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冷い夏、熱い夏 の商品レビュー

3.8

35件のお客様レビュー

  1. 5つ

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2016/03/11

 母を癌で亡くしたわたしとしては、当時を思い出し共感するとともに、いたたまれない気持ちにさせる内容であった。身内の死は必ず訪れるのだが、亡くなったことに整理をつけなければ、残された者たちは不幸である。人生折り返しを過ぎ、自身の死生観をあらためて問われた作品である。

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2015/07/26

途中で読むのを止められず、一気読みしてしまった。 最後までガンだと告げられなかった弟さん、それでも末期がんで痛みに苦しみながら、ガンの薬を打ってくれという… 兄にも弟にもガンを隠し通し、そして周囲に「あなたが私にガンじゃないよと言っても信用しない」とまでいわれる著者のすさまじさ...

途中で読むのを止められず、一気読みしてしまった。 最後までガンだと告げられなかった弟さん、それでも末期がんで痛みに苦しみながら、ガンの薬を打ってくれという… 兄にも弟にもガンを隠し通し、そして周囲に「あなたが私にガンじゃないよと言っても信用しない」とまでいわれる著者のすさまじさ。身の中から食われていく気持ちだったのではないか。 そして当人も最後はガンになり、自ら管を抜いて死んでいったことを思うと鳥肌が立った。

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2015/07/15

小説というかノンフィクションにいれてもいいと思われる。 著者の体験記。ガンを宣告され余命1年の弟にガンということを隠し通し、死に至るまでのお話。 やはり自分にも弟がいるので、こういうことは可能性はなくはないかと。 でもその際に助け合えるのが兄弟なんだろうなと感じた。 重苦しくて悲...

小説というかノンフィクションにいれてもいいと思われる。 著者の体験記。ガンを宣告され余命1年の弟にガンということを隠し通し、死に至るまでのお話。 やはり自分にも弟がいるので、こういうことは可能性はなくはないかと。 でもその際に助け合えるのが兄弟なんだろうなと感じた。 重苦しくて悲しい一冊。

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2014/07/17

作者の弟の癌が見つかってから臨終までの、約1年間のドキュメント。 この頃はまだ告知をしないケースが多かったようで、癌を疑う本人に、 何としても隠し通す親族の葛藤と、傷みと闘う弟の詳細な描写に読むのが苦しくなる。 現在とは時代背景が違うので、しかたのないことだと思うが、癌を隠し通さ...

作者の弟の癌が見つかってから臨終までの、約1年間のドキュメント。 この頃はまだ告知をしないケースが多かったようで、癌を疑う本人に、 何としても隠し通す親族の葛藤と、傷みと闘う弟の詳細な描写に読むのが苦しくなる。 現在とは時代背景が違うので、しかたのないことだと思うが、癌を隠し通されたことで、 命が尽きる瞬間まで、誰とも腹を割って本音で語り合えなかった彼は、本当に可哀想だ。 全編を通じて重苦しく凄まじい内容なので、闘病中の方、 またはご家族がそうである方にはお勧めしません。

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2014/07/16

かなしい兄弟の話。 緩和医療科にいたころをどうしようもなく 思い出しました。 人の死は悲しくも美しく、激しく動揺させるものだと思います。

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2014/07/14

弟に癌が見つかったが、それを隠し通す兄。 少し前の時代では、癌であることを本人に証すことをせず、隠し通すことが多かったようだ。 今では本人への告知は当たり前のようになり、医学も多少は進歩している。 ただ、告知も辛いが隠し通すことも辛いんだと思う。 2014.7.14

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2014/07/01

心にズシンと突き刺さる話だった。もしも近しい人が同じ病に倒れたら・・と思うと恐ろしい気持ちになった。

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2014/01/22

実体験を元に描かれているので、言葉のひとつひとつに重みと説得力を感じます。 ただ、筆者の主張がそのまま呑み込めるかというとそうではなく、 「私なら…」「私だったら」など反駁しながら読み進めていきました。 癌の進行や闘病の様子はリアルなのに登場する医師や看護師、葬儀社が みな信頼...

実体験を元に描かれているので、言葉のひとつひとつに重みと説得力を感じます。 ただ、筆者の主張がそのまま呑み込めるかというとそうではなく、 「私なら…」「私だったら」など反駁しながら読み進めていきました。 癌の進行や闘病の様子はリアルなのに登場する医師や看護師、葬儀社が みな信頼のおける「いい人」ばかりなのには違和感を覚えました。

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2014/01/13

弟が癌になり、死まで1年に及ぶ闘病と周囲が献身的に看病する。癌であることをひた隠し、1ヶ月前から葬儀の手配をする自分を冷たい人間だと責めつつ、自身の闘病経験から行動せざるをえない。深い愛情を感じる。14.1.13

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2013/04/19
  • ネタバレ

※このレビューにはネタバレを含みます

『戦艦武蔵』『破獄』に続いて吉村作品は3つ目。 前述の2作品は重々しい空気漂う、男気溢れる表現に満ちた小説だったが、本作品は末期癌に向き合うテーマながらもどこか爽やかで、暖かい空気のながれる小説だった。 癌患者への向き合い方、死を間近にした人間との接し方、現実との戦い方など、そう長くはない作品の中に答えの無い問題が多く提起されている。患者の痛みがこちらの呼吸まで苦しめるように伝わってくる。夏から夏までの1年。冷たい/熱いは物理的なものだけでなく心境にも反映されており、変わり果てていく弟を前にした周囲の人間の悩みも実に胸を苦しめる。 吉村昭の作品は一見ノンフィクションともとれるほどに仔細まで取材してありリアルそのものだ。お気に入りの作家の1人である。

Posted byブクログ