古代の日本海文化 の商品レビュー
古代の人たちは海をど…
古代の人たちは海をどのように見て、利用していたのだろうか。
文庫OFF
日本海に面した地域の古代文化について、考古学上のさまざまな研究成果をひろく紹介している本です。 本書はまず、著者自身がその発見にかかわることになった、富山県杉谷古墳の四隅突出型古墳について紹介がおこなわれています。それまでは山陰地方にのみ存在が知られていたこの型の古墳が富山でも...
日本海に面した地域の古代文化について、考古学上のさまざまな研究成果をひろく紹介している本です。 本書はまず、著者自身がその発見にかかわることになった、富山県杉谷古墳の四隅突出型古墳について紹介がおこなわれています。それまでは山陰地方にのみ存在が知られていたこの型の古墳が富山でも発見されたことから、古代において出雲と高志のあいだに密接な交流があり、日本海沿岸地域に畿内のヤマト王権の影響を受けない大きな勢力が存在していたと論じています。 さらに、絹や玉の分布から、日本海沿岸地域の交易の実態にせまるとともに、朝鮮や沿海州にまで交流がひろがっていたことが語られています。 本書でもたびたび参照されている考古学者の森浩一は、日本海沿岸地域は現代では「裏日本」と呼ばれることがあるけれども、古代においてはそちらが「表日本」だと語っていました。本書の議論は、そうした構図を受け継ぎつつ、日本海文化圏の存在を示すさまざまな考古学上の成果を一般の読者にもわかりやすく紹介しています。
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