門 の商品レビュー
崖下にある暗い家に住む宗助と御米。世間から背を向けて暮らす二人を視点に物語が進む。登場人物と情景がぴったりと合わさっている小説。ただ正直に言うと物語は大きな変化がなく淡々と進む。いつのまにか読み終わってた。ちゃんと読めてないかもしれない…
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朝日の連載終了。三部作は10代半ばで読んだ気がするけど、三四郎、それからぐらいまではまだ何とかだが、門は10代では面白みが分からない内容だったことが分かった気がする。今読んでもそんなに面白くは無いけど、主人公の気持ちが少しは分かる。明治末期の悩めるエリートの若者、高等遊民、没落し...
朝日の連載終了。三部作は10代半ばで読んだ気がするけど、三四郎、それからぐらいまではまだ何とかだが、門は10代では面白みが分からない内容だったことが分かった気がする。今読んでもそんなに面白くは無いけど、主人公の気持ちが少しは分かる。明治末期の悩めるエリートの若者、高等遊民、没落したインテリ達の様子が描かれている三部作ということかな。閉塞感の漂う日本で下っ端役人をしながら隠れて生きる主人公と、妻?を奪った相手であり日本を捨て新天地・満州に行った親友。時代は違うが、成長期を過ぎ国内だけではじり貧の現代日本に通じるところはあるかもしれないが、いつの時代にも通じる普遍的な人間の内面を描いているところが漱石が愛されている理由なのかもしれない。寅さんに言わせりゃ「おまえ、さしずめインテリだな」と言われてしまいそうな主人公達の悩みは、最近なら流行の自己啓発本とかアドラー心理学でも読ませておきたくなる。
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三四郎、それから、門と続けて、朝日新聞で読む。学生時代、略奪結婚、そして、その後の暗雲たる生活。門では、宗助が座禅のため、寺を訪れるが、結局のところ、悟りに至るまで我慢できず、ろくでなしな主人公が、再び描かれている。
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宗助、お米の2人が世を憚り、こっそりと生活する孤独な様が、弟小六、叔父叔母との関係でも痛切に感じる。お米の三度の出産失敗と易者の不吉な言葉が重く押しかかる。小六の年から計算すれば、宗助たちは未だ30歳過ぎと若いはずなのだ。なんと暗い小説なのだろうか。しかし、2人が寄り添う愛情の描...
宗助、お米の2人が世を憚り、こっそりと生活する孤独な様が、弟小六、叔父叔母との関係でも痛切に感じる。お米の三度の出産失敗と易者の不吉な言葉が重く押しかかる。小六の年から計算すれば、宗助たちは未だ30歳過ぎと若いはずなのだ。なんと暗い小説なのだろうか。しかし、2人が寄り添う愛情の描写が救い。2人は幸せではないかと感じるほど。過去を振返り、京都での宗助と安井・お米の出会いの場面が青春の美しさを感じる場面。そこから2人の「転落」の表現が何とも暗示的!「それから」の代助・三千代の続きとして読んでよいのかどうか、迷うところはあるが、続けて読むとどうしてもイメージを引き摺る。
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遅々として進まなかったけれどようやく読了。 難しいとか面白くないとかではなく、ちゃんと読み終えたかったから。 やはりクライマックス、宗助が禅門をくぐるところになると一気に読みたくなる。 次のページを捲ろうとしたらなく、これが最後の一文かと思うとぞくりとした。 それにしても御米との...
遅々として進まなかったけれどようやく読了。 難しいとか面白くないとかではなく、ちゃんと読み終えたかったから。 やはりクライマックス、宗助が禅門をくぐるところになると一気に読みたくなる。 次のページを捲ろうとしたらなく、これが最後の一文かと思うとぞくりとした。 それにしても御米との関係がなんともいえずいいなぁ。 漱石小説の中では子どもに恵まれない夫婦が多いけれども、それってなんなのだろうか。 ちょうど『それから』『こころ』と読んだので共通点、相違点があってなかなか興味深い。 さあ、次はどれを読もうかな!
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映画を見ているかのような丁寧な描写。ドラマチックな場面も、淡々とした筆致が崩れないところが好き。「こころ」同様、今は幸せを味わってよいはずの夫婦が、過去の出来事のために心に常に錘を乗せられたように過ごしているのは、不倫が、今よりももっと許されない時代だったから?生まれた家や、友達...
映画を見ているかのような丁寧な描写。ドラマチックな場面も、淡々とした筆致が崩れないところが好き。「こころ」同様、今は幸せを味わってよいはずの夫婦が、過去の出来事のために心に常に錘を乗せられたように過ごしているのは、不倫が、今よりももっと許されない時代だったから?生まれた家や、友達や、学校と決別してまで二人で生きることを選ぶ勇気があったのに、罪の意識から逃れられないのが、かなしい。
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高知大学OPAC⇒ http://opac.iic.kochi-u.ac.jp/webopac/ctlsrh.do?isbn_issn=4003101081
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2013/04/11-2013/04/22 星4.8 僕は果たして大学生になったので、色々と名作と謳われる文章を読んでみることにした。その第一号が、この『門』。夏目漱石作。 僕は理系であって、読解というものは比較的苦手とする所なので、こういう込み入った文章を読むにはゆっくり消化...
2013/04/11-2013/04/22 星4.8 僕は果たして大学生になったので、色々と名作と謳われる文章を読んでみることにした。その第一号が、この『門』。夏目漱石作。 僕は理系であって、読解というものは比較的苦手とする所なので、こういう込み入った文章を読むにはゆっくり消化しながらでなければいけないから、少し疲れた。しかし、僕の日常にあるような、読後の疲労感というものには不思議と見舞われなかった。 陰か陽かと問われれば陰に値するだろう物語だのに何故だろう、物語を通して問題は全く解決していないように思われるのに何故だろう、陰鬱な気持ちにはならなかった。 もしかするとそこらへんが、この文章を名作といわしめる要因なのかもしれない。主人公の宗助が、悲観しすぎず、楽観しすぎず、を保ちながら、解決を模索する。その中で物語の時系列は折り込まれていき、重層的な感じを読者に与える。 読み始めた頃は、なんだか文章の方向がはっきりせずにもやもやしていて、本当にこれは名作なのかと疑いすらしたけれど、読み終えて分かるのは、この作品はその「もやもや」を意図的に狙ったかのような構成だということだ。読んでいく中でもやもやが解消されたり発生したりする流れが、とても楽しかった。 つまりは、名作だったなぁ、ということだ。
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- ネタバレ
※このレビューにはネタバレを含みます
三部作の最初に『門』を読んだ。 移り変わる季節の中、世間と切り離されてひっそりと暮らす宗助夫婦。罪を洗うこともできず、過ぎるだ生きる二人に穏やかな寂しさを感じる。 決して盛り上がりはしないが、青空に一つだけぽっかり浮かんだ雲を見ているような、波風のない感傷的な気分になる。
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