男がさばくアグネス論争 の商品レビュー
アグネス・チャンの「子連れ出勤」について、林真理子と中野翠が批判をおこない、その後上野千鶴子をはじめとするフェミニストが参入して大きな社会現象にまでなったいわゆる「アグネス論争」の議論を整理し、それぞれの論者のモティーフに深く分け入りつつ、著者自身の観点から批判的に検討をおこなっ...
アグネス・チャンの「子連れ出勤」について、林真理子と中野翠が批判をおこない、その後上野千鶴子をはじめとするフェミニストが参入して大きな社会現象にまでなったいわゆる「アグネス論争」の議論を整理し、それぞれの論者のモティーフに深く分け入りつつ、著者自身の観点から批判的に検討をおこなっている本です。 冒頭の「序の章」は、かなり軽薄な文体で書かれており、読者によってはここで著者に反感を抱くことも多いのではないかと思います。またわたくし自身は、著者の実感に依拠する思想的立場には問題が含まれていると考えており、その議論に全面的には賛同しかねると考えています。 しかしながら、それぞれの論者の議論を(むろん著者自身のフィルターを通してですが)ていねいに紹介していることや、論争のなかであらわになった種々のモティーフに対して詳細な検討を加えていることなど、問題に対して非常に真摯に対応していることが目を引きます。観念的な図式で問題を割り切るのではなく、みずからの実感に問い尋ねるという著者の資質がいかんなく発揮されている本ではないでしょうか。
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