の誕生/「日本国」の範囲/海の交通と租税の請負 ・あとがき
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古本で購入。 筑摩書房の社員向けに行った5回の講義をまとめたもの。 社員教育として第一線で活躍する歴史学者を呼ぶなんて、すごいし羨ましい。 他の出版社はわからないけど、筑摩の真摯さみたいなものが見えるな。 少し長いけど本文から。 「現在の転換期と同じように大きな転換が南北朝動...
古本で購入。 筑摩書房の社員向けに行った5回の講義をまとめたもの。 社員教育として第一線で活躍する歴史学者を呼ぶなんて、すごいし羨ましい。 他の出版社はわからないけど、筑摩の真摯さみたいなものが見えるな。 少し長いけど本文から。 「現在の転換期と同じように大きな転換が南北朝動乱期、14世紀におこったと考えられるので、この転換期の意味を現在の新しい転換期にあたってもう一度考え直してみることは、これからの人間が進む道を考えるうえでも、また日本の文化・社会の問題を考えるうえでも、なにか意味はあるのではないかと思うのです」 この視点から、「文字」「貨幣と商業・金融」「畏怖と賤視」「女性」「天皇と『日本』の国号」の5つのテーマで話していきます。 まさに網野史学のエッセンス満載の1冊。 その史学の是非はともかくとして、網野の著作を読むなら必ずリストに加えておくべき本かと思います。 読んでいておもしろかったのは「文字」の問題。 平仮名と片仮名の使い分け、というのは初めて知った。 文書での仮名の使用において、カタカナは圧倒的に少数派だとか。 近世になると助詞に使われる程度だったカタカナは、「文書の世界では基本的には口頭でいわれた言葉を記す文字」であったらしい。 文字の持つ機能や意味といったものが非常に意識されていたんだろうね。 他のテーマについての講義も抜群におもしろい。 個人的には、網野の天皇制度に対する態度には全然賛同しないんだけど。 でも本のおもしろさは間違いなし。中世史をかじろうとする人にオススメの本。 一緒に買った『続』の方も楽しみ。
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(1998.11.12読了)(1998.11.02購入) (「BOOK」データベースより)amazon 後醍醐天皇の出現が、日本の歴史全体を変えた驚くべき事実。「一遍聖絵」から読み解く差別の発生。ひらがな文字や銭の普及の背景とその意味。今日の私たちを束縛し、重大な影響を与えた14...
(1998.11.12読了)(1998.11.02購入) (「BOOK」データベースより)amazon 後醍醐天皇の出現が、日本の歴史全体を変えた驚くべき事実。「一遍聖絵」から読み解く差別の発生。ひらがな文字や銭の普及の背景とその意味。今日の私たちを束縛し、重大な影響を与えた14世紀の出来事から、新しい日本史像にいどむ刺激的な試み。
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日本では、文字が10世紀よりも前から、女性も含めて広く普及していた。 女性の地位も、仏教が浸透するまでは結構高く、また財産の権利ももっていた。 現在ある差別が、古代にはなかった。 障碍者や、部落。。。 部落差別が、関東ではほとんど聞かないのに、近畿地方ではとても広く、深い。 その...
日本では、文字が10世紀よりも前から、女性も含めて広く普及していた。 女性の地位も、仏教が浸透するまでは結構高く、また財産の権利ももっていた。 現在ある差別が、古代にはなかった。 障碍者や、部落。。。 部落差別が、関東ではほとんど聞かないのに、近畿地方ではとても広く、深い。 その理由とか、九州の友達が、関東びいきなのもわかった。 天皇、将軍のこと。 などなど、初めて知ったことばかり。
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中沢新一著「僕の叔父さん 網野善彦」にも書かれていましたが、「悪党」や「芸人」などの、いわゆる境界に在る職業について、聖でもあり賤でもあるといった考え方が興味深かった。
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