ドイツ民主共和国史 の商品レビュー
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※このレビューにはネタバレを含みます
ドイツ民主共和国についての、かなり濃い本。その体制は、ドイツ第二帝国やナチスドイツより長く続いた。 特に目を引いたのは、その徹底した非ナチ化である。教師は、すべて罷免し即席で育てた教師陣に取り替える、などこのことをした。西側の連邦共和国より徹底していたようである。しかしながら安全保障(警察や軍隊)は、最終的にはナチス時代に働いていた人員を使ったようではあるが。 また東ドイツの崩壊についても、そのナチス台頭と比較して、「業績主義」の伝統が東ドイツ地域におおいとも研究している。かつ意識も高く、ルター派が活躍したのも東ドイツ地域である。これは正直議論の余地があろうが(そもそも国民性なる概念で議論を片付けたくないのだが)、なるほどと思わせる。ただし、ドイツ農民戦争や宗教改革から、ナチスドイツ台頭までドイツに革命運動(1848年革命もあるけど)がほとんど起きてないことにも注目したい。 というように、東ドイツ史の概説にとどまらず、汎くさまざまな歴史を考察する指標となる本であった、
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