ジレンマ資料による道徳授業改革 の商品レビュー
某万引調査の件もあり、道徳発達に関心が向いているので、これを機会にコールバーグについてちゃんと勉強することにした。とりあえず一冊目。1990年に書かれた本で、日本でのコールバーグ理論の実践についていろいろ勉強になる。道徳発達のためには認知能力と役割取得能力の発達が重要という話も勉...
某万引調査の件もあり、道徳発達に関心が向いているので、これを機会にコールバーグについてちゃんと勉強することにした。とりあえず一冊目。1990年に書かれた本で、日本でのコールバーグ理論の実践についていろいろ勉強になる。道徳発達のためには認知能力と役割取得能力の発達が重要という話も勉強になった。 コールバーグ理論に基づく道徳教育の背景には、「価値観の押し付けはよくない」という考えがある。戦前の教育勅語に基づく教育が念頭にあるのかもしれないが、これ自体が正当化を必要とする道徳判断であることは押さえておく必要があるだろう。 また、道徳的ジレンマはより上位の発達段階に押し上げるために用いられるとのことで、これ自体はたいへん興味深いのだが、二点疑問がある。一つは、そもそも一定の価値観を持っていないと、ジレマをそれと理解できないだろうということだ。どうも小学生低学年では周囲の価値観を教える教育をしろとのことだが、それは価値観の押し付けにはならないのだろうか。 もう一つは、道徳的ジレンマの使用によって、上位の発達段階に行かずに下がるものや、道徳的相対主義が生まれないのか、ということだ。これは実証的な問題なので、もう少し文献を読む必要がある。 ミルグラムの実験の被験者の発達段階をコールバーグが調べているという話も初耳だった。勉強すべきことはいろいろあるな。最後の「道徳的判断、感情、行為の関わり」という章はテーマは大変おもしろいのだが、内容が今ひとつ展開されておらず、残念だった。
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