単身者たち の商品レビュー
多田尋子小説集『体温』がとてもよかった。なので図書館で手当たり次第予約して借りた。これは『体温』にも入っていた「単身者たち」が表題作品で、ワタシが気に入ったのは「白い部屋」だ。このふたつは芥川賞候補になった作品。 多田尋子作品の何が好きって昭和な主人公の名前。「白い部屋」は量子、...
多田尋子小説集『体温』がとてもよかった。なので図書館で手当たり次第予約して借りた。これは『体温』にも入っていた「単身者たち」が表題作品で、ワタシが気に入ったのは「白い部屋」だ。このふたつは芥川賞候補になった作品。 多田尋子作品の何が好きって昭和な主人公の名前。「白い部屋」は量子、「単身者たち」は計子、「夫婦」はよし子、「卒業展」は真沙子と初子。それだけでもグッと来てしまう。 「白い部屋」は夫に先立たれた親子の話。新婚生活から身体の関係?にならなかった夫に先立たれた量子と、量子の母親と、新しくて古いものを交換していくようなそんな物語だった。団地の風呂桶が木からプラスチック、そしてステンレスに変化していくように。芥川賞とらなかったみたいやけど、比較とか対比とか分かりやすくてとても好きだ。分かりにくい物語が好きなんだけれど、こういうどこでもドアを開けたらありそうな世界も良いなぁ良いなぁと思う。
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