クヌギ林のザワザワ荘 の商品レビュー

富安陽子(著者),安永麻紀

2024/03/08

うまいなあ…、しみじみ思った。
キツネ山の夏休みがとても良かったので、富安陽子さんの出世作？の本書を借りてみた。
大人ばかり出てくるのは児童書としては珍しいけど、気の良い、楽しい住人たちが集まるザワザワ荘は、読んだ人の心の、優しい居所になるだろう。

ザワザワ荘への引っ越しを決めるシーン、アズキトギの部屋に侵入して魂をとばすのを見るシーン、読んでいて気持ちいい。
明るく楽しい富安ワールドはここから安泰なんだなあ。
自然物もシンプルだけど美しく描写されていて、風の音がいつも聞こえてくるような一冊。

ところで。先生の豆腐屋バイトは特になにかの伏線ではないんですね。（笑）

水の精がいなくなるところ、すごく寂しかった…。

これジブリはなんでアニメ化しないんや？と読みながらずっと思ってた。
龍神のところ、ウロコのシーンは、杉浦日向子の鏡斉まいるシリーズを思い出して幸せな気持ちになった。

2024/02/20

手元において何度でも読みたい。言葉がとぎすまされている。不思議な話やものがたりへの敬意。本能自然の肯定、その植物や動物がやることは、よいこともあるし、よくないこともある。科学は、物語から大切な人を守ることからうまれた。

2023/08/26

素敵なお話でしたね〜。続きのお話は出ないのかしら〜。
種を越えて、こんなふうに日々顔を合わせ会話したり、お酒を酌み交わしたり、共に難題に立ち向かったり…いいなぁ、素敵だなぁ。
P.119「自然の中のあらゆるものは、どの、一つを取っても、知らず知らずに自分の役割をはたし、それがときに、だれかのためになったり、また、誰かに害をおよぼしたりするわけです」　
P.120「あなたのしようとしたことも、やはり、よい面と悪い面があるのです。」
P121.「それに、わたしたちは、友だちではありませんか」

P.29「猫には猫流の恩返しがございます」
↑リアル生活でそれぞれの猫たちの恩返しを密かに期待してます(笑)既にしてもらってるかな(！？)

2022/05/29

児童文学だけど、1人で暮らす大人が読むべき本。
焼酎の｢二階堂」が丁寧な描写のお料理とともに出てきたりして、静かで暖かで魅力的な隣人がいる暮らしが心に染みる。

2022/05/23

アパートを追い出された科学者の矢鳴先生。「山の中に住むところをさがそう」と歩いていると、「猫又不動産」でザワザワ荘を紹介されます。

そのあたりのいきさつや、会話が楽しい。

中学年の子におすすめ。

2018/12/31

小さい頃に母に読んでもらった思い出の本。
小1の娘が読めるようになり、1人で読んだり一緒に読んだりして読み進める。不動産って何？ などと言いながら1人で読むには少し難しい漢字や言葉があるが引き込まれている様子。

妖怪がアパートの隣人として次々登場するが、それぞれ憎めないキャラクターで、幼い娘も少しドキドキしながらも怖くないよう。

亡き母との思い出深い章 「アズキトギ」は魂を集めて甕にとじこめておくアズキトギとそれを逃がそうと友人の部屋にこっそり入る矢鳴先生が部屋で見つかって話し合う場面でクライマックスを迎える。「良い面と悪い面がある」とアズキトギが静かに語る。小さい頃に正義は正義、悪者は悪者と信じている自分に気づきのきっかけをくれ、多様性や協調の柔軟な考え方を支えてくれたような場面。小学生になってから、考え方や行動の違いで友だちを理解できない許せないという気持ちが芽生えたり、自分の中にさえ善悪また善とも悪とも割り切れない思いを感じ始めたような娘。大人になってさえ、人と深く付き合う中で突き当たる問題で、それにわかりやすい言葉で１つの風穴をあけてくれる語りではないかな、そうであってほしいなと思う。

所々にちょっとした料理やお酒を飲み交わす場面が魅力的。

2018/07/04

猫たちにいざなわれ、現実世界から森の中の不思議なアパートへ…

ファンタジーと、リアルを行ったり来たりする、不思議な教授の物語。

2016/10/17

アパートを追い出された矢鳴先生は、猫又の不動産屋から紹介されたザワザワ荘に引っ越すことになる。そこはアズキトギや水の精が住む少し変わったアパートだった。
元祖妖怪アパートと称している感想を見掛け、なるほどその通りだなと思ったのです。児童書ですが出てくるのはおじさんばかりというのも、何とも面白いです。妖怪たちとの付き合いは共感できるとことできないことが共存し、あなたはあなた私は私の関係が築かれます。しかし許容できない部分は許容できないと水の精やアズキトギの邪魔もする。それもまた自然な流れだと受け容れている関係が面白いです。ただ単なる理想郷としてザワザワ荘が描かれていないんですね。
ほのぼのとしてのんびりとして、それでいて起伏に富んだストーリーが楽しめます。

2015/09/09

風変わりなザワザワ荘にすっかり違和感なくとけこむむじゃくな先生の様子は読んでいて清々しさを感じます。

2012/07/15

児童書なのに、
子どもがほとんど出てこない(^_^;)

矢鳴先生が歌っている歌もシブすぎ（笑）
酒盛りシーンも多いし。
大人向けファンタジーに書きなおしてもいいかも！