門 の商品レビュー
夏目漱石の前期三部作、三四郎、それからに続く最終作の位置づけ。 ある事情により俗世を離れ崖下の家でひっそりと暮らす宗助と御米。 過去も未来もない二人がその日その日を緩やかに生きていく。 そんな二人の時間に一つの変化が訪れる。変化の中を生きて行くふたりを書いた退廃的でそれでいて...
夏目漱石の前期三部作、三四郎、それからに続く最終作の位置づけ。 ある事情により俗世を離れ崖下の家でひっそりと暮らす宗助と御米。 過去も未来もない二人がその日その日を緩やかに生きていく。 そんな二人の時間に一つの変化が訪れる。変化の中を生きて行くふたりを書いた退廃的でそれでいてどこか羨ましい。 ゆるやかな日々に羨望を抱く小説でした。漱石の作品の中でも随一だと思います。
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巡る巡る繰り返し。 喜怒哀楽を伴いそれはただただ繰り返す。 冬が過ぎ春が来てもまた冬になる。 苦しいこともない、愛しいこともない、ただの繰り返し。 それなのに苦しい、それなのに愛しい。
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ここ最近、読書にいそしむなか、前回読んだときよりも 深い感銘を受けた最初の一冊。 前のときは前期三部作の中でも、只管暗い、地味・・という イメージでしたが、今回は「それから」よりも面白いかも と思ってしまいました。 たんたんとした日常の中に、繰り返すことの美しさを見ました。 それ...
ここ最近、読書にいそしむなか、前回読んだときよりも 深い感銘を受けた最初の一冊。 前のときは前期三部作の中でも、只管暗い、地味・・という イメージでしたが、今回は「それから」よりも面白いかも と思ってしまいました。 たんたんとした日常の中に、繰り返すことの美しさを見ました。 それにしても大根のお漬け物とお茶漬けが美味しそう。
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結局、くぐることで簡単に浄化してくれるような門はなく、 自らの背負うべきものは、背負いながら生きていくしかない。 逃げるのもひとつ、挑むのもひとつ、どちらにしても自らの過去を消し去ることはできない。
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人生で2回目の夏目漱石。1回目は昔授業で読まされた「こころ」。 この作品が「それから」の続編と言われていることも、「三四郎」とあわせて三部作と言われていることも知らずに読んだ。だから、ただ静かに愛し合う夫婦の物語として読んだ。 この夫婦の、特に宗助のあり方を見ると、明治と平成...
人生で2回目の夏目漱石。1回目は昔授業で読まされた「こころ」。 この作品が「それから」の続編と言われていることも、「三四郎」とあわせて三部作と言われていることも知らずに読んだ。だから、ただ静かに愛し合う夫婦の物語として読んだ。 この夫婦の、特に宗助のあり方を見ると、明治と平成の間に隔たりは感じない。明治という時代は直接現代に繋がっていると強く思った。素晴らしい文章で綴られた、古くささなんて感じない作品。所謂、「名作」や「古典」というものは敬遠しがちだったけど、目を開かされた。漱石、面白い。
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歳喰うにつれて、三部作内の好みも三四郎→それから→門と移り変わり。給料もらう身の物思いとか、昔も今も変わらないのね、って感じで笑えます。漱石は大御所の顔してるくせに、ちょくちょく落語的風景を落とし込んでくれるから好き。文体も今の現代文の基礎となったような人なので、実はものすごく読...
歳喰うにつれて、三部作内の好みも三四郎→それから→門と移り変わり。給料もらう身の物思いとか、昔も今も変わらないのね、って感じで笑えます。漱石は大御所の顔してるくせに、ちょくちょく落語的風景を落とし込んでくれるから好き。文体も今の現代文の基礎となったような人なので、実はものすごく読みやすかったりします。エラソーではないので読まないと勿体ない気がする。そしてエラソーな本だと教えるのは読書的に逆効果のような気がしてならない。
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『三四郎』『それから』に続く、三部作最後の作品。ぱっとみ個々の物語は完結したようにも見受けられますが、まだ根本的な解決には至っておらず、将来的にも影を残したまま物語が終わります。
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