聞き書 群馬の食事 の商品レビュー
2024年3月読了。 2月に父方の伯母が逝去した際、身内の者から「そういえば伯母さんは「田舎に帰って「にぼうと」が食べたいとずっと言っていた」というちょっとしたエピソードを聞いた。 「にぼうと」は「煮ほうとう」、山梨なんかではよく郷土料理として紹介され、我が群馬県では「おっき...
2024年3月読了。 2月に父方の伯母が逝去した際、身内の者から「そういえば伯母さんは「田舎に帰って「にぼうと」が食べたいとずっと言っていた」というちょっとしたエピソードを聞いた。 「にぼうと」は「煮ほうとう」、山梨なんかではよく郷土料理として紹介され、我が群馬県では「おっきりこみ」等と言われる(ちなみに我が家でもよく「にぼうと」はたまに食されていたが、「おっきりこみ」という通称はついぞ聞いたことがない。それくらい地域性のある食べ物なのだろう)。 さて、伯母のエピソードから、「よく食べつけた料理は人間にとっての業のように深くその人の心根の奥底に棲みついて離れないものなのだな」と感じいった次第、改めて自分の「食にまつわるルーツ」を辿るという意味で本書を読んだ。 73ページ 寒い冬のおいはんは、いろりになべをかけ、たいていおきりこみか煮こみうどんで温まる。おきりこみは、小麦粉を練って、うどんをつくるときより薄くのばして幅広く切り、しいたけ、干葉、豆腐の入った味噌仕立ての汁の中に入れる。ゆでないで入れるほうが、粉の味がしてうまい。煮こんで、熱いうちに、すったいくさ(えごま)をかけて、ふうふういいながら食べるといい。これでからだの芯から温まる。煮こみうどんは、おきりこみと同じようにして打っためんをゆでてから、野菜を煮こんだ汁に入れ、火から下ろす時に味噌を入れる。 →これは吾妻地方の食卓の風景だが、東毛の我が父宅もおよそこのようなものだったのだろう。 318ページ 焼きまんじゅうについてのコラム。ルーツは前橋市の原嶋屋だとか。 汁で手も口もベトベトになってお土産品に向かないことこの上ないのだが、何故かたまに食べたくなるという不思議な食べ物である。 ちなみにこの「日本の食生活全集」、各県別に刊行されており、私はいつか全巻コンプリートして各県を巡って旅をしたいという心密かな野望を持ち続けている。
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